はじめに
最近、「プロジェクトのトラブル解決大全 小さな問題から大炎上まで使える「プロの火消し術86」」という本を読んでいるのでその備忘録になります。
私自身はマネジメント側ではなく作業者の立場にありますが、こういった視点のおかげで自身のタスクをコントロールしたり、マネジメント側へ提案などができておりますので、右も左も先が見えない新人プログラマの皆様への一助にもなればと思います。
※本記事は書籍の「【第1章 最初の準備】」の内容について、まとめます。
※第2章以降は読んだらまたまとめる予定です。
【第1章 最初の準備】
凡例
内容
書籍『プロジェクトのトラブル解決大全 小さな問題から大炎上まで使える「プロの火消し術86」』の記載内容についてざっくりと内容を記載いたします。
- 書籍概要
プロジェクトマネージャーの立場から、
"準備→状況把握→原因特定とリカバリプラン策定→リスタートを切る→リカバリ遂行→クロージング という流れに沿って、プロジェクト上で起きるあらゆる落とし穴をカバー"
した書籍です。
解釈
書籍の内容について、私なりの解釈や自身が新しいプロジェクトに参画する場合はどのように活かしていくかを記載いたします。
9割の人が怠るファーストステップ「腹をくくる」
内容
プロジェクトマネージャーとして、自身が原因ではない理由で炎上しても、既にトラブルが発生している現場に参画しても、その瞬間からプロジェクトの責任は自身にあります。
不条理な内容であっても、「腹をくくって」ないと、ぎりぎりの局面で逃げ腰になってしまい、プロジェクトメンバーの不安を煽ります。
解釈
新人プログラマでも、仕事をする上で責任を負う立場にはなるため、「腹をくくる」ことは必要だと私は思います。作業者には作業者の責任があります。その責任に対して、「腹をくくれている」かどうかで作業の質が変わってくるのだと思います。
私も初めてのプロジェクトで作業責任に対して「腹をくくれて」おらず、報告や情報共有などが遅れてスケジュールに影響がでたり、ミスを発生させておりました。仕事の中で、無意識にやらないことが増えていくというのがリスクとなりえます。
もちろん、必要以上に責任を負いすぎて心が疲れてしまうこともあるので、あくまでも心構えとしてもっておくという意識が大切だと思います。
最初に読み込むべき「最重要資料4点セット」
内容
プロジェクトの概要を把握するために、まずは4つの資料を確認します。
・プロジェクト計画書
プロジェクトのゴールや計画が記載されています。
・体制図
プロジェクトを誰が進めているかが記載されています。
・課題管理表
プロジェクトに起きている課題が記載されています。
・進捗報告資料
進捗状況や、細かい課題などが記載されています。
ただし、炎上しているプロジェクトでは資料がメンテナンスされていないこともありますので、鵜吞みにはせず、実態と比較して、プロジェクトの検討診断をおこないます。
解釈
新人は、上記の資料を閲覧してもチンプンカンプンだと思います。私も当初、マネージャーからプロジェクトの概要説明を受け、これらの資料を確認する時間を与えられましたが、当初は資料からうまく情報を読み取ることができませんでした。
書籍では、資料を鵜呑みにしない旨が記載されていますが、新人が参画するプロジェクトは炎上していない(ことを祈っている)ので、まずは正しさには意識せずでよいと思います。
プロジェクトには大抵これらの資料があって、こんな内容が記載されているんだな、と知っておくこと。そのうえで、これらの資料を確認して疑問点などをとりまとめ、本格的に参画していく中で解消、質問していくということが必要だと思います。
プロジェクト関係者を把握する「体制図分析」
内容
プロジェクトは人によって運営されるので、炎上には必ず人の問題、チームの問題があります。
・人数、チーム数
・リーダー、キーマン
・指揮命令系統
体制図に記載されたこれらの情報を元に、「プロジェクト計画書」、「課題管理表」「進捗報告資料」と一緒みくらべて、プロジェクトの人の状況を把握します。
解釈
新人にとって特に意識すべき内容は
・指揮命令系統
だと思います。指揮命令系統は、作業時に誰から支持を受け、誰に報告するのか? ということを教えてくれます。また、それぞれの立場を知っておくことで、「なんか偉そうな人から指示がきたけどどうしよう?」と悩んだり、「この作業は誰に聞けばいいんだろう?」と迷うこともありません。
