はじめに
Mind9βを開発元@killyさんの御厚意により評価用としてご提供いただきましたので、Mind9βのTclとのインターフェース単語をいろいろ評価してまいりました。ここで気になるのは従来のMind7/8用に実装したC言語DLL拡張単語は動作するかということです。そこで昨年実装しておりましたodbcのC言語インターフェースが動作するか確認してみました。
前提条件
Windows11 Pro 22H2 22621.4169
mind version9-BETA-6
Microsoft Visual Studio Community 2022 Version 17.4.4
Microsoft Visual C++ 2022
SQL Server 16.0.1000.6 Express Edition
SQL Server Management Studio 19.2.56.2
下記のRDBにも対応はしていますが、今回検証環境はMSSQLです。
MySQL Community Server 8.3.0 winx64
mysql-workbench-community-8.0.36-winx64
mysql-connector-odbc-8.0.35-win32
postgresql-16.1-1-windows-x64
pgAdmin4↑これにはいってたやつ
psqlodbc_16_00_0000-x86
お題のデータべース
SQLServer、Mysql、PostgreSQLでは共通のテーブル構成のデータベースを作成しています。データベース名は「日本語プログラミング言語」です。今回もそれを利用します。今回検証しているのはSQLServerです。
お題のソースコード
C
C側のプロジェクト配置構成はこちらの記事をご参照ください。
Mind
ライブラリ
昨年書いていた単語名を少し調整して、TclOdbc版とある程度揃えました。ただし、TclOdbc版の成功が1であるのに対してOdbc版は0です。
未定義条件コンパイル 定数。
Mind7は 数値 1。
定数は 数値と 等価。
条件コンパイル終り。
DLLは 変数。
DLLパスは 文字列定数 "C:\developments\mssqlodbc32\Debug\mssqlodbc32.dll"。
関数名は 文字列定数配列
「openDb」
「closeDb」
「exec」
「setStatement」
「bindParameterInt」
「bindParameterStr」
「getResultset」
「execCommand」
「setAutoCommit」
「endTransaction」
「getErrorMsg」。
openDbは 定数 1。
closeDbは 定数 2。
execは 定数 3。
setStatementは 定数 4。
bindParameterIntは 定数 5。
bindParameterStrは 定数 6。
getResultsetは 定数 7。
execCommandは 定数 8。
setAutoCommitは 定数 9。
endTransactionは 定数 10。
getErrorMsgは 定数 11。
関数の個数は 定数 関数名の 要素数。
関数アドレスは 関数の個数の 変数。
結果セット型は 型紙
列データは 変数
全体は
1000の 列データ。
接続文字列最大長は 定数 400バイト。
SQL文字列最大長は 定数 2000バイト。
パラメータ文字列最大長は 定数 400バイト。
成功は 定数 0。
失敗は 定数 1。
ODBCライブラリをロードとは (・ → 真偽)
DLLパスで モジュールをロードし
DLLに 入れ
DLLが ゼロ以外を 返すこと。
ODBCライブラリを破棄とは (・ → ・)
DLLが ゼロ以外
ならば DLLで モジュールを解放し
DLLを クリアする
つぎに。
ODBC関数アドレス群を取得とは (・ → ・)
関数の個数を
回数指定し
DLLと 関数名(回数)で モジュールの関数アドレスを得て
関数アドレス(回数)に 入れ
エラー?
ならば 打ち切り
つぎに
繰り返し。
API破棄処理とは (・ → ・)
「ODBCライブラリを破棄する」を 一行表示し
ODBCライブラリを破棄する。
API初期処理とは (・ → 0:成功/1:失敗)
「ODBCライブラリをロードする」を 一行表示し
ODBCライブラリをロードし 偽?
ならば 「ロード失敗」を 一行表示し 失敗を 返し 終わり
つぎに
「ロード成功」を 一行表示し
「関数アドレス群を取得」を 一行表示し
ODBC関数アドレス群を取得し エラー?
