【5: 極めて安全】ComfyUI の安全性調査レポート
- 対象AIサービス: ComfyUI
- 公式URL: https://www.comfy.org/ | https://github.com/comfyanonymous/ComfyUI
- 安全性レベル: 5: 極めて安全
エグゼクティブ・サマリー
法務判定: 導入可 - 企業・個人を問わず、積極的な導入を推奨
技術判定: 完全ローカル実行によるプライバシー完全保護、データ流出リスクなし
厚黒学的リスク: 極めて低(1/18項目のみ該当)
地政学的リスク: 極めて低(完全オープンソース、ローカル実行のためデータ主権侵害なし)
最終判定理由: ComfyUIは完全にローカルで実行されるオープンソースツールであり、ユーザーデータが外部に送信されることがない。GPL v3.0ライセンスによる強固な保護と、透明性の高い開発体制により、プライバシーとセキュリティの観点から最高レベルの安全性を確保している。
詳細調査結果 - 技術・法務分析とリスク評価
技術仕様の詳細検証
アーキテクチャとデプロイメント形態
提供形態: セルフホスト専用
- ソースコード: GitHub公式リポジトリ
- ライセンス: GNU General Public License v3.0
- 実行環境: Python 3.8+、ローカルマシンのみ
データフロー解析:
- 入力データ: 全てローカルファイルシステム上で処理
- 処理方式: ノードベースワークフロー(完全ローカル)
- 出力データ: ローカルファイルシステムに保存
- 外部通信: モデルファイルのダウンロード時のみ(任意)
セキュリティ認証とコンプライアンス
オープンソース透明性:
- 全ソースコードが公開されており、セキュリティ監査が可能
- GitHub上での活発な開発コミュニティ(58.6k stars)
- コミット履歴とレビュープロセスが完全に透明
データ保護実装:
# データはローカルファイルシステムのみで処理
# 例: models/checkpoints/, output/ ディレクトリ
# ネットワーク通信なし(モデルダウンロード除く)
過去のセキュリティインシデント分析
2024年6月 ComfyUI_LLMVISION事件:
- 影響範囲: サードパーティ拡張機能のみ(ComfyUI本体は無関係)
- 攻撃手法: Nullbulgeハッカー集団による拡張機能への悪意あるコード挿入
- 詳細: vpnMentor調査報告書
- 対応: 2025年1月セキュリティ強化策実装
現在の対策状況:
- 拡張機能レジストリでの自動セキュリティスキャン
-
eval
・exec
関数の使用制限 - コード難読化の禁止
- ランタイムでの
pip install
制限
法的条項の逐条解析
ライセンス条項(GPL v3.0)
主要条項の詳細:
Section 4: Conveying Verbatim Copies
- ソースコードのコピー・配布を無制限で許可
- 著作権表示の保持義務
Section 5: Conveying Modified Source Versions
- 改変版の配布時はソースコード開示義務
- 同一ライセンス(GPL v3.0)での配布義務
商用利用の法的分析:
- 個人利用: 完全自由、制限なし
- 企業利用: 内部利用は完全自由
- 商用配布: GPL v3.0準拠でソースコード開示義務あり
- SaaS提供: Webサービスとして提供する場合、ソースコード開示義務なし
参考: GitHub Discussion - 商用利用について
プライバシー・データ保護
ローカル実行によるプライバシー保護:
- ユーザーデータの外部送信なし
- プライバシーポリシー不要(データ収集なしのため)
- GDPR、CCPA等のコンプライアンス負担なし
開発者・組織背景の透明性分析
開発者プロフィール
主開発者: comfyanonymous
- 実名: 非公開(ハンドルネーム使用)
- 過去の所属: Stability AI(2024年6月まで)
- 現在の活動: Latent Space Podcast出演(2025年1月)
- 技術的背景: Stable Diffusion開発への深い関与
組織構造の透明性
Comfy Org(2024年6月設立):
- 所在地: サンフランシスコ、アメリカ
