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はじめに

この記事はQiita Tech Festa 2025参加記事です

こんにちは、うるるの松永です!

2022年11月のChatGPT登場以降、私たちの「検索」という行動が、根本的に変わりつつあることを実感している方も多いのではないでしょうか。

「〇〇〇とは」でググる代わりに、ChatGPTに「〇〇〇についてサルでも分かるように教えて」と聞く。

そんな体験が当たり前になってきました。

image.png

私の両親はともに70を超えていますが、二人ともChatGPTを使いこなしています。
つい1年前まではYahooアプリで検索してたのが、最近は「チャットに聞いたらさ〜」と楽しそうに話しているのを見て、
「若い人だけではなく全世代で広がりつつあるんだなぁ…」
と、肌でパラダイムシフトを感じています。

この変化に伴い、LLMO(Large Language Model Optimization) という新しい概念が囁かれはじめているのはご存知でしょうか。

これは簡単に言うと、「AIに理解してもらい、引用してもらうための最適化」です。

従来のSEOが「検索結果で上位表示される」ことを目指していたのに対し、LLMOは「AIの回答に情報源として採用される」ことを目指します。

今回は、このLLMOがどのように発展していくのかを、事実と仮説に分けて考えてみたいと思います。

検索パラダイムの変遷

まずは、検索というものがどのように進化してきたのか、事実ベースで簡単に振り返ってみたいと思います。

1990年代:人力ディレクトリの時代

インターネット黎明期、Yahoo!カテゴリに代表される「ディレクトリ型検索」が主流でした。
人の手で分類されたカテゴリをたどって、目的のサイトを探す。
今思えば、なんとも牧歌的な時代だったと思いますし、私も当時はまだ中学生でしたが、Geocities + ホームページNinjaで量産した黒歴史サイトを、Yahoo!とかフレッシュアイとかビッグローブとかにポチポチ登録していたことを覚えています(笑
Geocitiesのサ終のお陰で今も平穏に暮らせております

2000年代:アルゴリズム検索とSEOの黄金期

Googleの登場により、PageRankアルゴリズムによる自動検索が主流になりました。
ここで生まれたのが SEO(Search Engine Optimization) という概念です。
エンジニアとしては、以下のような対策が定番です↓

  • titleタグ、meta descriptionの最適化
  • 内部リンク構造の設計
  • XMLサイトマップの作成
  • ページ速度の改善

「被リンクを集めれば順位が上がる」なんて単純な時代もありましたね(遠い目)

2010年代:モバイル・音声検索の台頭

スマートフォンの普及により、検索行動が少し変化しました。
「OK Google」「Hey Siri」といった音声検索も登場し、より自然な言葉での検索も増えました。
この頃から、キーワードの完全一致よりも「検索コンテキストの理解」が重要になってきたかなと感じています。

2020年代:生成AI・対話型検索の幕開け

そして現在。ChatGPTを初めとした大規模言語モデルが登場し、更には検索に特化したPerplexityが登場するなど、検索は「質問に対する直接的な回答を得る」体験へと進化しました。
「検索エンジン」に対して「回答エンジン」という概念が出てきました。

LLMOの現在地:何が変わり、何を最適化すべきか

では、SEOとLLMOは具体的に何が違うのでしょうか?
とても良い記事がありましたので、引用します。

SEO vs LLMO:パラダイムの転換1

項目           従来の SEO                 LLMO(Large Language Model Optimization)                                    
主な目標       検索結果ページで高順位を獲得する       AI生成回答において引用元として取り上げられる                              
対象プラットフォーム 検索エンジン(Google、Bing など) LLM(および ChatGPT、Gemini、Perplexity などの AI チャットボット/ツール)
コンテンツの焦点   キーワードの最適化と配置           文脈的関連性と抽出可能な情報                                        
構造         ページ単位の最適化               スニペットや断片レベルでの再利用                                      
ブランド戦略     ドメイン権威の構築               プラットフォーム横断での一貫したブランド言及                                
検索クエリの種類   短いキーワードやフレーズ           会話形式の複合的な質問                                          
リンク戦略       インバウンドリンクとアンカーテキスト     デジタルPRや信頼性の高い言及                                      
評価指標       検索順位、トラフィック、クリック数   引用率、言及の正確性、文脈適合度、そして何よりクリック数                          
コンテンツの長さ   完全なコンテンツ(網羅性)を重視       簡潔さと直接的な回答を重視                                        

この中でも、主な目標 が注目ポイントで、LLMOの世界で重要なのは、AIが複数の情報源から情報を統合して回答を生成する際に「信頼できる情報源として認識されているか」なんです。

「誰に?」というのはなかなか回答の難しい質問だとは思いますが、
LLMであっても従来の検索エンジンのインデックスをデータソースとして利用していると考えられるため、
これまでのSEOと同様に、E-E-A-Tを意識した制作は継続して取り組むべきだとは思いますが、
「そのページで伝えたいことを、いかに簡潔に伝えられるか」が大事になってきそうですよね。

技術的な最適化ポイント

SEOであってもLLMOであっても、エンジニアとして押さえておきたい、最低限の技術的なポイントは以下でしょうか。

1. 構造化データ(Schema.org)を整える

FAQスキーマやHowToスキーマなど、AIが理解しやすい形式でデータを提供する。
https://www.google.com/webmasters/markup-helper/u/0/

