建設的な議論を生むための心がけ(自戒を込めて)
要約:常に謙虚な気持ちを忘れず、相手を尊重して冷静に話をしよう
(可能ならば論拠も示そう)
この記事の筆者:報告書のチェックに追われる技術士見習い(社会人1年目)
この記事の対象:建設的な議論がしたい人
突然ですが、ツイフェミが嫌なのだ!
公認会計士を目指すずんだもんの動画、いつも興味深く拝見しておりますのだ。
重箱チェックは仕事でいつもやってることだから、親近感が湧くのだ。
(現在国に納品する報告書のチェックに追われています)
この記事は特定の団体を批判する、あるいは特定の人物の誹謗中傷を目的とするものではありません。
私は「公金を不正使用している可能性がある団体について、領収書等の資料を提示するべきだ」と考えています。それらの団体の活動理念・活動そのものを否定している訳ではない、という前提でお読みください。
でもなんで嫌なんだろう、考えてみた
「こういう議論の仕方、良くないよね」と批判するつもりでしたが
自分も不適切な態度を取ってしまうことがあるという気づきがあったので、自戒を込めて投稿します。
読み手にとって適切な表現を心がけよう
タイトルや記事の内容、タグ付けなどにおいては、読み手にとって適切に伝わる表現を心がけましょう。不要な煽りは時に誤解や反発を招くことがあります。投稿前に間違いがないか、人を傷付けるような書き方をしていないかなど確認しましょう。例えばこんなタイトルをつけることはやめましょう煽る意味を含む表現を用いる
特定の個人または団体を否定する
建設的な議論に繋がらない目的または表現により、特定の技術を批判する
『良い記事を書くためのガイドライン』Qiitaヘルプより引用
建設的な議論をしたい人に読んでいただければ幸いです。
良くない議論の進め方
- 感情に訴える
- 話題をそらす
- 人格否定、意見以外の相手の弱み・相手の属性を攻撃する
- 意見の否定=意見を述べた人自体の否定と思い込む
- 論拠を提示しない
- 都合の悪い反論は無視する
- 仲間内で団結する、相手を馬鹿にする
- 自分にとって都合のいい部分だけを切り取る
- 相手を尊重しない
思いつくままに書き連ねてみました。既に自分にも刺さって心が痛みます。
重複するもの、意味が似ているものをまとめて紹介します。
- 思考停止
- 相手を尊重しない
- 証拠を出さない
1. 思考停止
ソクラテスは「無知の知」という言葉を残しました。
物事は「自分が知っていること」「自分が知らないこと」の2つに分かれるのではなく、
「自分が知っていること」「自分が知らないことを知っていること(=無知の知)」「自分が知らないことすら知らないこと」があり、
「知らないことを自覚する」ことが哲学の出発点であるという概念です。
(私の解釈に過ぎないので、詳しい説明は下記参考資料にお任せします。)
知識人は「自分は全てを知っている」と傲慢な態度になってしまいがちです。しかし、
- あなたが今見ている液晶画面の値段はどのように決まったのでしょうか?
- 誰が作って、誰が売った商品でしょうか?
- ディスプレイの表示をより明るくしたい時、ユーザーの設定画面で調整できたとしても、なぜ画面が明るくなるのか原理を理解して説明できますか?