- 法的性質: アメリカ法人
- 投資家: Pace Capital、Chemistry、Cursor VC等
- 組織理念: "オープンソースでありつづける"明言
主要開発者:
- Dr.Lt.Data: ComfyUI-Manager開発者
- pythongosssss: ComfyUI-Custom-Scripts開発者
- Kosinkadink: AnimateDiff-Evolved開発者
厚黒学的要素の具体的評価
厚黒学チェックリスト結果(1/18項目該当)
☑ セキュリティ監査情報の非開示(過去インシデントの詳細な技術情報)
☐ 誇張的キャッチコピー → 「最もパワフル」は技術的事実に基づく
☐ "無料"条件の隠蔽 → 完全無料、隠れたコストなし
☐ 導入実績の誇張 → GitHub Starsなど検証可能な指標
☐ 成功事例の検証不可能性 → オープンソースで全て検証可能
☐ フリーミアム中途解約ペナルティ → 該当なし(完全無料)
☐ ToS深層条項 → ToS自体が存在しない(GPL v3.0のみ)
☐ オプトアウト選択肢欠如 → ローカル実行のため該当なし
☐ 包括同意強制 → 同意プロセス自体が存在しない
☐ サブプロセッサ不透明 → 外部処理なし
☐ 一方的責任転嫁 → GPL v3.0で標準的な免責事項のみ
☐ 企業秘密による技術詳細開示拒否 → 全ソースコード公開
☐ 虚偽希少性演出 → 該当なし
☐ ステルスマーケティング → 該当なし
☐ AI倫理審査体制の不在 → ローカル実行で不要
☐ バイナリインストール権限濫用 → 標準的なPython環境のみ
☐ 牛蒡抜きデータ連携 → 外部連携なし
☐ 強制クラウド同期 → クラウド機能なし
セキュリティ監査情報について
現状の課題:
過去のComfyUI_LLMVISION事件において、攻撃の詳細な技術情報や対策の具体的実装については、セキュリティ上の理由で一部非公開となっている。
評価:
これはセキュリティ業界の標準的な慣行であり、攻撃手法の詳細公開は新たな攻撃を助長する可能性があるため、適切な対応と評価できる。
コンプライアンスリスク評価
国際データ保護法への適合性
GDPR(EU一般データ保護規則):
- 適用対象: ローカル実行のため適用外
- 個人データ処理: なし
- データ主体の権利: 行使の必要なし
CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法):
- 個人情報の販売: なし
- 個人情報の開示: なし
- プライバシー権: 完全に保護
企業機密情報保護:
- 全データがローカル保存のため、情報漏洩リスクなし
- インターネット接続なしでの使用が可能
地政学的リスク評価
開発組織の法的管轄
Comfy Org:
- 登記地: アメリカ・カリフォルニア州
- 適用法: アメリカ連邦法・カリフォルニア州法
- データ保護: ローカル実行のため外国政府によるアクセス不可
主開発者の国籍:
- 公開情報なし
- ただし、ローカル実行のため国籍に関わらず安全性に影響なし
技術的独立性
依存関係の分析:
- PyTorch: Meta(アメリカ)開発のオープンソース
- NumPy: オープンソース、国際的な開発コミュニティ
- Pillow: オープンソース画像処理ライブラリ
- 重要: 全て西側諸国またはオープンソースコミュニティ開発
自薦・他薦の声
ベンダー自身の宣伝文句
公式サイト(comfy.org):
"ComfyUIは100%無料でオープンソース―そして常にそうあり続けます。サブスクリプションなし、隠れたコストなし。制限なしに構築し、創造し、共有してください。"
GitHub README:
"最もパワフルでモジュラーな拡散モデルGUI、API、バックエンド"
出典: ComfyUI公式GitHub、2025年1月確認
技術専門家・インフルエンサーの評価
Latent Space Podcast(2025年1月):
主開発者comfyanonymousへのインタビューで、技術的な透明性と開発哲学について詳細な議論を実施。
出典: AI Engineering for Art — with comfyanonymous
技術系YouTuber評価:
- "ComfyUIは編集時間を半分に短縮した"(フリーランス・グラフィックデザイナー John)
