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【論文紹介】Thermal stimulation of taste

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論文紹介

論文:Thermal stimulation of taste
著者:Alberto Cruz, Barry G. Green
https://www.nature.com/articles/35002581

どんなもの

 舌の一部分を加熱または冷却すると、実際に味覚を引き起こす可能性を示した。舌の前端の鼓索神経を低温から温めると甘さを感じ、冷却すると酸味や塩味を感じる。舌の奥の部分の舌咽神経においても温熱味覚は生じるが、温度と味覚の関係は舌の前端部分と異なる。

先行研究と比較してすごいところ

 味覚に対する温度効果の実験では、温度そのものが味覚を刺激することよりも、化学物質の風味に対する感度の変調に焦点が当てられていた。この論文では、温度そのものが味覚を刺激することに焦点を当てた。

技術や手法のキモ

 温度は、8mm×8mmのコンピューター制御のペルチェ熱電対を用いて、約±1.5℃s-1で変化させる。熱電対は、水循環式ヒートシンクに取り付けられ、衛生上の理由からラップで覆う。被験者はヒートシンクを取っ手にして、熱電対を舌に当てる。

検証方法

 味覚(甘味、酸味、塩味、苦味)を含む他の感覚を感じたら報告してもらう。味を感じたとき、被験者はその強さを1から10までの尺度で報告してもらう。

1.温度と味覚の関係の調査
20℃から段階的に温度を上昇し、35℃から段階的に温度を下げた。味覚(甘味、酸味、塩味、苦味)と熱感覚の強さをマグニチュード・スケール(LMS)16を用いて評価した。反復測定分散分析(ANOVA)を用いた。
→舌先を20℃から温めると、甘味を感じるが他の味は変わらなかった。さらに温めても、効果はなかった。舌先を15~20℃に冷却すると、多くの人は酸味を感じ、一部の人は塩味を感じた。さらに冷却しても酸味は強まらなかった。
 
2.熱的甘味と酸味が最大になる舌の端の部分の調査
 甘味の最大を評価するために20℃から35℃まで、酸味の最大を評価するために35℃から15℃まで温度変化させた。
→熱的甘味と酸味がピークなる場所は一致していなかった。スイートベストサイト(甘味が最大になる部分)は常に舌の先端で、サワーベストサイト(酸味が最大になる部分)は常に舌の先端よりも外側にあった。

3.同じ部位を化学的な刺激で実験して、熱的味覚と化学的味覚の関係の調査
→熱的甘味と化学的に生じる甘味の間には場所の関係はあるが、熱的な味覚に対する感度は化学的な味覚に対する感度ほど均一には分布していないことがわかった。

4.舌の前端に沿った温熱味覚と感受性の関連性の調査
→スイートベストサイトは、舌の先端付近で最も強く、温かさの知覚と密接に関係している。サワーベストサイトは、舌の位置と温度(冷たさ)は異なる。そのため、甘味の強い場所に比べて酸味の強い場所のばらつきが大きかった。

5.舌咽神経が支配する有郭乳頭の熱味覚についての調査
→温めると甘味は感じないが、冷やすと熱的苦味・酸味を感じた。ショ糖は、舌先で得られたのと同様に有郭乳頭でも中程度の甘味を感じた。
舌前端ではスイートベストサイトと温感が密接に関連していたが、有郭乳頭では温感が乏しく、冷感は両方で同様に評価された。

議論

 熱的味覚と化学的味覚の感度で違いが出た要因として考えられることはなにか。
→化学的感覚メカニズムが温度に敏感なニューロンの発生率と分布の違いを反映しているのかもしれない

気になった論文

Cross-Modal Correspondences Between Temperature and Taste Attributes

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