はじめに
この記事では、CocoaPodsをインストールした後に遭遇するかもしれない「command not found: pod」のエラーメッセージについて説明します。
この問題に直面した際の対処法を、経験から学んだ解決策を基に紹介します。なお、ここで紹介する方法はあくまで一例ですので、状況に応じて適宜参考にしてください。
また、特定のバージョンのCocoaPodsをインストールする方法についても触れます。
CocoaPodsについての詳細は、公式を参照してください。
問題の発生
CocoaPodsをインストールしたにも関わらず、pod コマンドを実行しようとすると、以下のようなエラーメッセージが表示されることがあります。
command not found pod
環境
- Apple M2 Pro
- macOS Sonoma 14.2.1
対処法
1. 現状の確認
which gem
/usr/bin/gem
which ruby
/usr/bin/ruby
2. rbenvをインストール
rbenv を使用すると、プロジェクトごとに異なるRubyのバージョンを簡単に切り替えることができます。
Homebrewを使ってrbenv と ruby-build(Rubyのバージョンをインストールするためのrbenvのプラグイン)をインストールします。
brew update
brew install rbenv ruby-build
インストールが完了したらrbenvで管理されているrubyを確認してみます。以下のように表示されれば一旦OKです。
rbenv versions
* system
3. インストールできる Ruby のバージョン確認
次に、利用可能なRubyのバージョンを調べます。
rbenv install -l
3.0.6
3.1.4
3.2.2
jruby-9.4.5.0
mruby-3.2.0
picoruby-3.0.0
truffleruby-23.1.2
truffleruby+graalvm-23.1.2
4. 使用するRubyバージョンを設定
適切なRubyのバージョンを選択した後、そのバージョンのRubyをrbenvを使ってインストールします。
以下のコマンドは、3.2.2バージョンのRubyをインストールする例です。
rbenv install 3.2.2
Rubyのインストールが完了したら、rbenvで管理されているRubyのバージョンを確認して、正しくインストールされていることを確かめます。
rbenv versions
* system
3.2.2
5. 利用する Ruby のバージョン変更
インストールしたRubyのバージョンをデフォルトとして設定するには、rbenvを使用してグローバルなバージョンを変更します。
以下のコマンドは、全体のデフォルトRubyバージョンを3.2.2に設定する例です。
rbenv global 3.2.2
この設定が反映されたかどうかを確認するために、再度rbenv versions
を実行します。
3.2.2の前に*
が表示されていれば、そのバージョンがグローバルに設定されていることを意味します。
rbenv versions
system
* 3.2.2 (set by /Users/****/.rbenv/version)
6. シェル設定の更新
システムが新しいRubyバージョンを認識できるように、シェルの設定ファイル.zshrcを編集します。以下のコマンドで.zshrcファイルを開きます。
vim ~/.zshrc
ファイルを開いたら、rbenvを初期化する以下の行を追加または確認します。これは、~/.rbenvディレクトリが存在する場合にのみ、rbenvのパスを環境変数に追加し、rbenvを初期化するためのものです。
[[ -d ~/.rbenv ]] && \
export PATH=${HOME}/.rbenv/bin:${PATH} && \
eval "$(rbenv init -)"
これにより、~/.rbenvが存在しない場合のエラーを防ぎ、rbenvが正しく機能するようになります。
編集が完了したら、まず、escキー
を押してインサートモードを終了します。
次に、:wq
と入力してEnterキーを押します。これにより、変更が保存されVimエディタが閉じます。
7. 設定の反映
.zshrcの編集が完了したら、変更を適用するためにシェルを再起動するか、以下のコマンドで設定を読み込みます。
source ~/.zshrc
8. 設定の最終確認
全ての設定が正しく行われたかを確認するために、rbenvが管理するrubyとgemが正しく参照されているかをチェックします。
which ruby
/Users/****/.rbenv/shims/ruby
which gem
/Users/****/.rbenv/shims/gem
9. CocoaPodsのインストール
最後に、Rubyのパッケージ管理システムであるgemを使用して、CocoaPodsをインストールします。ここでは、特定のバージョン1.13.0をインストールする例を示します。
sudo gem install cocoapods -v 1.13.0
インストールが完了したら、以下のコマンドでCocoaPodsのバージョンを確認します。
pod --version
1.13.0
出力結果が1.13.0と表示されれば、CocoaPodsが正しくインストールされています。
参考