アクセシビリティについてどうお思いですか?
アクセシビリティについてどうお思いでしょうか?アクセシビリティ対応ってやってますか?
さまざまな事情があるとは思います。別にアクセシビリティ対応していないからって糾弾するわけでもありません。
先日、私はアクセシビリティに関する勉強会に参加しました。
それぞれの会社の方たちが、フロントエンドのアクセシビリティ開発に関する話をたくさんしてくださりました。学びがとても深かったです。話を聞くと、やはりアクセシビリティの浸透には苦労されているみたいです。
この勉強会のとても面白かったところは、第二部で、エンジニアと非エンジニア(人事や広報)の方達がアクセシビリティに関して話していました。なかなか非エンジニアの方がこういう勉強会に参加されて直接話を聞くということがとても珍しく貴重でした。
エンジニアの方達と非エンジニアの方達がそれぞれどうアクセシビリティのことに関して思っているのか話されていました。
アクセシビリティはエンジニアのもの?
そこのエンジニアと非エンジニアの方達の話し合いにはとても強い違和感を感じました。
それは、エンジニアの方達が非エンジニアの方達に関して、アクセシビリティがなぜ必要なのかを説明していたからです。
別にこの方達は何も悪くありません。しかしなぜ私が違和感を感じたかというと、そもそもアクセシビリティってなんだっけ、フロントエンドエンジニアのためのものだっけ?ってなったからです。フロントエンジニアの方がアクセシビリティをすごい必要としていて、それを非エンジニアの方達に問うているわけでもなさそうでした。
そもそも、アクセシビリティって誰のものなのでしょうか?高尚なことだから導入すべきなのでしょうか?
アクセシビリティはみんなのもの
ここでアクセシビリティってなんなのか振り返ってみたいと思います。
アクセシビリティとは
一般にアクセシビリティとは、アクセスのしやすさを意味します。転じて、製品やサービスの利用しやすさという意味でも使われます。似た意味をもつ言葉にユーザビリティがありますが、アクセシビリティはユーザビリティより幅広い利用状況、多様な利用者を前提とします。
誰でも使えるっていうのがアクセシビリティみたいです。テレワークも一つのアクセシビリティではないでしょうか?だって東京以外の場所に住んでいても東京のオフィスの方と一緒に仕事ができるんですから。素晴らしいアクセシビリティですよね。
Webというものはとてもアクセシビリティに富んでいるものです。どこにいたって使える、資格だって必要ない。
もしWebがなかったら、ちょっとした調べ物をするのにわざわざ図書館に行って資料を探しにいかなくてはいけません。何か情報伝達をしたかったら、町の掲示板に情報を書いて貼るか、手紙を配って回る、もしくはあらゆる人にメールを送信しなければなりません。美容室の予約をしたかったらタウンページ開いてそこの電話番号を探して、電話しなくてはいけません。電車で移動するにも券売機の上の路線図見て料金確認して買わなければいけません。
Webというのはそういったことをすべて解決してくれました。どこにいたって、年齢関係なく、性別関係なく、誰でも使える素晴らしい技術です。
しかし、一時的や永続的問わず補助を必要とされている方って本当に使えるのでしょうか?
Webサービスの多くは、情報を閲覧するための視覚と、マウスやキーボードを操作する手での操作が必要です。動画などの音声も使うサービスでは聴覚も必要になってきます。
そういったところに補助が必要な人たち、ハンデを抱えて生活している方達は本当にWebを満足に使えるのでしょうか?
誰でも使えるようにする、それがWebアクセシビリティ対応
誰にでも使える、それがWebサービスのあるべき姿です。そこを目指してフロントエンジニアの方達が技術的にとりくんでいらっしゃるのがWebアクセシビリティ対応です。
視覚的な補助を必要としていらっしゃる方には、MacやWindows、iOSやAndroidには、Webページを読み上げてくれるスクリーンリーダーという機能が最初から備わっています。これを使うと、どのページでも読み上げてくれます。
また、マウスやトラックパッドを使わなくても、WebサイトはTabキー、Shift + Tabキーだけで移動ができます。マウスがうまく扱えない方、今ちょうどマウスがない環境の方などはこれで操作ができます。
聴覚的な補助が必要な方や今現在音声を流すことができる環境でない方のために、動画に字幕を載せる。これもアクセシビリティ対応です。
これらの機能を使っても違和感なくWebサイトを使えるようにしているのが、Webエンジニアの方達が頑張っているアクセシビリティ対応です。補助を必要とされている方だってちゃんと満足できるようにWebを構築する、それがアクセシビリティ対応です。
とはいっても終わりはない
じゃあそれらの対応だけやればいいかっていうとそういうわけでもないです。色弱の方はどうするか、文字をうまく読めない方へはどうするかなど、アクセシビリティにはキリがないです。
これだけやっておけばいいというのはサービスによるとは思います。
ただ、対応しようとする努力は大切だと思います。何も対応してませんより、これだけはとりあえず対応しましたみたいな感じのほうが、ユーザーにも理解を得やすいと思います。
アクセシビリティはみんなのもの
