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米軍式AAR (After Action Review) は使えるか?

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After Action Review (AAR) は、第二次世界大戦当時の米軍で、企画段階で時間をかけてきっちり作戦を作り上げるよりも、大まかな作戦で小まめにレビューを繰り返しながら戦う部隊の生存率が高かったことに教訓を得て広まった手法です。現在では軍隊に限らず、幅広く活用されています。

実は筆者も実際にやったことはないのですが(機会がなくて。。。)、よさそうなので取り上げてみました。機会があればやってみたいと思います。


AARの4ステップ

AARの段取りについては、必ずしもきっちりと統一された方法論があるわけではないらしく、いろいろな流派があるようですが、大まかに言って以下の4ステップで、あとは現場の実情に応じてアレンジしていけばいいようです。

ステップ1 計画

計画は、常日頃から用意しておくものです。段取りや報告様式などを取り決めておくことになりますが、ここで重要なのはファシリテーター(司会者)の選任です。主ファシリテーターの休暇、病気、逃亡などに備えて、副ファシリテーターも決めておくとよいでしょう。

ステップ2 準備

障害対応、重要な商談、デスマーチ、戦闘などのアクションが行われている間、ファシリテーターはAARの開催に備えて準備をします。アクションの時系列や、重要な会議や指示などを記録し、いつでも取り出せるように準備します。作業手順書などの重要書類も確保しましょう。現場の写真を撮ることも有効かもしれません。

アクションが行われている間、ファシリテーターはこの準備作業を行います。人手の足りない最中にあって、貴重な人材一名をAAR準備に張り付けるのは簡単ではないかもしれませんが、そこは現場のリーダーが決断して下さい。

ステップ3 開催

アクションが終わったら、メンバーが状況を忘れないうちにAARを開催します。短時間でいいので、すぐやりましょう。ファシリテーターさん、出番です!段取りとしては、以下の内容を、この順序で進めていきます。

1. そもそも我々何をしようとしていたのか?

2. 実際には何が起きたのか?

3. なぜそうなったのか?

4. 次があるとしたら、どのように改善するか?

YouTubeに載っている米軍の教材などを参考にして、雰囲気を掴むのがよさそうです。

ステップ4 フォローアップ

AARの内容をファシリテーターが報告書にまとめます。関係者に回付したり、長期保存してKYTの教材として活用したりするとよいでしょう。


Q&A

Q. 最後に全員で、ゼロ災でいこうヨシ!とか掛け声をかけるの?

A. 4ラウンドKYTをやっていると、やりたくなりますよね!その掛け声。しかし、ここで思い出すべきは、AARが戦場で生まれた手法だということです。

ゼロ災というスローガンは、普段は「災」がない状態であって、定常的な業務を日々積み重ねていくような現場では機能します。しかし、軍隊が出動するのは既に「災」な現場ですし、敵がいるのですから、予定通りに行動できないのが当たり前です。そもそも前提からして災であって、ゼロ災ではないのです。

情報システムの開発や運用にあてはめるなら、普段の定常的な業務でヒューマンエラーを防止するには、4ラウンドKYTが有効だと思います。「ゼロ災でいこうヨシ!」もいいでしょう。しかし、デスマーチになった場合やシステム障害が起きた場合の対応を事後にレビューするのはAARです。「ゼロ災でいこうヨシ!」はありません。

そんなところでしょうか。

Q. 要は、なぜなぜ分析をやれということ?

A. AARで意外に重要なのが、 「そもそも我々は何をしようとしていたのか?」という最初の設問です。そんなの分かり切っていると思っても、自分の頭で整理して口に出すことが重要ですので、省略せず必ず行ってください。この点は、日本で広く行われているトヨタ式なぜなぜ分析と大きく違うところだと思います。


参考文献

AFTER-ACTION REVIEW TECHNICAL GUIDANCE

米国国際開発庁

http://pdf.usaid.gov/pdf_docs/PNADF360.pdf

After Action Review (Pause and Learn)

NASA

https://km.nasa.gov/wp-content/uploads/sites/3/2015/11/After-Action-Review.pdf

How to Conduct an AAR

US Army ROTC Curriculum

https://www.youtube.com/watch?v=tM_3mWtjyFg&t=555s