業務改善の道も一歩から!
こんにちは、むらかにです。
私は食品検査会社で働く会社員で、IT初心者ですが、新しく知った技術を使って業務改善活動に取り組んでいます。
今回、知った技術はこちら!
ノーコードでアプリが作れちゃうGlideというサービス です。
これを使って弊社の課題を解決したいと思います!
課題
弊社では、毎日、複数の荷物の発送作業が発生しています。
荷物の梱包後、 「発送記録表」に記録をつけ、通し番号を書いたシールを荷物に貼ります。 そして、集荷時刻になると、この 発送記録表を見ながら冷蔵庫や冷凍庫から荷物を集めて、記録と荷物の通し番号のシールを確認して出し忘れがないことをチェック したうえで集荷場へ荷物を持っていきます。
現在この発送記録表は 紙に手書きする方式 であるため、使用済みの紙の保管に困っています。また、全社的にペーパーレスを推進しており、できるだけ紙の使用を減らす ように言われています。また、 発送記録表には送り状番号も記入しますが、この記録は発送後は特に活用されていません。 発送記録表をデータ化して発送した荷物の送り状番号がデータリストとして残れば、月末に発生する請求書と送り状番号の照合作業も楽になる と目論んでいます。エクセルやスプレッドシートに直接入力でも良いのですが、梱包作業台にはパソコンが置けないのでiPadでの入力となり、できるだけ入力しやすい方法が必要 です。
今回、この課題を解決したいと思い、発送記録表へ簡単に入力できるアプリ を作ることにしました。
使用したツール
- Glide
- Googleスプレッドシート
作りたかった流れ
発送記録表に記録が必要な項目は下記のとおり。これを網羅して入力し、かつ確認チェックができるアプリを作りたいと思いました。
- 発送する日付
- 送り状番号
- 送り先
- 弊社の担当者名
- 荷物の通し番号
- 荷物が置いてある場所(常温、冷蔵庫(3台あるうちのどれか機器番号で指定)、冷凍庫(3台あるうちのどれか機器番号で指定))
- 出し忘れチェックの確認欄
完成品の動画
Googleスプレッドシートの準備
入力したい項目の列を作ります。このとき、1つで良いのでデータも入れておくと後の設定がわかりやすくなります。
Glideの設定
基本的な使い方は下記が詳しいです。
ログイン後、スプレッドシートを選んで作成すると簡単にマイアプリの誕生です。
工夫した点の詳細設定を表示(折りたたみ)
工夫した点①:荷物の保管場所を表す画像を設定
一覧でどのくらいの荷物があるかを確認できるようにしたかったので、リストを選択。しかし、リストの画面上に表示できる文字の項目は3種類(3列)まで 。私がリストに表示させたい項目は、①送り先、②弊社の担当者名、③荷物の通し番号、④荷物が置いてある場所、できれば⑤送り状番号 。あれ?全然足りない。
最初は使用者が入力の際に「1冷蔵」みたいな感じで複数の要素を合体させた文字列を入力するというルールを決めて乗り切ろうかと思いましたが、運用が微妙だと思い、ボツ。
よく見ると画像を指定できる項目があるぞということで、荷物を置いてある場所を表す画像を作成して入力の際に指定してもらう ことにしました。
工夫した点②:Templateカラムで2列の文字列を1列にまとめる
最初に複数の要素を合体させた文字列を入力しなくても、入力後に列同士の文字列を合体させればいい と気づいた私。調べた結果、Glideでカラム(列)を追加してカラムのタイプをTemplate にすればいけそう!
これで、「②弊社の担当者→①送り先」が1つの列で表現できました。
参考:【Glide】テンプレートカラムの使い方【テキストと数字の組合せ】
工夫した点③:バーコードスキャンの機能を追加
入力欄の設定をするときに、よく見ると「Scan Barcode Button」がある!宅配便の送り状のバーコードをスキャンして入力できるようになりました。これは嬉しい!やった!
工夫した点④:前日の荷物を非表示にできるチェック欄
確認チェック欄を設けて、チェックを入れたら一覧表から非表示になるしくみにしました(リストのオプションの「FILTER DATA」でチェックが入っていないものだけを表示する設定)。もちろん元のスプレッドシートには記録が残っています。発送の記録と確認は、毎日発生する作業なので、前日の荷物の記録は一覧表から除いて、当日分だけをチェックしやすくするためのしくみです。
同僚の皆さんに試してもらいました
私の所属する部には3グループ(便宜上、A,B,Cとします)あり、全グループが荷物の発送に関わっています (ちなみに私はCグループのリーダー)。各グループのメンバー計4名に試してもらって、感想を聞きました。
「発送記録表」の紙を置き換える際には梱包作業台にiPadを置いて、このアプリを表示させる予定 です。今回のヒアリングでは、アプリの使い方を私が動かしながら説明して、次に、実際に登録や確認チェックをやってもらって使いづらいところがないか を聞きました。さらに、iPadでGoogleスプレッドシートを開いて直接入力する方式と比べてどちらが良いかも聞きました 。スプレッドシートは単純に紙の内容をスプレッドシートに置き換えただけのそっけないものです。
1人目:Cグループのパートさん(50代、私の部下)
【⭕良い点】
- アプリの入力作業は問題なくできる。
- スプレッドシートに直接入力と比べると、直観的にはアプリのほうがやりやすい気がする。スプレッドシートを触って他人の入力を誤って消してしまうかもしれないので、その心配がないのが良い。
【❌悪い点】
- 確認チェックの際にチェックすると一覧表から消える部分について、出し忘れのチェックが終わった段階で、合計で〇件という荷物の数を数えて確認しているので、チェックして消えると困る 。また、チェック欄がタップして次の画面にあるので画面を行ったり来たりになり、操作が面倒 。一覧表の横にチェック欄があったほうが良い。
- 入力のページで通し番号が自動で入るようになると良い。
- 冷凍と冷蔵が途中で変更になる場合もあるので、入力修正欄で画像も再選択できるほうが良い。
- スプレッドシートの直接入力は自動保存だが、 アプリは入力後に追加ボタンを押さないと項目が保存されないので押し忘れがありそう 。追加ボタンが上ではなく、入力項目の一番下にあってほしい。
【総合評価】
アプリとスプレッドシート直接入力を比べると、確認チェックのときに一視野で全体を見れるほうが良いので、総合的にスプレッドシートのほうが良い。
私の感想
まさかのスプレッドシートに負けたアプリ😨
リスト表示画面にチェック欄が無いことが一番の問題だったため、 スタイルをリストからチェックリストに切り替えました。こんな切り替えがボタン1つでできるなんて便利なサービス です。また、一覧表の横のチェック欄には別のチェック行を指定し、この欄にチェックしても項目が消えないようにしました。一覧表から非表示になる設定のあるチェック欄は詳細画面に置き、翌日の作業前にチェックを入れて、前日分を一覧表から非表示にします。
修正後のアプリを再度見てもらい、ぎりぎりスプレッドシートよりアプリが良いという評価 をいただきました。
2人目:Aグループの副リーダーさん(40代、同僚)
【⭕良い点】
- アプリは入力が楽で良い。
- これでスプレッドシートもリアルタイムで更新されるのは良い。
- アプリが作れるのがすごい!
