ディシプリン
自己マスタリー
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自分が心から求めている結果を生み出すために、自身の意識と能力を絶えず伸ばし続ける。学習する組織を作るには、メンバー個々人が志を持って自己を磨き、創造的な姿勢で物事に取り組むことが不可欠である。
- 目的とビジョン
志は、目的のビジョンの両輪によって機能する。自らの強みを理解して、「何を創り出したいのか」「どうありたいのか」という個人ビジョンを我が事として克明に描き、目的意識によって強化する。- 与えられた目的ではなく、自ら意味を見出し、獲得する
- 目的は方向(Why)であり、ビジョンは到達地(What)である。
- どれだけ自分を動かせるかによってビジョンのよしあしが決まる
- 自らの強みとは?
- GNSS、航法、確率論の知識がある
- 機械学習の知識がある
- 通信(ローカル通信、クラウド)の知識が少しある
- プログラミングが少しできる
- 目的
- 地理情報を生かして、移動に関係する技術で社会貢献する
- モビリティの新たな価値を創造する
- 社会のニーズに答えられる
- 自分で考えて論理的に行動する
- ビジョン
- 自動運転を実現する
- 自分で起こした事業を製品化する
- 創造的緊張と感情的緊張
明確になったビジョンと今の現実を対比したときに働く創造的緊張は、能力開発や主体的な行動を促し、ビジョン実現のために今の現実を前進させる原動力となる。一方、今の現実の負の側面が強く出て感情的緊張が働くと、ビジョン実現に抵抗する力が強くなり、構造的な対立を招く。感情的緊張の背後にある受け身の姿勢に気づき、感情の源を見つめることで構造的な対立の解消を図る。- 常になりたい姿とそのための能力開発を意識して、計画化して、振り返る
- 「自らの強みを知る/過去を振り返る」
- なぜ~なのか、内省する
- 無意識化で行われていた反応を意識下に入れ、メリットとデメリットを比べて、より明示的な選択をすることが可能になる。
- 背反する欲求を受け入れるとどうなるか
- 「過去を振り返る」
- HILS/シミュレータの知識がなくてしんどかった
- 地図データ処理はプログラミングのスキルを生かせて楽しかった
- S/W外注はめんどくさい
- なぜそう思ったか
- 過去のスキルが生かせないとストレス
- ものが動いているのを見ると楽しい
- やりたくないことをやるとしんどい
- 自分が考えたことを出せると楽しい
- ビジョンと今の現実との対比
- 自動運転のもととなる技術を構築、蓄積している
- 動いているだけで満足する、依頼元のニーズに沿っていない
- 知識、スキルが狭い、浅い
- やりたいことを外に発信していない
- 目の前に精一杯で新しい価値を検討できていない
- 真実を見つめる
構造的対立を避け、創造的緊張を強化するには、真実をありのままに見ることが必要である。弱みだけでなく強みも、困難だけでなくチャンスも中立的に見つめて、自身の選択の幅に気づき、意識的な選択を行う。
- 目的とビジョン
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選択
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能力開発を継続する
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やりたいこと、新しいことを考え、外に発信する
システム思考
- ものごとのつながりや全体像をみて、その本質について考える。システムとは相互作用する要素の共同体。組織や事業や市場の部分だけみてもその複雑な動きは理解できず、システムの全体をとらえることが必要。
- 構造がパターンに影響を与える
問題に適切に対処するには、変化や行動のパターンに影響を与える「構造」の理解が必要。変化を拡張させる「自己強化型ループ」、変化を収束させる「バランス型ループ」、「時間的遅れ」の3つの組み合わせによって構造をひもとく。- ダイナミクスに関わる変数を抜きだす
- システムの全体像をとらえる
「時系列変化パターングラフ」を使って物事のダイナミックなパターンを、「ループ図」を使ってシステムの相互作用を見える化することで、システムの全体像を見出す。 - レバレッジ・ポイントの探り方
- 物理的な構造
