はじめに
デジタル庁の記事以来ずっとデジタル庁の動きを見ています。2023/08/15に「政府クラウドの『国産』後押し」という記事が出ました。
確かに今、Saasを除くクラウドサービスといえば、Amazon,Google,Microsoftが多く使われています。実際、現在のガバメントクラウドもAWSやAzureが使われています。
政府が国産を後押ししたい理由としては、為替の問題や外交などの政治的な問題、経済的な問題等多数あるからだと思われます。
しかし今あまり日本のクラウドサービスに関する技術記事はほとんど見かけません。実際に今どんな国産クラウドがあるのかをすごくざっくりと調べてみました。ただしSaasは除きます。
ちなみに、Qiitaでそれぞれのサービスを検索するとヒットする件数は、「AWS」が64356件、「GCP」が10618件、「Azure」が16018件です。(2023/08/15現在)
さくらのクラウド (さくらインターネット)
国産クラウドと聞いてまず思い浮かべる方も多いのではないのでしょうか。日本の老舗IT企業、さくらインターネットが提供するクラウドサービスです。
コンピューティング、ストレージ、データベース、VPCなどWebサービスを公開する上で必要なサービスが一通り揃っています。オートスケーリングやセキュリティーサービスなども手軽に行えるみたいです。データセンターは石狩(北海道)、東京、大阪の3拠点です。国内だけにむけたサービスであれば使ってみるのもありかもしれません。
デメリットとしては、ハンズオンがあまり豊富でない、使ってみた記事があまりない、AWSのような無料枠がないため手軽に試してみたいということができないところです。
「さくらのモノプラットフォーム」というIoT向けサービスも展開しているみたいですね。
Qiitaで「さくらのクラウド」と調べるとヒットした記事数は821件でした。
ALTUS (GMOクラウド)
お名前.comで有名なGMOのグループ会社「GMOクラウド」が提供するクラウドサービスです。GMOクラウドってすべてクラウドサービスなのかと思ったらどうやらこのALTUSがIaasにあたるようです。
BasicとIsolateのプランがあるみたいです。IsolateはVLAN環境を搭載しているそうで、セキュアなプライベート環境を構築するのに向いているそうです。
こちらもコンピューティングやストレージ、データベースなどWebサービスを公開する上で問題ないサービスを提供しています。こちらは14日間の無料サービス期間があるようです。
Qiitaで「GMO Altus」と調べるとヒットした記事数は18件でした。
SDPF (NTTコミュニケーションズ)
NTTコミュニケーションズが提供するクラウドサービスです。Smart Data Platformの略です。法人向けみたいです。こちらのサービスはWebサービス向けのサービスももちろんありますが、データ分析やデータ活用、IoT向けのサービスを提供しているのが特徴的だなと思いました。データ加工や分析などのサービスもあります。
Qiitaで「sdpf」と調べると2件ヒットしましたが、こちらのサービスに触れてる記事ではありませんでした。
FJcloud (富士通)
ガバメントクラウド系のサーバーも提供しているみたいです。音声認識サービスや、IoT、コンテンツ配信サービスなんかもあるみたいです。
Qiitaで「Fjcloud」と調べると、4件ヒットしました。
ニフクラ(富士通クラウドテクノロジーズ)
同じ富士通でややこしいですが、富士通がサービスをニフクラのサービスを提供する際は「Fjcloud-V」となるみたいです。コンテナ向けサービスなんかも提供しているみたいです。国産クラウドの多くが法人向けっぽい感じなのに対し、ニフクラは個人向けにも力を入れているっぽいです。2ヶ月の無料枠もあるみたいです。技術ブログも配信しているみたいです。
Qiitaで「ニフクラ」と調べると、349件ヒットしました。割と多いですね。
NEC Cloud Solutions (NEC)
NECが提供するクラウドサービスです。こちらも法人向けみたいです。
IIJ GIO P2 Gen.2 (IIJ)
IIJのオリジナルIaaSのようです。法人向けっぽい感じですかね。
調べてみて思ったこと
ここからは完全に自分の感想です。
国産クラウドもそこそこあるんだなって思いました。多くの人が使いやすいのは「さくらのクラウド」、「ALTUS」、「ニフクラ」ぐらいでしょうか。
しかしどれも敷居が高そうに思えます。少なくとも自分は今すぐこれらを使おうとはなりにくいです。思うに、あまりハンズオンの記事がないのが非常に問題だと思います。
AWS、GCP、Azureの強みは1年間の無料枠、そして技術的に枯れているおかげで多くのハンズオン記事が載っていることが挙げられると思います。これだけの無料枠があると、気軽に立ち上げられるし、気軽にハンズオンを行えます。すると多くの人がサービスに触れられるおかげで、技術記事が多くつくられ、結果的にサービスの利用者が増え使ってみようというスパイラルが生まれるのではないでしょうか?
扱えるエンジニアが増えないことにはサービスは尻すぼみになると思います。例えば今自分がサービスを立ち上げたとして、「AWSエンジニア募集します」と「さくらのクラウドエンジニア募集します」と求人を出したら圧倒的にAWSエンジニアの方が募集が集まりやすいです。それは扱えるエンジニアが多いからです。
国産のSaasでもmicroCMSは無料枠もあり、使い方などもわかりやすく載せていたりしているおかげで結構microCMSを使ってみたなどの記事もあり、国内で成長しているサービスとしてはとてもいい例だと思います。
タダで使わせろと主張したいわけではなく、利用者を増やす取り組みをしてほしいと主張しています。AmazonやGoogle,Microsoftなんかは巨額の資本をもっているからコストの面ではなかなか苦戦するとは思います。しかしせっかくQiitaやZennといった技術ブログプラットフォームが発展していて、かつ日本人のほぼ全員が日本語を読めるこの環境だからこそ、もっと国産クラウドも顧客を獲得するためにあらゆる発信手段を使って盛り上げてもらいたいなと思っています。せっかくこの政府の後押しもあるこの機会こそ。
参考