はじめに
この記事は一般女子向けに書いた 日本語プログラミング言語Mind40年 - いま女子こそ日本語プログラミングすべき5つの理由 というサイトの記事を女子のソフトウェアエンジニア向けに書き換えたものです。
基本的にプログラミングが得意ではないシステムエンジニアさんなどを想定していますが、もちろん得意な方が日本語プログラミング言語を第2第3言語として習得されることもお勧めしています。
1 コミュニケーション言語能力とプログラミング言語能力
コミュニケ―ション能力は一般に女性のが高いと言われています。コミュニケーション能力には言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションがあります。この中で言語コミュニケーション能力は言語能力に依存します。
言語能力には1.創造的思考(とそれを支える論理的思考)の側面、2.感情・情緒の側面、3.他者とのコミュニケーションの側面からなると言われています。(文部科学省・資料5言語能力について「整理メモ」より)
一方でプログラミング能力は上記言語能力の中の1.に支えられています。広い意味で他者をコンピュータととらえれば、コンピュータとのコミュニケーションの側面があるとも言えます。
一般にプログラマー職には男性が多いとされていますが、システムエンジニアなど顧客とのコミュケーションが重視される職種では、女性こそが活躍しやすい職種と言えます。
2 プログラミング言語能力とプログラミング思考力
今日のプログラミング言語は英語由来で記号中心の形態のものが百花繚乱という状態であり、その細かい多様なシンタックスルールは、プログラミングを日常的な作業としない方にとって高いハードルとなっています。
実際の個々のプログラミング言語によって記述されるソースコードには、順次進行、条件分岐、反復といったアルゴリズムの基本構造が存在しており、そのパターンを認識抽出し発案することが職業的プログラマには求められます。
アルゴリズムの基本構造は本質的にこれらのプログラミング言語のシンタックスには依存しておらず、前述のアルゴリズムの基本構造はいかなる言語でも記述可能です。
ただし、自然言語のままでは定義の一意性に欠ける面がありますので、一定の形式化された言語、すなわちプログラミング言語が必要となります。
3 プログラミング思考力と日本語プログラミング言語
プログラミング言語のほとんどは、英語由来の形式言語または一部自然言語の語彙に依らない完全な人口言語ですが、日本語由来のプログラミング言語も存在します。ここでは、前記アルゴリズムを表記する言語としては日本語由来のプログラミング言語の習得を女性に推奨しています。
なぜならそれは自身が発案したアルゴリズムを言語化する際に必ず役立つからです。そして、内語と同じ言語のプログラミング言語のが習得はしやすいからです。これは英語由来のプログラミング言語の習得を妨げるものではありません。英語由来の一般的なプログラミング言語と日本語由来のプログラミング言語で同時に言語化(ソースコード化)することができるのであれば、恐らく男性または同性のプログラマからも差別化される優位なスキルを確保することとなるでしょう。
日本語プログラミング言語ができる女子エンジニアたとえば顧客要求をとりまとめるシステムエンジニアならば、自分が詳しくないプログラミング言語のプロジェクトでも、男子プログラマに対して日本語プログラミング言語でロジックを正確に伝えることができます。
4 AI時代の必須スキル:プログラミング思考力
ついにAI時代が到来しました。コンピュータとの対話には前記プログラミング言語が必須でしたが、生成AIが英語や日本語などの自然言語を認識して、プログラミング言語のソースコードをある程度自動生成できる世界が到来しました。
では、プログラミング能力やプログラミング思考力は不要となっていくのでしょうか?
いいえ、逆にAIを使う立場で思考するには、プログラミング能力やプログラミング思考力は基盤的なスキルとしてより必須なものとなっていると言えます。
5 AIが日本語を解する時代こそ日本語プログラミング言語
非エンジニアが生成AIと対話してプログラミング言語のソースコードやオブジェクトコードを生成させることは、ある意味、ユーザーがシステムエンジニアやプログラマと対話してプログラミング言語のソースコードを手書きしてもらう関係に近いものがあります。
ただし、システムエンジニアの背後に大量のプログラマが細かいアルゴリズムのギャップを考案しながらソースコードを記述しているという点ではその人件費は莫大で、生成AIで自動化された場合と比べて手戻りを繰り返したとしてもコストメリットは大きいかもしれません。
いずれにしても、ソフトウェアの需要は今後も爆発的に増えていくと予測されますので、自然言語のままの日本語で生成AIと対話するよりは、自然さを損なわないある程度形式化されて構造化されたプログラミング言語で対話した方が手戻りが少なく、より意図したとおりの結果が期待できます。
日本語プログラミング言語はそのような高度利用も考えられる将来性のあるプログラミング言語です。この点は女子エンジニア限定という意味ではなく万人に通づるメリットですね。
ただし、現時点での現状有姿の生成AIが日本語プログラミング言語を詳しく学習しているかというとそうでもない側面もあるので、ローカル生成AIに言語仕様を学習させるなどの準備は必要と考えられます。
おわりに
主に女子エンジニアのロジカルシンキングにまつわるコア・コンピタンス形成について訴求していますが、本記事での用語の定義は ロジカルシンキング(MECE)とプログラミング的思考力(またはCT)とアルゴリズム的思考力の階層構造まとめ をご確認いただけると幸いです。
祝!日本語プログラミング言語なでしこ生誕20周年
祝!日本語プログラミング言語Mind生誕40周年
なでしこの生誕年は2004年説がありますが、なでしこの15周年記念サイトが2020年にできていますので、事実上hなでしこのバージョン1が正式リリースされた2005年をもって生誕と想定いたします。ということはなでしこは今年で生誕20周年ということに。Mindとの年の差はちょうど20歳なんですね