- ストックの調整
- バッファの設定
- フローのバランス
- リードタイムの考慮
- フィードバック構造
- 自己強化型よりも強いバランス型ループを作る
- 自己強化型ループを弱める
- 情報の流れの構造
- 予定の全体像が見えやすいようにする
- 仕事を提出する前に自分から見えない仕事の質について他社の目を借りる
- 制度上の構造
- 目標を整理する
- ルールを設ける(インセンティブや罰則を設ける)
- メンタル・モデル
- リアルタイムで内省することを習慣化する
- 自分の欲求をありのままに受け止める。自分の求める姿を探求する
- 板挟みになっているパラダイムを手放す
- 物理的な構造
- システム原型を使って構造を見抜く
「成長の限界」「うまくいかない解決策」「問題のすり替わり」など、システム原型を活用すると、複雑なシステムの構造を見抜き、働きかけるポイントを見出しやすくなる。- うまくいかない解決策
- 問題を解決しようとするバランス型ループを意図するが、結局は意図せぬ結果によって問題の悪循環を招く自己強化型ループが支配的になる。
- 短期的には結果が良くなるが、中長期的には悪化するパターン。
- 評価軸の時間軸を長くする
- 問題のすりかわり
- バランス型ループの解決策に対して、自己強化型ループの副作用がその効果を相殺、悪化させる
- 対症療法が優先されて根本治療が行われない
- 成長の限界
- 成長させようとする姿勢が強いほど、成長の限界が早く訪れる
- うまくいかない解決策
- 構造がパターンに影響を与える
メンタル・モデル
- 頭の中にある現実を模したモデルであり、思考の前提や枠組みとなるもの。効率的な思考や行動を可能にする反面、バイアスや思い込みを生み出す。
- 推論のはしごをゆっくり上る
過去の経験がメンタル・モデルとなって、恣意的な認識や抽象化の飛躍をもたらし、効果的でない行動につながることがある。「推論のはしご」による内省を繰り返すことで、自分のメンタル・モデルに気づき、保留し、前提を問い直す能力を高める。- 現実の状況
- 認識した状況 ツバメが低く飛んでいる
- 解釈 虫が水分で重くなっていて、食べやすいように低く飛んでいる
- 前提 湿度が高いから今日は雨かもしれない
- 結論 雨の時は折り畳み傘を持つべきだ
- 信念・世界観 「ツバメが低く飛んだら雨が降る」
- 行動 折り畳み傘を持つ → 認識した状況へ戻る
- 信奉理論と使用理論の違いに気づく
メンタル・モデルは無意識に働きやすい。自身がどのように考えているかよりも、実際にどのように行動しているかに色濃く反映される。他社からのフィードバックによって、使用理論を表出化することができる。 - メンタル・モデルへの対処
- 気づく
メンタル・モデルを保留する自分が持っている前提がバイアスとならないように、自分の持っている前提に気づき、脇に置いてものごとを見聞きする。自分の前提を明示的に発言・呈示することで自身の推論や前提について検証することも重要。 - 内省する
自らの無意識の前提や思考の枠組みそのものを観ようとする行為。事実と解釈を分けて考える能力を培うことが必要。 - 行動レパートリーを広げる
メンタル・モデルに対処するには、行動のレパートリーを広げることが重要。例えば他の人との話し方について、「枠組みの設定」「主張」「説明」「問いかけ」のバランスをとることは行動の幅を広げることにつながる
- 気づく
- 推論のはしごをゆっくり上る
チーム学習
- グループで一緒に探求、考察、内省を行うことで自分たちの意識と能力を共同で高める。
- 場の質、関係性の質を高める
関係性の質、思考の質、行動の質、結果の質は相互に作用しあって、しばしば悪循環や好循環を生み出す。チーム学習は、場の質を高めることで関係性の質を改善し、思考、行動、結果の質の向上をもたらす。 - 保留する、視座を転換する、手放す
チーム学習の能力向上には、「メンタル・モデルを保留して、他社の話をありのままに聴き、自己の主張を内省的に話すこと」、「相手の立場から共感的に聴き、あるいは全体の視点から俯瞰すること」、「未来に制約を課すこだわりを手放すこと」が必要。 - 練習場と場の設計
チェックイン/チェックアウト、振り返りセッション、アクション・ラーニングなどの実践を重ねる。また、物理的な場のデザイン、グラウンド・ルールなどの適切な設定が必要。
- 場の質、関係性の質を高める