ウェブアクセシビリティ対応というものは、Webサイトを構築するエンジニアの技術ではあります。しかし、アクセシビリティというものはエンジニアだけのものではありません。全員のものです。関係ないなんて人はいません。
特に何かサービスを提供する会社であれば、それに関わる全員の人がそのサービスに関するアクセシビリティは関係があります。経理だろうと広報だろうと人事だろうとバックエンドエンジニアだろうと。
アクセシビリティへの方針は、会社による
とはいっても、その会社によると思います。視覚情報や聴覚情報は、文字情報よりも伝えられることが圧倒的に多いです。バンクシーの絵を文字で説明しようしても、完璧には説明できません。
アクセシビリティ対応だってわりと労力はかかります。実装したところで、目に見えるような何か変化はあまりありません。スクリーンリーダーを使って読みやすくしたところで、スクリーンリーダーを使わない方には全く関係ありませんから。マウスだけ使うユーザーにとってはキーボードで操作できなくたって不利益はありませんから。
だから私は、エンジニアからアクセシビリティの話を持ち出すのは間違っていると思っているわけです。なぜなら対応するしないは会社レベルの話であって、技術レベルの話ではないと思っているからです。
もちろん、エンジニア側から対応が必要ではないかと上に提案することはありだと思います。しかし対応するかしないかは会社レベルの話であると思われます。
なぜなら、NPO法人でもない限り、会社は利益を求めるからです。利益を求め、法令遵守をしていれば会社は継続できます。いくらアクセシビリティが大事だとはいっても、会社が必要とないと判断すればその指示に従うしかありません。会社が初めてアクセシビリティは必要だと判断したら、エンジニアはその時に対応するべきものであり、エンジニア以外の方達は会社のアクセシビリティの方針に関して関心をもつべきだと考えます。
なので、社内にアクセシビリティがなぜ浸透しないのかの一番の原因は、めちゃくちゃ厳しい言い方すると 「会社は補助が必要な人のことは全く意識していない」、もしくは 「補助が必要な人のことは顧客だと考えていない」 からだと思います。だって会社の利益になることであれば対応するはずですから。
例えば女性向けをターゲットにしているサービスを提供しているところに、男性である自分は顧客ではないので、「男性に配慮しろ」といってもおかしいわけです。利益にはつながらないので。
会社の方針がアクセシビリティを考えていれば、おのずとアクセシビリティはみんな関心がいくと思います。たとえばSmartHRさんみたいに。
もし会社の代表の方でそもそもアクセシビリティに関心がなかった方は、ぜひご自分でお調べになってみてください。デジタル庁にもアクセシビリティに関するガイドブックがわかりやすく載っています。
ここまで見て、それでもやっぱり必要がなさそうであれば別に対応が必要なさそうだなと判断された場合はそれはそれで仕方がないことだと思います。
まとめ
・アクセシビリティはエンジニアのものではない
・アクセシビリティはみんなのもの
・アクセシビリティに対応するかどうかは会社次第
です。それと一応補足すると、2024年6月に、障害者差別解消法が改正されるみたいです。
民間事業者の合理的配慮が今まで努力義務だったものが改正され義務化になるみたいです。
アクセシビリティに配慮されていないからといって何か罰があるみたいでもなさそうですが、対応する必要はありそうですね。
でも法律関係なく、アクセシビリティには配慮すべきだと思います。
そして最後にもう一度いいます。
『アクセシビリティは会社全体の関心ごとである』
おまけ
2023/12/10更新
作成時点での記事では、こちらに某サービスの紹介を書いていました。
すると、@chuff_chuffさんから、
「アクセシビリティオーバーレイ」で調べるといろいろ情報が出てくると思うので、よかったら調べてみてください。
というコメントをいただきました。
アクセシビリティに関して無知なところがあった私は、この話題に関して初めて知りました。
そして調べた結果、このエンジニアとして、またこの技術記事として取り上げるには相応しくないと思い、内容を削除させていただきました。
以下、デジタル庁のウェブアクセシビリティ導入ガイドからの引用です。
アクセシビリティ・オーバーレイなどのプラグインの利用は非推奨
アクセシビリティ・オーバーレイは、ウェブサイトやウェブシステムにスクリプトを追加することで、アクセシブルな状態にする仕組みです。JavaScriptで実装されていることがほとんどです。
ただ、これらのプラグインやソフトウェアで実現できると謳われている機能は、OSの支援技術、アプリの支援技術、ブラウザの機能拡張でほぼすべて実現可能です。サイトで実装する必要性は極めて低いものなのです。また、次のような最も対応が必要な課題に対応することができません。● スクリーンリーダーが必要とする HTMLの文書構造
● 代替コンテンツがない画像・動画
ということで、技術記事として推奨するのはよろしくはなさそうだと判断しました。
そのサービスが決して悪いという話ではなく、いいサービスなのですが、アクセシビリティを推奨しようというエンジニアの記事としては相応しくはないと考えたからです。
アクセシビリティオーバーレイに関してはまた別記事で言及しようと思います。
記事をすでにご覧になっていた方々、そして紹介したサービスの関係者様、大変申し訳ございません。