ならば 「取得失敗」を 一行表示し
ODBCライブラリを破棄してから 失敗を 返し 終り
つぎに
「取得成功」を 一行表示し 成功を 返す。
API関数を呼び出しとは (引数、番号 → 結果)
関数アドレス(スタック)で アドレス指定でAPI呼出1すること。
DB接続とは (接続文字列 → 0:成功/0以外:失敗)
成否は 変数
connectStrは 文字列実体 長さ 接続文字列最大長
connectStrに 入れ
0を connectStrに 一文字追加し
connectStrと openDbで API関数を呼び出し 成否に 入れ
成否が 成功に 等しい ならば 「DB接続 成功」を 一行表示し
さもなければ 「DB接続 失敗」を 一行表示し
つぎに
成否を 返す。
SQL実行とは (SQL文字列 → 0:成功/0以外:失敗)
commandStrは 文字列実体 長さ SQL文字列最大長
commandStrに 入れ
0を commandStrに 一文字追加し
commandStrと execで API関数を呼び出す。
DB切断とは (・ → 0:成功/0以外:失敗)
$$NULLと closeDbで API関数を呼び出す。
SQL文をセットとは (SQL文字列 → 0:成功/0以外:失敗)
commandStrは 文字列実体 長さ SQL文字列最大長
commandStrに 入れ
0を commandStrに 一文字追加し
commandStrと setStatementで API関数を呼び出す。
整数のSQLパラメータをセットとは bindParameterIntで API関数を呼び出す。
文字列のSQLパラメータをセットとは (文字列 → 0:成功/0以外:失敗)
parameterStrは 文字列実体 長さ パラメータ文字列最大長
parameterStrに 入れ
0を parameterStrに 一文字追加し
parameterStrと bindParameterStrで API関数を呼び出す。
結果セット取得とは (・ → 0:成功/0以外:失敗)
$$NULLと getResultsetで API関数を呼び出す。
SQLコマンド実行とは (文字列 → 0:成功/0以外:失敗)
$$NULLと execCommandで API関数を呼び出す。
SQLエラー取得とは (・ → 0:成功/0以外:失敗)
$$NULLと getErrorMsgで API関数を呼び出す。
結果セットを表示するとは (・ → ・)
resultSetは 変数
iは 変数
resultSetに 入れ
[resultSet ≠ 0] ならば
[i := 1]
ここから
resultSetの 列データ(i)が 0に 等しい ならば 打ち切り つぎに
「|」を 表示し
resultSetの 列データ(i)を Mind文字列に変換し 表示し
iを 一つ増加し
繰り返し
つぎに。
コミットモードをセットとは (・ → 0:成功/0以外:失敗)
setAutoCommitで API関数を呼び出す。
トランザクションを終了とは (・ → 0:成功/0以外:失敗)
endTransactionで API関数を呼び出す。
トランザクションを開始とは (・ → 0:成功/0以外:失敗)
0で コミットモードをセットする。
コミットとは (・ → 0:成功/0以外:失敗)
1で トランザクションを終了する。
ロールバックとは (・ → 0:成功/0以外:失敗)
0で トランザクションを終了する。
ここからトランザクションは 定数 1。
スコープ開始とは 回数指定と 等価。
スコープを抜け出すとは 打ち切りと 等価。
ここまでスコープは 繰り返すと 等価。
MSSQL版テスト用コード
したがってテストコード(アプリケーション側)の書き味はC言語拡張による場合とTcl言語拡張による場合でかなり同じコードで書けるようにしています。
"odbcc"を コンパイルする。
datasourceSqlsvrは 文字列定数 「Driver={ODBC Driver 17 for SQL Server};Server=(local)\SQLEXPRESS;Database=日本語プログラミング言語;UID=sa;PWD=mind;」。
datasourceMysqlは 文字列定数 「Driver={MySQL ODBC 8.0 Unicode Driver};Server=localhost;Port=3306;Database=日本語プログラミング言語;UID=root;PWD=mind;charset=cp932」。
datasourcePgsqlは 文字列定数 「Driver={PostgreSQL UNICODE};Server=localhost;Port=5432;Database=日本語プログラミング言語;UID=postgres;PWD=mind;」。
メインとは
※SELECTは 文字列定数 「SELECT * FROM 言語名 WHERE 言語ID IN (1,7)」
SELECTは 文字列定数 「SELECT LN.言語ID,LN.言語名,LN.よみがな,DLN.開発言語ID,DLN.開発言語名 FROM 言語名 AS LN 」続
「LEFT JOIN 開発言語 AS DL ON LN.言語ID = DL.言語ID 」続
「LEFT JOIN 開発言語名 AS DLN ON DLN.開発言語ID=DL.開発言語ID WHERE LN.言語ID IN (?,?)」
INSERTは 文字列定数 「INSERT INTO 開発言語 (言語ID,開発言語ID) VALUES (?,?)」
UPDATEは 文字列定数 「UPDATE 言語名 SET よみがな = ? WHERE 言語ID = ?」
