<要約>
クアドラティックボーティングという新しい投票方法を試してみた
36人にご協力いただき、コンテンツ19個の人気投票を行った
既存の方法(例:1人1票)よりもグラデーションのある結果が得られたと感じた
0. はじめに
農業農村工学(以下、NN)は、食料生産や防災、建設土木など、様々な分野で社会に貢献している学問である。しかし、現状NN分野に特化した就職サイトは存在せず、学生が「学んだことを活かしたい」と思ったとしても、
①指導教員に相談する、研究室の伝手を使う
②既存の就職活動支援サイト(マイナビ、リクナビ等)に登録する
という方法を取る必要がある。
0.1 既存の就活のデメリット
「そういう考えの人もいるかも(事情もあるかも)ね~」程度ですが、以下のデメリットが挙げられます。
- 指導教員に気を使う
- 就職してから、「何かあれば先生や後輩に迷惑をかけるかもしれない」と不安に思う
- 大学で学んだNN分野に興味はあるが、指導教員との折り合いが悪い
- 気軽に就職活動をしたい
- マイナビ、リクナビの登録企業の中でNN分野はごく少数であり、探すのに苦労する
- 既存のサイトの登録料は高価であるため、登録していない企業も存在する
「NN分野に興味はあるが、情報収集をするのが面倒」
「大学の勉強のモチベーションが上がらない(仕事にどう活きるか想像できない)」
といった学生のニーズがあるのではないか?
0.2 NN特化型就職活動支援サイトの構想
今よりも学生にとって気軽に、企業・官公庁にとって安価に、そして確実に
就職活動を支援するサイトを作成したい
NN就活ナビ(仮称)
目指すは「三方良し」
学生:より気軽に
企業・官公庁:より安価に
サイト運営(大学院生・社会人):NN業界の振興、人手不足解消
既存の大手就活サイトへの掲載料は1社100万円単位(知らんけど)
NN就活ナビでは、小規模な分、1社あたりの掲載料を安くできる
予定支出項目:
- サーバー維持費
- 外部講師への執筆依頼料
- 合同説明会の開催
夢が広がりんぐ(実現できるかは知らん)
優秀な学生にNN分野に来てほしい
旧民主党政権時代の公共政策控えの結果、NN業界の人口比率はめちゃくちゃです
「建設業界の予算、70%カット」ってどういうことやねん
100%が70%に減った(30%カット)ではなく、100%が30%に減った(やばい)
建設業界ではリストラや新卒採用控え、内部留保金で対応したらしい
→対応できずに倒産した企業もある
埋蔵金なんて無かったんや
事業仕分けなんてただのパフォーマンスや
「自民党にお灸をすえる」って考えで民主党に投票したんですか?
私は当時小学生でしたが、メディアの煽りがひどかったことは覚えています
リーマンショックも東日本大震災も、それ自体起こってしまったことは仕方がないけれど
対応があまりにもお粗末でした
このままだと10~20年後、人手不足で死んでしまいます(私が)
興味を持ってくれるだけでもありがたい(切実)
興味を持ってくれた学生を取りこぼさないようにしたい
しっかり情報収集して、自分の将来を考えた結果「やっぱりNN以外に就職しよう」となったら、それはそれで良し
まず知ってもらいたい、興味を持ってもらいたい
1. クアドラティックボーティングの概要
クアドラティックボーティング(Quadratic voting)は、以下のルールに基づく投票方法です。
quadratic: 2次の(平方の)
voting: 投票(vote: 投票する)
ルール1. 投票者が持つポイントは1人当たり99 pt
ルール2. 票を投じるごとに「平方倍のpt数」を消費する
例:
1票 1×1 = 1 pt
2票 2×2 = 4 pt
…
9票 9×9 = 81 pt
ルール3. 1人の候補者に投票できるのは1回まで
最大でも1人の候補者に9票しか投票できず、18 pt余る
ポイントを使い切りたければ、複数の候補者に投票する必要がある
※複数の候補者への投票を推奨する
2. やってみた
2.1 対象:NN分野の学生および若手社会人
学生の所属大学
東京大学、滋賀県立大学、京都大学、大阪公立大学、近畿大学、鳥取大学
社会人の属性
友人、知人、会社の同期、農業農村工学サマーセミナー関係者
2.2 投票先:NN就活ナビ(仮)のコンテンツ
19個
「こんなコンテンツがあったらいいな~」
「学生の時にあればよかったな~」
と思ったものをつらつらと羅列しました
詳細は「3. 結果」で
2.3 利用したサイト
手順
- Create an event
- EVENT TITLEを入力
- EVENT DESCRIPTIONを入力
- NUMBER OF VOTERSを入力(最大250名)
- VOTE CREDITS PER VOTERを入力(今回はデフォルトの99pt)
- EVENT START DATEを入力
- EVENT END DATEを入力
- Options(投票候補)を入力(OPTION TITLE, OPTION DESCRIPTION, OPTION LINK)→Add Optionを押す
- 全ての投票候補を作成(最低2つの候補を作成する必要がある)
- イベントを新規登録する
- 「イベントURL」「管理者URL」「投票URL」をメモ(投票URLは有権者一人ずつに生成されるので、テキストファイル(.txt)でダウンロードすると便利)
2.4 依頼用文章
お疲れ様です。○○と申します。