- "XYZプロット機能がデータプレゼンテーションを変革した"(データアナリスト Emily)
出典: PapeeGo ComfyUI Review 2024
Weird Wonderful AI Art(技術ブログ):
"2023年後半にComfyUIに切り替えて以来、一度も振り返ったことがない。2024年の膨大で急速な採用拡大のおかげで、機能性と特徴において膨大な改善があった"
出典: Getting Started with ComfyUI in 2025
メディア報道・業界認知
NVIDIA公式サポート(2024年7月):
NVIDIAがRTX Remixモディングソフトウェア内でComfyUIのサポートを発表。
出典: ComfyUI Wikipedia
Linux Foundation認定(2024年8月):
Comfy OrgがLinux Foundationが創設したOpen Model Initiativeに参加。
出典: 同上
技術系求人市場での評価:
Contraフリーランスプラットフォームで、ComfyUI専門スキルの需要が急速に拡大。企業がAI画像・動画生成能力を求める傾向が強まっている。
出典: Best ComfyUI freelancers to hire in 2025
批判的意見・課題指摘
技術的な課題:
- "新しいComfyUI Desktopアプリケーションはバグが多い"
- "一部の共有ワークフローに問題がある"
出典: Toksta ComfyUI Review 2025
学習曲線:
- 初心者にとって複雑で、技術的な性質と学習曲線が参入障壁
- 上級ユーザー向けの高度な機能性との引き換え
出典: 同上
利害関係・スポンサーシップ:
調査した全ての評価について、有償スポンサーシップや利害関係は確認されていない。オープンソースツールの性質上、開発者からの直接的な金銭的インセンティブは存在しない。
主任アナリストが提案する追加調査項目
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長期的なガバナンス体制の持続性評価:Comfy Orgの組織運営と意思決定プロセスの透明性、主要開発者の離脱リスクと継続性計画について、企業として依存する場合の組織的リスクを評価する必要がある。
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拡張機能エコシステムのセキュリティ継続監査:サードパーティ製拡張機能(カスタムノード)の品質管理とセキュリティ監査体制の実効性について、定期的な第三者評価を実施する必要がある。
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エンタープライズ利用における法的責任範囲の明確化:GPL v3.0ライセンス下での企業利用において、生成されたコンテンツの著作権・責任の所在と、AIモデルの学習データに起因する法的リスクについて詳細な法務検討が必要。
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パフォーマンス・スケーラビリティの技術的制約評価:大規模な商用利用時のハードウェア要件とスケーラビリティ制約について、具体的なベンチマークデータとコスト分析が必要。
最終総括
ComfyUIは、現在利用可能なAI画像・動画生成ツールの中で最も安全性の高いソリューションの一つです。完全ローカル実行により、プライバシーとデータセキュリティの懸念が根本的に解決されており、GPL v3.0によるオープンソースライセンスが長期的な透明性と自由度を保証しています。
技術的には、ノードベースのワークフロー設計により高度な柔軟性を提供しながら、活発なコミュニティ開発により継続的な機能拡張が期待できます。2024年のセキュリティインシデントは適切に対処され、現在は強化されたセキュリティ体制の下で運営されています。
地政学的リスクは極めて低く、アメリカを拠点とする組織によるオープンな開発体制により、特定国家への技術的依存や政治的圧力のリスクは存在しません。
主任アナリストとして、ComfyUIを企業・個人を問わず積極的に推奨いたします。特に、データプライバシーを重視する組織や、AI技術を内製化したい企業にとって、現時点で最適な選択肢の一つと評価します。