この記事は RPA Advent Calendar 2019 23日目の記事です。一部、肉付け前の箇所があります。折を見て肉付けしていきます。
背景の共有 & 本記事で伝えたいこと
日ごろ、RPA導入を検討している企業、導入済みの企業向けにRPA導入コンサルティングや内製化支援コンサルティングを実施しています。その中でRPAのハンズオンセミナーを行っており、振返ってみると、この1年間で100名以上の方にセミナーを受講いただきました。
今でこそ受講者からは高評価を頂けることも少しずつ増えてきましたが、プログラミング経験のない一般ユーザーの方向けに、RPAをわかりやすく伝えるということは思っていたよりも難しく、一筋縄ではいきませんでした。
受講者アンケートをもとに、外部のプレゼンセミナーにも参加しながら、試行錯誤し、私なりに「伝わる」伝え方を考え、実践してきました。現在ではリピートオーダーを頂くことも増え、セミナー講師も板についてきた一方で、現在は後進(セミナー講師)の育成が難しいなと苦慮しています。
本記事は、私がセミナー講師として実践してきた考え方、伝え方を整理する目的で書くものです。あたりまえのことも多く書いてますのであしからず。
想定読者
- 将来の私
- 社内研修講師を担当される方
- セミナー講師を目指す方
- セミナーを企画される方
セミナーの始め方
講師の自己紹介には「有能感と親近感」を
数字や実績、経験値を示す話題を盛り込み、有能感を示すことでまずはこの人の話を聞いてみようと思ってもらえるようにしましょう。ただし上から目線で自慢気にならないように注意を。
敢えてウケを狙ったりしなくても大丈夫。謙虚で、丁寧な言葉遣いと笑顔を心がけましょう。
受講者の自己紹介で「研修受講に意味」を持たせよう
セミナー開始後30分以内に「受講者に発話してもらう時間」を設けましょう。
その中で、以下などをしゃべってもらいましょう。
- プログラミング経験 / RPA経験
- 課題や不安なこと
- 講義に期待すること、聞きたいこと
- 講義終了後にどうなっていたいか
人は自分の意見や主張などが強くある場合、自分の思いを話してからでないと、相手の話を聞く姿勢になれないものです。また講義に期待することや終了後のゴールを考えてもらうことによって、研修受講に意味を持たせ、今から研修を受けるぞという心の準備ができます。
講師側としても説明する内容や説明量を変えるには、受講者の状況を把握することが重要です。
研修のアジェンダと休憩の目安を最初に伝えよう
予定が分からないまま時間を過ごすのはストレスになります。最初に全体像を示しましょう。
休憩は1時間~1時間半に1回取りましょう。
セミナー本編で気を付けること
受講者が今から何をすべきかを準備させる
受講者に、今何を行ってほしいのか明確にしましょう。
大きくは、以下4つのはずです。
- 【考える】この後皆さんに質問するので、考えながら聞いてください。
- 【聞く】今から概念を説明しますので聞いてください。メモを取る方はメモの準備をしてください。
- 【見る】後で操作していただく時間をとるので、手を止めてスクリーンを見てください
- 【手を動かす】では一緒に操作しましょう。
「操作説明」と「概念説明」の比率は3:7程度
後で復習する際にも迷わないように、操作方法は資料に分かりやすく記載しておきましょう。
ポイントは、操作方法をただ説明するのではなく、概念を説明することです。この箇所はテキストにすると長文になり、読むことに集中してしまうので、図示するかキーワードのみ記載し、口頭で説明することを推奨します。
- ○○という設定にしてください
- その設定にしないとなぜダメなのか
- 変数に値を設定します
- 変数ってどういうもので、なぜそれを使用する必要があるのか
- 日常生活の例に例えて説明
- コンピューター内ではどうやって処理されるかを説明
- 金額を合計する処理
- なぜ金額は文字列型で合計してはダメなのか。
操作説明時のポイント
操作場所をしっかり伝える
