はじめに
先日、Twitter(現X)で、ALT機能に関して大きく話題になりました。内容は、「ALT機能は本来こうやって使うものだから、誤用はやめようね」という注意喚起に対して、一部から非難の声があったり、非難の声に非難が殺到したり、大きく話題になりました。
ALTの機能に関しては、この方のツイートに詳しく書かれているので省略します。
どういう問題が起こっているのかわかっていない方に説明すると、ALTの中に、隠しテキストとして画像に関することでなかったり、ツイートで書ききれないことをALTの中に書いているということが非常に多く起こっています。本来のALT機能の目的ではない使い方がされています。
この記事では、なぜこのような、隠しテキスト的な使い方がSNSでは広まってしまったのか、自分の考察を書いていきたいと思います。
Twitterへの不満が引き起こしたハック
Twitterはそもそも、テキストとメディアのみを投稿できる、簡易的なブログです。それがタイムラインという形でいろんな人の投稿が流れてきます。
ツイートに関して機能的に制限されていることは以下です。
- 140字以内しか書けない
- テキストのあとにしか画像が表示されない
- 画像は4枚まで
画像が4枚までということに関しては、複数ツイートをするという方法でハックできると思います。しかし、「140字以内」と「テキストのあとにしか画像が表示されない」はどうしてもクリアすることができません。
ここで、「テキストのあとにしか画像が表示されない」ことの何が不満であるかというと、表現の方法が人によっては制限されるからです。
例えば、うちの犬を紹介するブログを書きたいとします。画像はぱくたそよりお借りします。
まず、先に文章が来るパターンです。
最近犬を飼い始めました。名前はいぬたろうです。目がチャーミングでとっても可愛いんです。
先テキストパターンだと、「犬を飼い始めたんだ、どんなのだろう。」->画像を見る という流れになります。
次に、画像を先に出して後に文章を書くと、
最近犬を飼い始めました。名前はいぬたろうです。目がチャーミングでとっても可愛いんです。
先画像パターンだと、「なんだろうこの犬の画像は」->「最近犬飼い始めたんだ!」みたいに、受け取り方が変わってきます。
このように、先画像パターン的な表現技法がTwitterではできません。
さらに、テキストと画像のミルフィーユ構造もできません。「テキスト->画像->テキスト->画像」みたいな流れもできません。複数画像は下へグリッド状に表示されてしまうので。しかも、4枚あったら、それぞれの画像に説明をつけようとしたら、140字じゃ収まりきれないことがほとんどです。なので、工夫して1ツイート1枚1説明にして枚数分行うって方法もありますが、非常にめんどくさいです。
このように、画像の表現と、ツイートの文字数に関してユーザーはずっと不満があったのではないかと思われます。
それがなんと、ALT機能をつかうとハックができてしまうんです
ALT機能の追加とハックの発見
2022年4月8日にALT機能のリリースがアナウンスされました。4月1日あたりから、このALT機能に関してはちらほらと使える人が出てきたみたいです。
ある日突然、画像に「ALT」と書かれた文字があります。Webに関わりのある仕事をしている人であれば、「ああ、ALTがTwitterに導入されたんだ」って察しのいい人なら気づくと思います。しかし、世の中全体で見れば、Webに関わりの深い人なんて少数で、ほとんどの人はALTってなんなのかわからないと思います。
ALTってなんだろうと思って、そこをタップすると、何か説明文が出てきました。なるほど、ALTとは、画像に説明をつけられる機能なのかと思うようになります。そこから早いことに、もうこの機能のハック方法が大バズりしました。
これ以降あたりから、加速度的にALTを使う人が増えた印象です。普段眺めていた声優さんのツイートにも、ALTがつくようになりました。見てみると、ほとんどがこのハック的な使い方でした。ALTを正しく知っていない中で、ALTを使うとこんなことが表現できると、何か新しい技術を習得したかのように覚え始めてみんなが使い始めてしまいました。
この使い方は確かに、非常に便利です。ツイートでは書ききれないことをALTで書くと長文で表現できる、ALTにテキスト書けば、画像に対するツイートみたいなのも書ける、新たな面白い機能だと思ってしまいます。