【❌悪い点】
- 入力後の追加ボタンの押し忘れがありそう。
【総合評価】
スプレッドシートに直接入力するのに比べると、アプリのほうが良い 。
スプレッドシートに直接入力したい人は直接入力するのも許可する併用方式にすればよいのではないか?
私の感想
純粋に褒めてくれて嬉しい!追加ボタンの押し忘れ問題はありそうなので何とかしたいです。
3人目:Bグループのリーダーさん(40代、同僚)
【⭕良い点】
- アプリは文字が大きく入力しやすい。
- バーコードをスキャンできるのが良い。番号を間違えにくそう。
【❌悪い点】
- 今後、宅配便の送り状発行システムを使う予定なので、そのデータと連携できると良い。
- そもそも送り状発行システムの発送データリストを用意して、そのリストに直接荷物の置き場を記入する運用にすれば、わざわざアプリで記録しなくても良いのではないか?
【総合評価】
スプレッドシートに直接入力するのに比べると、アプリのほうが良い 。
顧客からの申込み内容の確認を電話やメールから別のものに置き換えたいと思っているので、こういったアプリを活用して簡単に入力フォームが作成できると良いと思う。
私の感想
送り状発行システムが導入されたらアプリ要らないとなりそうですが、まだ全然具体化していない話なので、導入までは使えそうかも?送り状発行システムは私も使いたいので、具体化に向けて動きたいです。
4人目:Aグループのパートさん(50代、同僚の部下)
【⭕良い点】
- バーコードがスキャンできるのが良い。
【❌悪い点】
- アプリの使い方は特にここが不便とか難しいということはないが、慣れるまでは大変かも。慣れたらはやいと思う。
- スプレッドシートに直接入力するほうが単純にいままでの紙の「発送記録表」を置き換えているので、わかりやすい。
- スプレッドシートであれば、特に何の説明がなくても入力できるが、アプリは使い方を聞かないといけない 。
【総合評価】
入力する項目の数は、アプリでもスプレッドシートでも大きく変わらないので、どちらでも良い 。
私の感想
またスプレッドシートに勝てませんでした 😨
とても鋭い意見です。アプリはスプレッドシートよりぱっと見は派手で良さそうですが、機能的にはスプレッドシートとほぼ同等です 。でも、アプリの操作を覚える負担を考えると同等よりもマイナスになるんだ という良い気づきが得られました(今回はバーコードスキャンがあるので差し引きゼロで引き分けになった)。
まとめ
このアプリは3時間程度でさっと作ったものですが、いろいろ工夫もしたし、同僚たちに感想をヒアリングする前は、正直なところ、「スプレッドシート直接入力」には圧勝できるものと考えていました。しかし、フタを開けてみると、同僚のリーダーさん達からの評価はそこそこだったものの、メインターゲットであるパートさん達から良い評価を得ることができませんでした 。
これまでの紙の「発送記録表」や、スプレッドシートにある項目は全て網羅して、バーコードスキャンの機能もプラスしたものの、使用者側からすると、結局、手で入力する項目が大幅に減ったわけではなく、アプリの操作手順を覚えるという新たな負担が増えることになった わけで、スイッチングコストを考えてなかった のが大きな敗因です!
アプリの優位性を示すにはバーコードスキャンしたら全ての入力項目が入力されるとかの著しい手間削減効果がないとダメ!
今回のヒアリング結果はショックではあるものの、自分の中では良い気づきになりました 。
やはり、他人に使ってもらうものを作るのは難しいですね!今後の業務改善活動の中でも様々な新しいサービスを使っていきたいと思いますが、導入する際には、心理的負担感をいかに減らすかについても考慮が必要だなと思いました。
おまけ
Make(旧integromat)を使って、スプレッドシートに行が追加されたらLINE Botからメッセージが届くようにしてみました。Google SheetsモジュールのWatch Rowsで15分置きに新たな行を監視しています。
ここで、送り状番号について宅配便の荷物追跡APIと連携して簡単に番号追跡できたら便利かも?と思いましたが、設定が簡単にはできなさそうなので今回は挑戦を見送りました。
以上、御覧いただきまして誠にありがとうございました。