DELETEは 文字列定数 「DELETE 開発言語 WHERE 言語ID = ? AND 開発言語ID = ?」
成否は 変数
API初期処理しておき 成功に 等しい
でなければ 終わり つぎに
datasourceSqlsvrで DB接続し 成功に 等しい
でなければ 終わり つぎに
SELECTで SQL文をセットし
1で 整数のSQLパラメータをセットし
7で 整数のSQLパラメータをセットし
結果セット取得し 結果セットを表示する
トランザクションを開始し
ここからトランザクションの スコープ開始
INSERTで SQL文をセットし
7で 整数のSQLパラメータをセットし
3で 整数のSQLパラメータをセットし
SQLコマンド実行し 成否に 入れ
成否が 成功に 等しい でなければ スコープを抜け出し
つぎに
UPDATEで SQL文をセットし
「まいんど」で 文字列のSQLパラメータをセットし
7で 整数のSQLパラメータをセットし
SQLコマンド実行し 成否に 入れ
成否が 成功に 等しい でなければ スコープを抜け出し
つぎに
DELETEで SQL文をセットし
1で 整数のSQLパラメータをセットし
7で 整数のSQLパラメータをセットし
SQLコマンド実行し 成否に 入れ
成否が 成功に 等しい でなければ スコープを抜け出し
つぎに
ここまでスコープ
成否が 成功に 等しい
ならば コミットし
さもなければ
SQLエラー取得し Mind文字列に変換し 一行表示し
ロールバックし
つぎに
SELECTで SQL文をセットし
1で 整数のSQLパラメータをセットし
7で 整数のSQLパラメータをセットし
結果セット取得し 結果セットを表示する
DB切断し
API破棄処理すること。
ビルド結果
ではビルドします。
C:\developments\vscode\mind9>mind testodbcc file
日本語プログラミング言語 Mind Version 8.11 for Windows
Copyright(C) 1985 Scripts Lab. Inc.
コンパイル中 .. 終了
Coping.. C:\mind9-beta\mind9-beta\bin\mindex.exe --> testodbcc.exe
少しライブラリ部分は書き換えていましたので、すぐにビルド成功したわけではありませんが、無事に成功しました。
実行結果
ではつづいて実行してみます。
C:\developments\vscode\mind9>testodbcc
ODBCライブラリをロードする
ロード成功
関数アドレス群を取得
取得成功
DB接続 成功
|言語ID|言語名|よみがな|開発言語ID|開発言語名|
|1|Mind|まいんど|1|C|
|1|Mind|まいんど|8|Mind|
|1|Mind|まいんど|10|Tcl/Tk|
|7|Mind for Android|まいんどふぉーあんどろいど|3|Java|
23000 [Microsoft][ODBC Driver 17 for SQL Server][SQL Server]制約 'PK_開発言語' の PRIMARY KEY 違反。オブ ジェクト 'dbo.開発言語' には重複するキーを挿入できません。重複するキーの値は (7, 3) です。
|言語ID|言語名|よみがな|開発言語ID|開発言語名|
|1|Mind|まいんど|1|C|
|1|Mind|まいんど|8|Mind|
|1|Mind|まいんど|10|Tcl/Tk|
|7|Mind for Android|まいんどふぉーあんどろいど|3|Java|
ODBCライブラリを破棄する
SQLServerのDB状態は最後にTcl版でトランザクションを成功させた状態でしたので、PK主キー制約違反でトランザクションがロールバックしました。これは成功です。
C2022(VisualStudio2022)で実装したDLLの依存関係
昨年実装したDLLの依存関係ですが、実は最近ユニバーサルCRTの存在に気づいたのですが、当時はあまり気にしておらず、従来のCRTで動いているMind7/8のランタイムで正常動作するのを確認しておりました。このDLLを実装しCのバージョンからして、またVisualStudio2022という環境の既定として恐らくユニバーサルCRTがリンクしているだろうと思い、念のため確認いたしました。
C:\developments\mssqlodbc32\Debug>dumpbin mssqlodbc32.dll /DEPENDENTS
Microsoft (R) COFF/PE Dumper Version 14.42.34438.0
Copyright (C) Microsoft Corporation. All rights reserved.
Dump of file mssqlodbc32.dll
File Type: DLL
Image has the following dependencies:
ODBC32.dll
VCRUNTIME140D.dll
ucrtbased.dll
KERNEL32.dll
Summary
1000 .00cfg
1000 .data
1000 .idata
1000 .msvcjmc
3000 .rdata
1000 .reloc
1000 .rsrc
8000 .text
10000 .textbss
やっぱりユニバーサルCRTがリンクされていました。
VisualStudion2022がインストールされている環境での実行ですので、vcruntime140(d).dllが既に入っているため気が付きませんでした。
おわりに
いかがでしたでしょうか?なにかの参考になれば幸いです。