講師は操作場所をあらかじめわかっていますが、受講者はそうではありません。
中にはツールに不慣れな方もいます。これから操作する場所をしっかり伝え、迷子にならないようにしましょう。
講師と受講者で開いている画面や見ているところが違う場合もあるので、要注意です。
- 画面上部のデザインパネルを見てください。右から3つ目に実行ボタンがありますので、クリックしてください。
- プロジェクトパネルを開いている状態の方は、一度アクティビティパネルに切り替えてから、アクティビティの検索欄で、「クリック」と検索してください。
- 先ほど配置した 「クリック」アクティビティ のすぐ下に 「文字を入力」アクティビティ をドラッグアンドドロップで配置します。
ツールのレイアウト等、極力カスタマイズはせず初期設定にしておく
受講者の画面と講師の画面が違うと、すぐに迷子になります。もし初期設定では困る場合、講義の最初で受講者と一緒に設定変更する等して、できるだけ条件をそろえましょう。
拡大鏡を使用する
操作する箇所が小さくて見ずらい時ありますよね。そんな時は拡大鏡を使用しましょう。
「Windowsロゴ」キー + 「+」キーで拡大鏡が表示されます。
もう一度「Windowsロゴ」キー + 「+」キーで拡大表示されます。
もとに戻すには、「Windowsロゴ」キー + 「-」キーで縮小表示されます。
小さくて見ずらい時以外でも、操作に注目してほしい時、他の箇所をよそ見してほしくないときにも使えます。拡大表示したまま操作を続けるとちょっと酔うので注意してください。w
推奨設定と、推奨理由を伝える
当たり前ですが、意外と当たり前にできてないことも多いです。
講師をするのに慣れていない場合、どうかミスせず最後まで早くたどり着きたいと思うので、テキストに書いてあることを読み進めることにいっぱいいっぱいになってしまいます。
そうすると受講者の頭には、なぜ?なんで?が募っていって、最後までミスなく進んだとしても満足度は高くないものになります。
適宜、なんでそうすべきか、そう設定しないとどうなるのかを補足しながら、気になるであろうポイントを先回りして伝えるようにすると必然的に理解度、満足度は上がります。
概念説明時のポイント
自分の身の回りにあるものや、だれもが過去に経験したことに置き換える
いわゆる比喩表現です。
「変数とはデータを保存しておく箱のようなものです。」って説明よく聞きますが、個人的には少しわかりづらいなと思っていて、自分が説明するときは、
- 水を持ち運ぶときに使う「コップ」
- 眼鏡を持ち運ぶときに使う「眼鏡ケース」
- 本を保管する「本棚」
これらを身近に潜む変数の例として紹介したうえで、ソフトウェア内でも同様にデータを保存する入れ物が必要でそれが「変数」だと説明したりしています。
全体→詳細を意識する
説明にあたり、全体像を省略して詳細な部分だけを説明すると、「今彼はいったい何の話をしてるのか。。。(/・ω・)/」となりがちです。ここまで書いてきた内容とも被りますが、受講者と前提をそろえたうえで、本題に入るのがポイントだと思ってます。
場面にもよりますがいきなりピンポイントでその説明だけするのではなく、全体感を伝えましょう。
サクセスストーリーでモチベーションを上げる
まずは成功してもらい、成功体験から有用性や自信、期待を持ってもらいたいときに使う手法です。
- 人手でやればあんなに時間がかかる作業が一瞬で終わりました!
- 複雑な作り込みをしなくても設定一つでやりたい動作が実現できますね
- この機能があれば、少し難しい操作でも構築できますよね
ホラーストーリーで必要性を訴える
まずは失敗してもらい、失敗体験からその設定の必要性や重要性を認識してもらいたいときに使う手法です。
- この設定を行わないと○○の時にエラーが発生し止まってしまいます。
- エラー制御を行わないと、それまでの結果が書き込まれず、最初からやり直しになります。
- 今みなさんの画面でエラーが出ていると思いますがなぜでしょうか。○○をやっていないからです。○○を実施しないとこうなりますので注意してください。