しばしば話題になるJavaの商標とその大文字小文字について。
実際に登録されている商標
Java™ の商標権は2023年現在、米Oracle社が保有しています。
歴史的な経緯としては1995年に 米Sun Microsystems がJavaを発表し商標権も取得していたわけですが、経営が傾き、Oracleに買収されました。買収の完了が2010年1月27日とされます。
米国の商標における大文字小文字
米国出願では、全て大文字で記載した場合には、小文字や頭文字のみ大文字での使用も商標の使用と認められますが、小文字での権利化の場合、小文字での使用しか商標の使用と認められない場合があります。
アメリカでの商標の取り扱いとしては上記のような理由で、大文字で商標登録する事情があるようです。
Javaのロゴ
Javaは時代によってロゴが何度か変更されてきました。
最初期のJavaのロゴは細いたくさんの線で構成されています。その後のロゴはシンプルな構成となりました。
Javaには組み込み向けのサブセットのJava ME というものがあって、古い時代に携帯電話などでよく使われた時期があるのですが、その頃に解像度が低くても分かりやすいようにロゴが変わったという、いかにもそれっぽい、しかし典拠不明の噂がまことしやかに囁かれています。
さておき、ここで注目するべきは最初期のロゴで、日本人には大文字でJAVAと書かれているように見えると思います。しかし、これはJavaと書かれているという話をしておきましょう。
Trajanフォント
このフォントですがTrajanフォントであると言われています。このTrajanは 1989年にAdobeのCarol Twombly氏によって作られました。
この Trajan はイタリアのローマにあるトラヤヌスの記念柱を元にデザインしたものとされます。ここで出てくるのがスモールキャピタルないしスモールキャップスと呼ばれる代物です。
スモールキャップス Small Caps
小文字のフォントを大文字と同じ形状で小書きにすることがあるようです。これをスモールキャップスなどといいます。
アルファベットの大文字小文字観というのは日本人にはいまいちピンとこない話でありますが
The glyphs of lowercase letters can resemble smaller forms of the uppercase glyphs restricted to the baseband (e.g. "C/c" and "S/s", cf. small caps) or can look hardly related (e.g. "D/d" and "G/g")
小文字は C/c や S/s のように似たものがありますが、その並びに small caps とあるのが分かるでしょうか。対比として形が違うものとして D/d や G/g の例が挙げられていますね。
そして、先に挙げたTrajanフォントはこのスモールキャップスを採用しているフォントであるため、初期のJavaのロゴは日本人の目にはあたかも大文字でJAVAと書かれているように見えるわけです。
Oracle はどのように記載しているか
基本的に Oracle は Javaについては先頭大文字、以後は小文字で記載しています。
しかし、過去の日本法人のサイトではJAVAと書かれていたようで、やはり日本人には英語の大文字小文字の機微というのは良くわからないものなのでしょう……
とっぴんぱらりのぷう