はじめに

システム設計において、処理詳細の記述は重要な作業の一つです。
処理詳細には、機能の具体的な処理内容や手順、入出力条件、例外処理などが記載されています。
本記事では、システム設計書における処理詳細の書き方について、コツとポイントを解説します。

1.処理詳細とは何か？

処理詳細とは、システム設計書において、システムが行う各機能の処理内容や手順、入出力条件、例外処理などを具体的に記載したものです。
処理詳細は、システム開発において重要な情報を提供し、設計者や開発者、テスターなど関係者のコミュニケーションを円滑にする役割を持っています。

2.処理詳細の役割と重要性

処理詳細は、システム開発において以下のような役割を持っています。

・ 機能の正確な理解を促進する
・ 開発者による実装のための手順書として機能する
・ テストの基準として機能する
・ 開発者やテスター、その他関係者の意思疎通を助ける

処理詳細は、システム開発において非常に重要な情報であり、
設計者や開発者、テスターなどが正確な理解を持っていることが求められます。

3.処理詳細を書く前に考えるべきこと

処理詳細を書く前には、以下のようなことを考えておく必要があります。

3.1 機能要件を明確にする

システム設計書の中で処理詳細を記述するためには、まず機能要件を明確にする必要があります。
処理詳細は、システムがどのように動作するかを記述するためのものです。
そのため、まずどのような機能が必要かを明確にすることが重要です。

3.2 全体の流れを把握する

処理詳細を書く前には、全体の流れを把握することも重要です。
システム設計書の中で、処理詳細はあくまでも一部であり、
全体のシステムの流れを考慮した上で、処理詳細を記述する必要があります。
全体の流れを把握しておくことで、処理詳細を正確に記述することができます。

3.3 制限事項を把握する

処理詳細を書く前には、制限事項を把握することも重要です。システムには、様々な制限事項があります。
たとえば、処理速度やデータ量の上限などがそれにあたります。
これらの制限事項を把握しておくことで、処理詳細をより現実的なものにすることができます。

4.処理詳細の書き方のコツ

処理詳細を書く際には、以下のようなポイントに注意することが大切です。

4.1 抽象度を適切に調整する

処理詳細は、システムの実装者が実際に手順を実行するための指針となるものです。
そのため、抽象度が高すぎると実装者が理解しにくくなります。一方で、詳細すぎると逆に読み手が混乱することがあります。
適切な抽象度を選択するためには、読み手のレベルや、システムの規模、実装者の経験などを考慮する必要があります。
ただ、現場によってのすでに作成されているものを参考にして抽象度を調整することも大切です。

4.2 具体的な手順を記載する

処理詳細は、具体的な手順を記載することが求められます。手順を記載する際には、以下のような点に注意することが重要です。

・ 手順の実行に必要な入力データを明示する
・ 手順の実行結果として出力されるデータを明示する
・ 手順に関する前提条件や注意点を明示する
・ 手順に関する制約事項を明示する

4.3 入出力条件や例外処理も記載する

処理詳細には、処理に必要な入力条件や、処理後に出力されるデータなど、入出力に関する情報を含めることが必要です。
また、想定されるエラーの種類や、その際の例外処理についても記載することが望ましいです。
例えば、ある処理が特定の入力値に対してエラーを返す場合、そのエラーの内容や、
エラーが発生した場合の処理内容について、明確に記載しておくことが重要です。

5.処理詳細のレビューと改善

システム設計書に書かれた処理詳細は、設計の実現性や正確性を確保するために重要です。
しかし、一人で書いた設計書が完璧かどうかを判断することは困難です。そのため、レビューと改善が必要となります。

まず、レビューは他の設計者や関係者に設計書を確認してもらうことです。
レビューを受けることで、自分の設計の誤りや見落としが発見され、改善することができます。
レビューの際には、以下の点に注意して行いましょう。

・ 設計の完全性を確認する
・ 正確性や妥当性を確認する
・ 一貫性や統一性を確認する
   （自分の記述した内容はもちろん、ほかの資料と比べて統一されているかも確認しましょう）
・ わかりやすさや明瞭性を確認する

また、レビューは複数回行うことが望ましいです。
最初のレビューで指摘されなかった問題点が、2回目や3回目のレビューで指摘されることもあります。

レビュー後、改善が必要とされた場合は、設計書を修正しましょう。
設計書を修正する際には、以下の点に注意して行いましょう。

・ 指摘された問題点に対して、正確に修正する
・ 修正後の設計書が、一貫性や統一性を保ったままになっているか確認する
・ 修正後の設計書が、わかりやすく明瞭になっているか確認する

6.まとめ

システム設計書の作成において、処理詳細を書く際には、機能要件や制限事項を明確にし、具体的な手順を記載することが重要です。
また、レビューと改善によって、設計書の完全性や正確性を確保し、一貫性や明瞭性を保ちましょう。
これらのポイントを押さえることで、より良いシステム設計書を作成することができます。