#背景
- 粒子法では圧力の解が振動(圧力振動)するような数値誤差が存在する.
- 圧力振動の発生によってシミュレーション品質が損なわれる.
#適切な影響半径の設定について
以下の図は静水槽の底面における圧力振動を比較したものである.それぞれ,粒子径をd[m]とした時,緑が理論値,オレンジが影響半径reを4.1d[m],青が2.1d[m]としたときのものである.図からわかる通り,__影響半径が大きい方(オレンジのre=4.1)が圧力振動が少ない__ことが分かる.これは圧力の解が1STEP毎に影響半径の範囲内で各粒子に伝播するためである.ゆえに,小さい影響半径では伝搬の次数が増え圧力振動が増大した.また,青の影響半径re=2.1は途中で計算が破綻しているためグラフは途中で切れている.
図. 圧力振動の比較
しかし,影響半径を大きくした場合,計算コストが増大するのは自明(影響半径内の粒子が増える)であり,シミュレーション系に応じた適切なパラメータ選択が必要である.例えば,__静水槽では影響半径は4.1,水柱崩壊では影響半径は2.1__ぐらいが推奨されるだろう.
表. 影響半径と圧力振動
#結論
- 圧力振動の発生と計算時間の速さはトレードオフの関係にあり,シミュレーションユーザはシミュレーション系に応じた適切なパラメータ設定が求められる.