クアドラティックボーティング(直訳:「二次の」「投票」)へのご協力をお願いしたく、
ご連絡いたしました。
(以下、説明)
クアドラティックボーティング(Quadratic voting)は、「1人1票」ではなく
以下のルールを持った投票方法です。
-
投票者が持つポイントは1人当たり99 pt
-
票を投じるごとに「平方倍のpt数」を消費する
例:
1票 1×1 = 1 pt
2票 2×2 = 4 pt
…
9票 9×9 = 81 pt -
1人の候補者に投票できるのは1回まで
(最大でも1人の候補者に9票しか投票できず、18 pt余る)
(ポイントを使い切りたければ、複数の候補者に投票する必要がある)
※複数の候補者への投票を推奨する
投票用URL(投票締め切り:2023年10月31日23:30)
「ここに投票URL(個人ごと)を入力」
操作説明
- ブラウザで投票用URLを開く。
- 興味を持ったコンテンツに、「+」(黒色のプラスボタン)を押して投票する。
- 自分の総ポイント(ブラウザの右側に表示)が0になるまで投票する。
- 「Submit Votes」を押して投票完了。
(説明終わり)
ご協力いただける場合、上記のURLから投票をお願いします。
また、「自分の知り合いに協力してもらえそうな人(NN関係者)がいる」という場合、
その人数を教えていただけますでしょうか。人数分の投票用URLをお送りいたします。
お手数をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
参考資料
https://www.kotobato.jp/articles/technology/try-quadratic-voting-via-radicalxchange.html
3. 結果
3.1 回答数:36人
3.2 投票結果グラフ
3.3 投票結果表
コンテンツ名 | 内容・目的 | 得票数 |
---|---|---|
三力の解説記事 | NN分野の必修科目解説 | 104 |
今後のNN業界の展望 | NN業界の将来性 | 86 |
NN業界分析 | 就活に必須とされる業界分析 | 85 |
仕事に役立つNN必修科目 | 勉強のモチベ維持 | 69 |
公務員試験対策 | NN分野の公務員試験対策 | 68 |
面接対策 | 人事部にインタビュー | 68 |
プレゼンのコツ | 大人になっても必要な知識 | 59 |
NN学会&学生座談会 | 学会の人と話してみたい | 51 |
NN特化型自己分析テスト | いくつかの質問→適職診断 | 46 |
学生のうちにやっておいた方が良いこと | 個人的には旅行 | 43 |
文章のコツ | 大人になっても必要な知識 | 43 |
自己分析 | 就活の定番 | 40 |
大学院入試対策 | NN科目解説 | 36 |
ES対策 | 就活の定番 | 34 |
SPI3対策 | 就活の定番 | 30 |
学生掲示板 | 悩みを相談できる場所 | 25 |
ビジネス用語解説 | 大人になって必要な知識 | 23 |
BUZZ MAFFとコラボ | 伝手など無いがこれから作る | 23 |
ビジネスマナー講座 | 大人になって必要な知識 | 22 |
3.3 回答してくれた人の感想(抜粋)
- 知らない投票方法だったので楽しかった
- ポイントを使い切るという概念が、関西人魂をくすぐる
- 新しい仕組みで新鮮、面白い
4. 考察
4.1 上位コンテンツ(必修科目解説、今後のNN業界の展望、NN業界分析)
4.1.1 必修科目(水理学、土質力学、構造力学)の解説記事
難しいんですわ~
入門レベルと大学レベルの間を埋める教材が少ないんですわ~
ということで宣伝します(唐突)
4.1.2 今後のNN業界の展望
私も知りたい
主な課題:労働人口の減少、施設の老朽化、市場規模の縮小、残業時間、男女格差
解決策の提案:ICTの活用、DX化、ストックマネジメント、広報活動、働き方改革
どの業界でも同じだけど、就職氷河期世代の人口が少ない(中堅がいない)
現在50~70歳のベテラン世代が引退すると、確実に人手不足に陥る
引退前にベテラン世代のノウハウを若手に受け継がないと詰む
「昔は手書きで図面を書いたんじゃよ」→CADの利用
「昔は助手席で地図を開いて案内したんじゃ」→カーナビ、Google Mapsの利用
(今も紙の地図は使う、大事)
昔ながらの技術を継承しつつ、新しいデジタル技術を使いこなそう
4.1.3 NN業界分析
正直自分は就活当時あまりやってなかった
「NN業界で働きたい」って思えたらそれで十分だと思うけど、そう思えるための根拠を提示したい
4.2 学生向けコンテンツ
目標:NN分野の学習サポート、お悩み相談、就職活動のサポート
4.3 社会人向けコンテンツ
目標:ビジネスパーソンとして必要な知識を提示する
5. 今後の展望
5.1 反省点
- 投票をお願いする文章が怪しすぎる(反省)、呪いのチェーンメールかよ…
- 説明が難しい:投票用URLそれぞれに対して1人分の投票システムが割り当てられている
5.2 提案
- 依頼用文章(投票用URLは後程お送りいたします)&投票用URL、の組み合わせで依頼する
6. おわりに
楽しかった
NN必修科目の解説記事の需要が高いことが分かり、執筆のモチベーションが上がった
謝辞
今回ご協力いただいた皆様に、深く御礼申し上げます。
ありがとうございます。
7. 参考文献