SupershipでVPoEをしている名畑です。僕とロボコは好きで原作も読んでいるしアニメも見ているんですが、様々なパロディの元ネタを今のジャンプ読者はわかるんだろうかといつも気になります。
本記事でTOEICという言葉が用いられる場合はTOEIC Listening & Reading Testを指しています。
本記事は2023年3月4日時点の情報を元にして書かれています。
はじめに
Webエンジニア関連の情報収集をしていると、プログラミング言語や開発組織マネジメントについて等だけではなく、英語学習系の記事が引っかかってきます。まあそれだけWebエンジニアと英語というのが様々な面において切り離せないのだろうと思います(ドキュメント読解、発信、検索、交流、転職……)。
私も英語の勉強は好きです。
エンジニアとしてというより、海外旅行が趣味の一つだからという理由が大きいです。ここ3年は残念ながら行けてはいないですが。
過去の当たり前が今の当たり前とは限らないですね。
最近の英語学習のアプリやサービスは本当に感動するぐらい出来が良くて、20年前や10年前どころか5年前や3年前と比べても飛躍的に向上していると感じます。
ただ、英語オンリーな職場で議論バリバリしたいとか英語の映画をほぼ完璧に理解したいといった高い目標でなければ自分がその勉強を続けられるかどうかを主に気にすればいいのではないかと思ったりはします。
とは書いたものの、モチベーションの維持というのはなによりも難しいものです(そもそもモチベーションが維持できないような状況であればやる必要がないという考えもあるが)。
モチベーションの維持の方法は人それぞれでしょうが、定番の手段として、試験を受けるというものがあります。能力の可視化というのは大きいものです。また、受験のためにお金を払ったという事実も気持ちに寄与するでしょう。
ただ、試験は、お金の問題もありますが、受けるのが面倒です。
最後に受けたのがもう数年前なので今は違うかもしれませんが、たとえばTOEICだと、試験の1ヶ月半前までに申し込みを済ませ、当日までに写真を用意して、当日は試験中にトイレに行きたくならないように事前にコーヒーとか飲まないように気をつけて、会場まで行って、音声が聴きやすいように前の方の席であることを願いながら席順を確認して、くしゃみが出たら周りに迷惑かけるし嫌だなとびくびくし、しかも基本的に日曜日開催で、さらには結果を確認できるまで2週間かかる。
前置きが長くなりましたが、今回は、私が過去に受験した英語の能力判定のうちVERSANTとCASECの2つがどういったものなのかを記します。
24時間受験可能で申し込みから結果発表までオンラインのみで完結する試験なのです。家から出なくて済むの最高です。
端的には、VERSANTはSpeaking能力が測れ、CASECはかなりTOEICに近くてListeningとReading能力を測ることができます。どちらも即時結果判定です。
英語学習者の参考になればと考えたのはもちろんのこと、あと、エンジニア目線としては、今時の英語能力判定がどういった環境でどういった仕組みで行われるのかを書き残しておきたかった。
VERSANT
VERSANTはスピーキング、ライティング、プレイスメントの3つの試験があるのですが、今回はスピーキングについて取り上げます。
クレジットカード払いであればオンライン完結で、しかも、20分という短い試験時間です。
スピーキングのテストは数が少ない上に結果までに時間がかかるイメージがありますが、VERSANTはAIによる判定のためほぼ待たずに結果が出ます(回答データのアップロードと解析で5分程度)。
発音力まで測ってくれるのがかなり嬉しいです。
種類としてはスピーキングテストですが、リスニング能力があることがほぼ前提になっています。しかも個人的感覚としては、あえてでしょうが、音質的な意味でも発音的な意味でもTOEICより聴き取りづらい。
あと、かなり記憶力を試されている感覚に陥ります。これは私に記憶力がないからそう思うだけですかね?
