オブジェクトとは？
オブジェクトとは、データ（値）とそれを操作するためのメソッド（関数）を持つプログラム上の「もの」 です。
Python では、すべてのデータがオブジェクト です。
- 文字列 (
str) - 数値 (
int,float) - リスト (
list) - 辞書 (
dict) - クラス (
classで作成したインスタンス) - モジュール (
importしたもの)
これらはすべてオブジェクトです。
オブジェクトの基本的な考え方
オブジェクトには 「属性」 と 「メソッド」 があります。
1. 属性（データ）
オブジェクトが持つ 情報（変数） のこと。
class Person:
def __init__(self, name, age):
self.name = name # ← これが属性
self.age = age # ← これも属性
person = Person("Alice", 25)
print(person.name) # "Alice"
print(person.age) # 25
person.name や person.age は オブジェクトの属性（データ） です。
2. メソッド（関数）
オブジェクトが持つ 機能（関数） のこと。
class Person:
def __init__(self, name, age):
self.name = name
self.age = age
def greet(self): # ← これがメソッド
print(f"Hello, my name is {self.name} and I'm {self.age} years old.")
person = Person("Alice", 25)
person.greet()
# Hello, my name is Alice and I'm 25 years old.
greet() は オブジェクトのメソッド（機能） です。
オブジェクトの特徴
1. オブジェクトは「クラス」から作られる
オブジェクトは クラス（設計図） から作られた実体（インスタンス）です。
class Car:
def __init__(self, brand, color):
self.brand = brand
self.color = color
car1 = Car("Toyota", "Red") # car1 は Car のオブジェクト（インスタンス）
car2 = Car("Honda", "Blue") # car2 も Car のオブジェクト（インスタンス）
print(car1.brand) # Toyota
print(car2.color) # Blue
-
Carクラスが オブジェクトの設計図 で、car1やcar2が オブジェクト（インスタンス）。
2. オブジェクトは「状態」と「振る舞い」を持つ
オブジェクトは 状態（データ） と 振る舞い（メソッド） を持つ。
class Dog:
def __init__(self, name):
self.name = name
self.energy = 100 # ← 状態（データ）
def bark(self): # ← 振る舞い（メソッド）
print(f"{self.name} is barking! Woof Woof!")
self.energy -= 10 # 吠えるとエネルギーが減る
dog = Dog("Buddy")
dog.bark()
print(dog.energy) # 90
-
dog.name→ オブジェクトの「状態」 -
dog.bark()→ オブジェクトの「振る舞い」
3. Pythonのすべてのデータはオブジェクト
Python では、数値や文字列、リストなどもオブジェクト です。
x = 10
print(x.real) # 10（整数もオブジェクト！）
s = "Hello"
print(s.upper()) # "HELLO"（文字列オブジェクトのメソッド）
→ x.real や s.upper() は、オブジェクトの属性やメソッド を使っている例です。
オブジェクトを操作する関数
Python にはオブジェクトを操作するための便利な関数があります。
| 関数 | 説明 |
|---|---|
type(obj) |
オブジェクトの型を取得 |
isinstance(obj, class) |
オブジェクトが特定のクラスかチェック |
dir(obj) |
オブジェクトの属性やメソッドを一覧表示 |
hasattr(obj, "attr") |
指定した属性があるかチェック |
getattr(obj, "attr", default) |
指定した属性の値を取得 |
setattr(obj, "attr", value) |
指定した属性の値を設定 |
1. type()
print(type(10)) # <class 'int'>
print(type("Hello")) # <class 'str'>
print(type([])) # <class 'list'>
→ オブジェクトの型を確認できる！
2. isinstance()
x = 10
print(isinstance(x, int)) # True
print(isinstance(x, str)) # False
→ オブジェクトが特定の型かどうか判定できる！
3. dir()
print(dir("Hello"))
→ "Hello" のメソッド一覧が表示される。（upper(), lower(), strip() など）
4. hasattr()
class Sample:
def __init__(self):
self.name = "Alice"
obj = Sample()
print(hasattr(obj, "name")) # True
print(hasattr(obj, "age")) # False
→ name はあるけど、age はない！
まとめ
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| オブジェクト | データとメソッドを持つ「もの」。Pythonではすべてオブジェクト |
| クラス | オブジェクトの設計図 |
| インスタンス | クラスから作られた実体 |
| 属性（データ） | オブジェクトが持つ情報 |
| メソッド（関数） | オブジェクトが持つ機能 |
Python ではすべてがオブジェクト！
-
int,str,listなども オブジェクト -
hasattr()やgetattr()でオブジェクトの属性を操作できる -
dir()でオブジェクトのメソッドを確認できる