<!-- Google 構造化データ マークアップ支援ツールが生成した JSON-LD マークアップです。 -->
<script type="application/ld+json">
{
  "@context": "http://schema.org",
  "@type": "Event",
  "name": "うるるビジネスコンテスト",
  "startDate": "2015-07-27T15:30"
}
</script>

2. セマンティックHTMLの徹底

<article><section><aside>などの意味的なタグを適切に使用することで、AIがコンテンツの構造を理解しやすくする。

<article>
  <header>
    <h1>うるるビジネスコンテストについて</h1>
    <time datetime="2025-07-27">2025年7月27日</time>
  </header>
  <section>
    <h2>■労働力不足という社会課題に、ビジネスの力で挑む。第2回「うるるビジコン」開催。</h2>
    <p>内容...</p>
  </section>
</article>

3. 結論を最初に述べる

従来の「起承転結」型の文章構成から、「結論を最初に述べる」スタイルへの転換が重要かもしれません。
プロンプトエンジニアリングでも、長過ぎるコンテキストは回答の質に影響ありますしね!

## 良い例:アンサーファースト(本題に入るのが早い)
LLMOとは、AIシステムに理解・引用されやすくするための最適化手法です。
具体的には、構造化データの実装、明確な文章構成、権威性の構築などが含まれます。
[詳細な説明...]

## 悪い例:従来型(本題に入るのが遅い)
インターネットの歴史を振り返ると...
検索エンジンの進化により...
LLMの急速な発展が時代を...
そこで現在注目されているのがLLMOです。

LLMOの未来予想図:Webサイトはどう変わるか?

さて、ここからが本題です。
LLMOを突き詰めた結果、皆さんはWeb空間がどういう世界観になると思いますか?

以下は私の仮説が多分に含まれているので、「ふーん」程度に読んでいただけると嬉しいです!

ゼロクリック検索時代の到来

前提として、現在すでに、Google検索の約60%が「ゼロクリック」(検索結果ページで完結し、どのサイトもクリックされない)で終わっているそうです。2
強調スニペットの影響が大きいとは思いますが、この傾向はさらに加速しそうですし、
Dia等のAI搭載型ブラウザやPerplexityのような回答エンジンを使うユーザは、どんどん広がっていきそうです。
つい昨日、OpenAIのWebブラウザも発表されましたしね。3

Webサイトの進化の方向性(仮説)

Webサイト自体が無くなることはないと思いますが、LLMOを突き詰めた結果、ガラッと方向性が変わると面白いと思っています。

1. 動的協調Webサイト

リアルタイムでユーザーに適応する、超パーソナライズされた体験を提供。
フォーム入力の入力チェックエラーが出たときに、その項目のみと確認ボタンのみが表示されるとか、
記事を読んでいると、読了速度に合わせて次の段落がフェードインするとか、
いずれは縦解像度不要になって、スクロールバー自体が過去の遺物になったり。

// 将来的にはこんな感じ?
const userContext = await analyzeUserBehavior();
const personalizedContent = await generateContent(userContext);
renderDynamicUI(personalizedContent);

2. 全Webサイト総ヘッドレス化

ユーザー体験を提供する「器」から、AIエージェントのための構造化された機械可読な「データベース」へと進化。
まさにschema.orgだけを提供する世界観。

{
  "@context": "https://schema.org",
  "@type": "Event",
  "name": "うるるビジネスプランコンテスト",
  "alternateName": "ULURU Business Contest 2025",
  "description": "労働力不足問題をビジネスのチカラで解決する",

  "startDate": "2025-07-25T15:00:00+09:00",
  "endDate": "2025-07-25T17:30:00+09:00",

  "location": {
    "@type": "Place",
    "name": "株式会社うるる本社",
    "address": {
      "@type": "PostalAddress",
      "addressCountry": "JP",
      "addressRegion": "東京都",
      "addressLocality": "中央区"
    }
  },

  "organizer": {
    "@type": "Organization",
    "name": "株式会社うるる",
    "url": "https://www.uluru.biz"
  },

  "offers": {
    "@type": "Offer",
    "name": "最優秀賞",
    "price": "1000000",
    "priceCurrency": "JPY",
    "description": "賞金100万円 + うるるでの事業化支援"
  }
}

まとめ

我々は今、Webの歴史における大きな転換点に立っているのかもしれません。
SEOからLLMOへの転換は、単なる技術的な最適化の話ではなく、「情報をどう届けるか」という根本的な問いかけなのかもしれません。

AIが情報を要約して教えてくれる時代、それでも人がWebサイトを訪れる理由は何でしょうか?
きっとそれは、データだけでは伝わらない「体験」や「感動」、そして「人の温もり」なのではないでしょうか?!(いい話にしてる感)

LLMOを突き詰めた先に待っているのは、無機質なデータの世界(総ヘッドレス化)ではなく、
むしろ「人間らしさ」がより際立つWebの未来だといいなぁと思っています!

  1. https://writesonic.com/blog/llm-optimization

  2. https://searchengineland.com/google-search-zero-click-study-2024-443869

  3. https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2507/10/news070.html

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