(ここで「全部知ってるよ」ってマジレスされても「そうですか、凄いですね」としか言えないので、つよつよ知識人は知らないふりをしてください。。。)
ここで何が言いたいかと言うと、「自分の知らないことがこの世に存在する」と自覚することで、謙虚な態度で議論に臨むことができる、ということです。
自分とは相容れない考えを、ある程度許容できるようになるでしょう。
「そう思うならそうなんだろう、お前の中ではな」という受け入れ方であったとしても、次項の「相手を尊重しない」態度を防ぐことができます。
また、他人の意見を鵜呑みにしないこと、自分の立場が正しいと思いこまないことも重要です。
「専門家が、政治家が、私の好きな人が、立場のある偉い人が、有名人が、お金儲けに成功した人が言ってた意見だから正しい」「正義は我にあり」といった思考停止に陥ると、人間はどこまでも傲慢かつ残酷になってしまいます。
2. 相手を尊重しない
人にはそれぞれ生きた過程があり、立場によって「正しい」「一般的」とされる意見は異なります。
エンジニアの常識はデザイナーの非常識、ということは仕事において頻発し、逆もまた然り、となるでしょう。
同様に、発注者と受注者それぞれの思惑があり、上司と部下それぞれの意図があり、人間社会で生活する上で、「自分と違う考えの持ち主」と対話することは不可避なものだと考えます。
自給自足で仙人のような生活ができれば誰も文句は言わないでしょうが、家族・隣人・同僚・友人知人、様々な相手との議論(ないしは喧嘩、意見のぶつけ合い)は日常生活に欠かせないものでしょう。
「何言ってんだこいつ?」と腹が立つこともあるでしょう。
しかし、議論をする上で「××のくせに!」(××の内容は任意:出身地、性別、障害、病気、家族構成、経歴(学歴、職歴、離婚歴など)、収入、政治思想、見た目、体形、才能、実績、その他色々)と発言者の属性を攻撃するのは不適切だと言わざるを得ません。
こういった攻撃方法は実際に政治・ネット等の論争では起こりがちで、世論を誘導する効果を発揮します。
しかし、「意見」と「発言者」は別物であることから、意見の正当性は発言者の属性によらず判断されるべきだと考えます。
「罪を憎んで人を憎まず」ならぬ、「異論を憎んで発言者を憎まず」といった心がけも重要です。
感情に訴えるのではなく、論理立てて説明することを心がけましょう。
怒りのLINE(長文)を本人に送る前に一晩寝かせることで、本当に相手に伝えるべきことは何なのか、感情をそのままぶつけることが得策かどうか、冷静に判断することができます。
「女は感情的で嫌なんだ」という批判に対して、理論武装してボッコボコにしてやりましょう。
(そもそも議論をしないことが議論に勝つ唯一の方法、という話もありますが…)
3. 証拠を出さない
自分の主義主張を支える証拠を出さずに「俺はこう思う。なぜかって?俺がそう思うからさ!」という論法が許されるのは、本当にカリスマ性を持つ一部の人に限られると思います。
自分に都合の良い証拠だけ扱うこと、都合の悪い証拠は無視することも、誠実に議論にあたる態度とは言えないでしょう。
マスメディアが「切り取り報道」として批判される問題も、「嘘はついてないよ?一部の情報を伝えただけ」という態度に集約される気がしています。
なぜかって?私がそう思うからです!
補足:詭弁と誤謬の実践例
上記「3. 証拠を出さない」に関して、自己矛盾の塊にはなりたくないので、最後に詭弁と誤謬のいくつかの手法を紹介します。
詭弁(きべん) :間違っていることを、正しいことだと思わせるような言い方。
誤謬(ごびゅう):間違えること、間違い。一見正しそうに見える、誤った推理。
ざっくりとした理解で言うと、「わざとじゃない」のが誤謬で、「意識・無意識によらずわざと」行うのが詭弁。
以下、良くない考え方&主張の仕方の実践例です。何個思い当るかな??
早まった一般化
「これまで3人のバンドマンと付き合ったけど、皆私を大事にしてくれなかった」
→「だからバンドマンはクソ」
未知検証
「ツチノコがいない証拠は無い」
→「だからツチノコは存在する」
誤った二分法
「借金をなんとか返すか、自殺するか、どちらかしか選べない」
論点のすり替え
「それはそうとして、お前臭いよ」
「でもお前彼女いないじゃん」
ストローマン論法
A「子供が道路に急に飛び出すと、自動車事故に巻き込まれる可能性があるので危ない」
B「A氏は『子供を外で遊ばせるな』とおっしゃるんですね!ひどい!」
人格攻撃論法
「ナチスは優生学を主張していた」「しかしナチスは残虐な行為を行った」
→「だから優生学という考え方は間違いである」
「ジョージ・ワシントンは奴隷を所有していた」「ワシントンは偉大な人物だ」
→「だから奴隷制度は正しい」
ヒュームの法則
「~である」という命題から、推論によって「~すべき」という命題は導き出せない
「タバコは身体に悪い」→「だからタバコを吸ってはならない」
「人類はこれまで戦争をしてきた」→「だから戦争をすべきだ」
道徳主義の誤謬
「人は皆平等であるべきだ」→「だから能力が遺伝するという研究結果は間違っている」
「殺人はしてはいけない」→「だから殺人事件は存在しない」
同情論法
「そんなことをしては可哀そうだから女の子を問い詰めてはいけない。『領収書出して』って言っちゃダメ!」
含みのある言葉
「この問題を解決するためには成熟した大人の判断が必要となるだろう」
→反対意見は「幼稚で子供な意見」だとレッテル貼り
脅迫論法
「俺の言うことが聞けないなら、このプロジェクトを降りろ。」
「規則ですから、従ってください。警察を呼びますよ」
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
口喧嘩に負けないためにも、詐欺師に騙されないためにも、
詭弁&誤謬マスターを目指しましょう!!
参考資料