支払いをクレジットカードで行なっても受験番号(TIN)の発行までに時間が必要なことはご注意ください(後述)。
TINはTest Identification Numberの略です。
概要
- 運営:Pearson
- 日本国内では日本経済新聞社が独占販売権を保持
- 販売代理店は株式会社ディスコと株式会社ドリームブロッサム
- 個人受験料金:5,500円(税込)
- 株式会社ディスコ:コンビニ or クレジットカード
- 株式会社ドリームブロッサム:クレジットカード
- 支払い完了後一定時間を経て受験番号が発行される。株式会社ドリームブロッサムの場合は下記。
※平日の14:00までのご注文(お支払い完了)の場合、当日の18:00までにメールを送信いたします。
※平日14:00以降のご注文・土日祝日のご注文の場合、翌営業日にメールを送信いたします。
- 試験時間:約20分
- 受験環境
- PCも可能だが推奨はスマートフォン
- スマートフォン
- iOS / Android
- 専用アプリをインストールして受験
- ヘッドフォン並びにイヤフォンが使用可能だが、ワイヤレスタイプは使用禁止
- iOS / Android
- PC
- Windows / Mac / Linux
- Firefox / Chrome
- Windows XP SP3 / Vista / 7 / 8 / 10については専用アプリあり
- ピンジャックタイプ、ワイヤレスタイプのヘッドセットと内蔵マイクは使用不可
- Windows / Mac / Linux
- スコア:20〜80
推奨はスマートフォンでの受験です。私もこちらを選びました。
ワイヤレスイヤフォンしか持っていなかったので、スピーカーで受けました。
PCの場合はピンジャックもワイヤレスも内蔵マイクも使用禁止なので、USBタイプのヘッドセットを用意することになりますでしょうか。
問題形式
アプリもしくはブラウザでサンプル問題を試すことが可能です。私はiOS版のアプリで行いました。本番同様の形式のため、かなり参考になりました(問題数は本番と違います)。
日本語での説明がまったくない上に、20分という短時間で63問が次々と出題されます。試験形式を知らないとあたふたしたまま終わってしまいますので、サンプル問題は事前に絶対やっておきましょう。
iOS版アプリの場合は試験開始時点でネットワークを切断するように指示され、テスト終了後に回答アップデートのためネットワークの接続を指示されました。
また、試験中のメモは禁止です。
回答はすべてマイクに対して喋る形式です。
試験前にはマイクテストがあります。
Introduction 自由回答
自由回答形式の質問に30秒間で回答する。
こちらの資料によると採点には影響しないが、団体受験した場合に管理者はこの音声を聴くことが可能だそうです。受験者目線で言えば、管理者に聴かれるってことになります。
Part A 音読
- 問題数:8
画面に表示された英文を読み上げます。
リスニング要素はありません。ただ上手に話せるかだけを問われます。
Part B 復唱
- 問題数:16
流れてきた音声を繰り返して言います。つまりはオウム返しするだけ。
長文なわけではないですが、覚えることがそもそも難しい。英語力が低いからこそ覚えられないってことなんでしょう。
Part C 質問
- 問題数:24
流れてきた質問に答えます。
質問自体は非常にシンプルで、日本語にしたら誰でも解けるようなレベルのものです。聴き取れさえすればという問題です。それが難しいんですが。
Part D 文の構築
- 問題数:10
単語もしくは単語の連なりが複数個(3つ固定?)読み上げられ、それを並び替えて正しい文章として答えます。要は「likes」「he」「cake」と言われたらHe likes cakeと答えるようなイメージです。実際にはこんな簡単じゃないですが。
これも記憶力が問われます。
Part E ストーリーリテリング
- 問題数:3
短い物語が読み上げられます。そしてそれを聞き終わった後に、30秒以内で要約して話します。
これも記憶力が求められるのですが、他に比べると物語性があるので比較的覚えやすいと感じました。
Part F 自由回答
- 問題数:2
質問に40秒間で回答します。質問は2回読まれます。
Introductionと秒数が異なります。
検索して調べてみると様々なところで採点対象外ということが言われているのですが、それを示すソースは見つからなかったです。
結果
5分ほどでスコアレポートが閲覧可能になります。サンプルはこちら。
表示形式は日本語、英語等の10言語を選択できます。
