はじめに
フリーランスSEの生天目佳高です。スタートアップの技術支援をしていると、
「GA4の設定をお願いします」という依頼をよく受けます。
しかし、設定後に「使い方が分からない」と相談されることも多いです。
実は、GA4は非エンジニアでも十分活用できるツールです。
今回は、マーケター向けにGA4の基本的な導入と活用方法を解説します。
GA4とユニバーサルアナリティクス(UA)の違い
まず、従来のUAとGA4の主な違いを理解しましょう。
データモデルの変化
UA: セッションベース
GA4: イベントベース
主な改善点
プライバシー保護の強化
アプリとWebの統合分析
機械学習による予測機能
BigQueryとの連携(無料)
基本設定の流れ
- GA4プロパティの作成
javascript// Google Tag Manager使用時の基本設定
gtag('config', 'GA_MEASUREMENT_ID', {
page_title: 'ページタイトル',
page_location: 'URL'
}); - 重要なイベントの設定
GA4では、以下のイベントを最初に設定することを推奨します:
page_view(自動収集)
scroll(拡張計測で有効化)
click(カスタムイベント)
form_submit(カスタムイベント)
- コンバージョンの定義
マーケティング活動の成果を測定するため、コンバージョンイベントを明確に定義します:
javascript// 購入完了イベントの例
gtag('event', 'purchase', {
transaction_id: '12345',
value: 25.42,
currency: 'JPY',
items: [{
item_id: 'SKU123',
item_name: '商品名',
category: 'カテゴリ',
quantity: 1,
price: 25.42
}]
});
マーケターが注目すべき機能
- 探索レポート
従来のカスタムレポートに相当する機能です。
経路データ探索: ユーザーの行動フローを可視化
ファネル探索: コンバージョンプロセスの離脱点を特定
コホート探索: ユーザーのリテンション分析
-
オーディエンス機能
高度なセグメンテーションが可能です。
javascript// カスタムオーディエンスの例
// 「過去30日間に3回以上訪問したユーザー」
conditions: [
{
parameter: 'session_count',
comparison: 'GREATER_THAN',
value: 3
}
] -
アトリビューション分析
マルチチャネルでの貢献度を正確に測定できます。
実装時の注意点
データの保持期間
GA4はデフォルトで2ヶ月間のデータ保持です。必要に応じて14ヶ月に延長しましょう。
プライバシー設定
GDPR対応のため、適切な同意管理を実装してください。
javascript// 同意管理の例
gtag('consent', 'default', {
'analytics_storage': 'denied',
'ad_storage': 'denied'
});
// ユーザー同意後
gtag('consent', 'update', {
'analytics_storage': 'granted'
});
スタートアップでの活用事例
私が支援しているスタートアップでは、GA4を以下のように活用しています:
A社(SaaS)の場合
無料トライアル登録率の改善
機能別の利用状況分析
チャーン率の予測
B社(EC)の場合
商品カテゴリ別の売上分析
カート放棄率の改善
LTVの予測
まとめ
GA4は確かに学習コストが高いツールですが、マーケターにとって強力な武器になります。重要なのは:
段階的な導入: 基本設定から始めて、徐々に高度な機能を活用
目標の明確化: 何を測定したいかを事前に定義
継続的な改善: データを基にした仮説検証サイクルの構築
技術的な設定で困った場合は、エンジニアと連携しながら進めることをお勧めします。GA4を使いこなして、データドリブンなマーケティングを実現しましょう。