原因はALTが見えることではないのか
ここで、MDNより、altの説明に関して読んでみます。
おそらく alt プロパティを使用する最も重要な理由は、アクセシビリティに対応することです。なぜなら alt テキストはスクリーンリーダーや他の支援技術によって使用され、障碍のあるユーザーがコンテンツを十分に活用できるようサポートするからです。 例えば、視覚障碍のあるユーザーをサポートするために、音声で読み上げたり、タッチ端末に送ったりします。
altの一番の目的は、アクセシビリティということです。なので、HTMLで、imgにaltをつけたところで、表示にはなにも影響されません。正しく画像が読み込めたかった場合と、スクリーンリーダーで読み上げた時に、大いに影響があります。
しかし、TwitterのALT機能は、表示にも出てきます。そしてその代替テキストが表示もされます。表示される必要なんてないのではないかとも思えます。ただ、一度投稿したツイートは編集もできないため、正しくALTが設定できているのか確認するすべがありません。なので仕方なく表示するようにしたのかなと思います。
ALTが表示されてしまうことによって、目が普通に見える人の目に留まり、そしてその道具の使い方をハックされてしまったということだと考えます。
解決策はどうするのか
どうすればいいのかなと思いました。こんな機能作れば正しくいくんじゃないかと色々考えたり。しかし、ツイートを編集できないということを考えると、これが一番の案なのかなと思います。
そしてそれ以上に、みんながALTについて知ること、これが何よりもの解決策なんじゃないかなと思います。無知の無知であるところから、無知の知に進むことが、機能で解決する以上に大事なことなんじゃないかなと思います。
そんなに熱量あるならブログ書こうよ
Twitterをそこまでハックして使うくらいなら、そもそもブログに書いた方がよくないですか?無料ですし。文章構成も自由に書けます。140字以上書けます。変なスパムもつきませんし。noteとかなら無料で書けます。
Twitterの繋がりも大事にしたければ、ブログのリンク貼るだけで全て解決します。だからブログ書きましょうよ。熱量が籠りまくった熱い文章を書きましょうよ。あなたの表現したい方法を全部書ききれますよ?
第一、ALTに書いたら検索性がものすごく悪いですよ?その場ではいいかもしれませんが、あれ書いたのどれだっけって見返す時、全部のALTを開いて逐一調べなければいけません。
生存権侵害に言及する人はどうぞ罵ってください
日本国憲法第25条より
第1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上
及び増進に努めなければならない。
世の中にはあらゆる方がいます。人種、信条、性別、社会的身分、障害の有無、性自認、etc。なので、その方が文化的な生活を送ろうとすることにを、馬鹿にするような、また無視するよう促すような表現をする人はどうぞ罵ってください。生存権の侵害です。生存権は中学生の社会でも習います。そして、Webは誰でも使えるようになっている本当にすばらしいシステムです。なのでそのような発言をする人はWebを冒涜してます。大いに反省してください。
優しく教えてあげて…ね?
「ALTの使い方あなた間違ってるよ」とか強く指摘せずに、「ALTってね、本来こういうふうな機能なんだよ」って優しく教えてあげましょう。だってみんながそんなWebに詳しいわけじゃありません。ALTってそもそもなんなのか知らないんです。優しく指摘してあげるおかげで、みんなが社会に寄り添ってくれる考えに近づいてくれるはずです。強く指摘して相手の機嫌を損ねてしまったら、お互いにいいことありませんから…ね?
「指摘ハラスメント」ハラスメントはやめよう…ね?
「この人ALTの使い方とかわざわざ指摘してきた」って機嫌を損ねてしまうかもしれません。しかし、「学級委員長かよ」とか、まるで指摘した側が落ち度あるように言いくるめるのはやめましょう。そして、それを機に、アクセシビリティに関して少し触れてみてください。
終わりに
以上が、自分が考える、「なぜTwitterのALTの誤用が増えてしまったのか」でした。この問題の一番の解決方法は、ALTを知らなかった人はALTを正しく知る。Twitterにすべて書くのでなく、書ききれないもの、表現しきれないものはブログとか書いてみたらいかがでしょうか。
参考