スコアは20〜80の範囲で出されます。日本人平均は38だそうです。GSE換算とCEFR換算も表示されます。英検やTOEFLやIELTSなども含めたVERSANTスコアとの対照表はこちらをご覧ください。
文章構文、語彙、流暢さ、発音という4領域でのスコアも同じく80点満点で出されます。自分の弱点がすぐにわかります。私は発音能力が低いという現実を突きつけられました。
全体スコアに対する比率としては 文章構文と流暢さは30%、語彙と発音が20% だそうです。
CASEC
CASECは英語コミュニケーション能力判定テストと銘打たれており、リスニングとリーディングの能力が測られます。試験の傾向としてはTOEICにかなり近いですが、ディクテーションがあることがTOEICとの違いでしょうか。
CASEC SPEAKINGというスピーキング能力を測る形式もあるのですが現在は団体のみ受験可能です。
今回はリスニング・リーディングを測ることができる通常のCASECについてのみ記します。
CASECもクレジットカード払いであればオンラインで完結する上に、受けたいときに受けられ、TOEIC並びに英検だとどのレベルに自分がいるかを換算でき、しかもTOEICのほぼ半額で時間も短いので、モチベーション維持にはかなり有益に思えます。
概要
- 運営:株式会社 教育測定研究所
- The Japan Institute for Educational Measurement, Inc.で略称はJIEM
- 個人受験料金:3,667円(税込)
- コンビニ or クレジットカード
- 購入後すぐに受験可能
- ただしコンビニの場合は支払いから1日以内の時間がかかる
- 試験時間:40分〜50分
- 受験者の回答時間に左右される
- 受験環境
- PC
- Windows 10/11
- Chrome / Edge
- Macintosh OS 10.10以降
- Chrome / Safari
- Windows 10/11
- ヘッドフォン着用もしくは静かな場所での受験推奨
- PC
- スコア:0点〜1000点
- 各Section250点
問題形式
CASECガイドツアーで一通りの流れがわかりますので、実際に受験する際には、こちらを試してみるのが良いかとは思います。
受験はすべてブラウザ(別窓)で完結します。
また試験の特徴として適応型のテストシステムと銘打たれています。個人の能力でテスト問題が変化するので短時間で終わるというものです。
Section 1 語いの知識
- 問題数:16
- 解答時間:各問題60秒
- 解答方式:文章の空欄に適切な単語を選択(4択)
音声は流れません。
TOEICのPART5(短文穴埋め問題)に近いです。
Section 2 表現の知識
- 問題数:16
- 解答時間:各問題90秒
- 解答方式:文章の空欄に適切なフレーズを選択(4択)
音声は流れません。
TOEICのPART5(短文穴埋め問題)に近いです。
Section 3 リスニングでの大意把握力
- 問題数:17問
- 解答時間:各問題60秒
- 解答方式:質問に適した解答を選択(4択)
まず質問だけが表示された状態で音声が流れます。
音声が流れ終わると選択肢が表示されます。
TOEICのPART3(会話問題)やPART4(説明文問題)をイメージしていただければと思います。ただ、TOEICのこれらは1つの音声につき問題が3つありますが、CASECでは1つです。
また、選択肢が後から表示されるので先読みはできません。
Section 4 具体情報の聞き取り能力
- 問題数:11問
- 解答時間:120秒
- 解答方式:ディクテーション
空欄のある文章が表示されます。
次にその文章を読み上げる音声が流れます。
空欄を埋めます。
いわゆるディクテーションです。TOEICには存在しない問題形式ですね。
結果
受験完了するとすぐにスコアレポートを閲覧可能になります。サンプルはこちら。日本語か英語が選べます。
各パートのスコアが250点満点で表示され、TOEICのスコア目安と英検の級の目安も表示されます。
また、受験者のスコア分布のどこに自分が位置しているか、また語彙力、表現力、聴解力のそれぞれでの学習アドバイスも示されます。
問題形式が近いから当然かもしれないですが、個人的な感覚としては、TOEICのスコアとの相関は強い気がします。英検との相関はわかりません。英検を最後に受けたのがもう30年ぐらい前でして……。
最後に
昔と比べると自分の英語力を測るということに対するコストもずっと下がりましたね。素晴らしい時代になりました。
後は自分が頑張るのみ……。
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