現場に入る前に作るべき「100の質問」
内容
プロジェクトのに入ってメンバーにヒアリングする時、「100の質問」を事前に用意することで、状況や課題を網羅的に抑えることができます。
「100の質問」はプロジェクトを10のカテゴリにわけ、それぞれ10個の質問を用意します。必ずしも「100の質問」を用意する必要があるのではなく、カテゴリを洗い出して考えをまとめることが重要です。
カテゴリは、PMBOK1にある10の知識エリア2や既存のフレームワークをつかうことでヌケモレなく洗い出すことができます。
解釈
新人であっても、網羅的に考えておくことは、重要だと思います。勉強にも繋がりますし、異なる観点でプロジェクトを知ることができるからです。
しかし、具体的に質問というとことに落とし込むのはなかなか難しいと思います。まずは「100の疑問」として事前に考えておき、実際に作業する段階になってから作業の中で解決したり、質問して解決したりすることで、自身の参画するプロジェクトの理解につながるものだと思います。
原因と対策の仮説を立てる「1人決断タイム」
内容
「100の質問」と同じカテゴリを使用して、カテゴリごとに「原因」と「対策」の仮説を立てていきます。すべてに問題があるわけではないので、「特に問題はない」となったとしてもOK。
他人とのディスカッションをすることでアイディアは増えますが、人の意見に流されず自分で決める、というプロセスが自分なりの「勘所をつかむ」ために必要です。
解釈
10のカテゴリ分けしたものに対しての深堀りとして実施するのがよいと思います。炎上の「原因」と「対策」ではなく、プロジェクトの「課題」と「対策」についてあらかじめ仮説を立てることで、プロジェクトに慣れてきた頃に自ら提案したり、打ち合わせなどで共有することで、作業以上の価値を提供できるかもしれません。
書籍では「1人で」ということを強調していますが、自身のメンターや上司などとに相談してフィードバックを受けるのもまた良いかと思います。
「懐刀」を手に入れる
内容
プロジェクトマネージャーが入れ替わったとしても、他の炎上の原因となったメンバーは据え置きです。自分の信頼するメンバーを連れて行ったり、現場から優秀な人を見つけ出して自分の直下に配置したりすることで、足りない部分を補ってもらいます。
解釈
新人であるならば、自社のプロジェクトであっても、準委任や派遣契約などで他社のプロジェクトで働く場合であっても、基本的には先輩社員と一緒にプロジェクトに参画することとなると思います。
これから作業者としてタスクをこなしていく中で、そういった先輩社員の懐刀を目指すことがまず第一歩となると思います。
先輩社員は多かれ少なかれあなたの面倒をみれると評価されてその立場にいます。今後の仕事を進めていく中で、先輩社員の足りない部分を補える存在を目指すことで自身の成長につながっていくのだと思います。
おわりに
準備編の内容は以上となります。書籍の各章の内容はざっくりと要約した内容ですので、詳しくは書籍を読んでいただければと思います。2023年6月現在 Kindle Unitedで読めます。
解釈については、私個人としてはこういう形で心構えや実践した方がよいと思う内容を記載したつもりです。ですが、私自身も仕事の中に組み込めておらず、まずは本記事をベースに作業に組み込むことから始めようと思います。
最後に、解釈の中で、仕事の責任や目指すべきところについて触れましたが、何もわからない時期こそ頑張りすぎて心が疲れてしまうものです。無理をして頑張ることも時に大切ですが、一度働けなくなるくらい疲れてしまうと、復帰できない、あるいは復帰までにとても時間がかかるので、自分を追い詰めない程度に頑張っていきましょう。
脚注
-
PMBOK(Project Management Body of Knowledge、頭字語として「ピンボック」と読まれることがある)は、「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド」(英語: A Guide to the Project Management Body of Knowledge、略称: PMBOK Guide、PMBOKガイド)の略語である。PMBOKガイドは、プロジェクトマネジメント協会 (PMI) が発行している。(PMBOK - Wikipediaより) ↩