はじめに
VMworld 2021でGAが発表されたVMware Cloud on AWS Outposts(以降VMC Outpostsと記載)について記事投稿時点での情報をまとめてみました!
目次
- AWS Outposts
- VMware Cloud on AWS Outposts
- AWS Outpostsラック
- VMC Outpostsのユースケースと利点
- EC2ベアメタルインスタンスタイプ
- サイジング
- 費用試算
- 利用可能な地域
- 注意点
- まとめ
- 参考文献
AWS Outposts
まずはVMC Outpostsについて紹介する前に、AWS Outpostsとは何かを理解しましょう。
AWS Outposts は、ほぼすべてのデータセンター、コロケーションスペース、オンプレミスの施設に同じAWS のインフラストラクチャおよびサービス、API、ツールを提供し、真に一貫性のあるハイブリッドエクスペリエンスを実現するフルマネージドサービスです。AWS Outposts は、ローカルシステムで相互依存性のあるアプリケーションの移行、データレジデンシー、ローカルのデータ処理、またはオンプレミスのシステムに低レイテンシーでアクセスする必要があるワークロードに最適です。
(AWSの紹介ページより抜粋)
VMware Cloud on AWS Outposts
VMC OutpostsはAWS OutpostsのAWS NitroシステムベースのEC2ベアメタルインスタンスにデプロイされたVMware Software-Defined Data Center (SDDC)です。VMware Cloud on AWS(VMC)と同じくVMware及びAWSによるフルマネージドサービスになり、VMCと同様のユーザーエクスペリエンスを得る事ができます。
AWSのリージョン内でサービスを展開するVMCとは異なり、オンプレミスのデータセンターにOutpostsのラックを設置しそこでサービスが提供される形になります。つまりVMCをオンプレミスに導入するという事になります。
AWS Outpostsラック
Outpostsのラックは業界標準の42Uラック(203.2cm x 60.96cm x 121.92cm)を使用しています。
VMC Outpostsもこのラックがオンプレミスに設置される形になります。
AWSのページで実際のラックの外観含め詳細が確認できます!
VMC Outpostsのユースケースと利点
VMC Outpostsを利用する事で、オンプレミスとAWSで同じVMwareの顧客体験を実現する事ができます。
同じインフラストラクチャを利用し、運用の一貫性、同じAPI、フルマネージドなどの特徴があります。
オンプレミスにVMCを展開する事により、規制やコンプライアンス要件でクラウドでデータの処理をしたりデータ保管をするのが許されない環境でもVMCが利用できるようになります。またオンプレミスでデータ処理を行いますので低レイテンシーでオンプレミスの既存システムと連携が必要な場合にも最適です。
- 以下にVMC Outpostsのユースケースをいくつかピックアップしてみました。
- ヘルスケア: 電子健康記録のデータの遠隔地保管が認められていない、オンプレミスに保持しておく必要があるような要件やローカルでデータ処理をする必要がある場合など
- 公共部門: 規制やコンプライアンス要件でオンプレミスでデータの保持・処理をする必要があるケース
- 製造業: 工場システムへ低レイテンシーでアクセスする必要がある。製品の欠陥や機器のリアルタイム監視
- 金融: vSphere上で実行されている機密性の高い顧客情報
- 教育: 数万人の学生や教員がアクセスする必要のある低レイテンシーのアプリケーション
- 電気通信: ITサポートが限定されるセルタワーで仮想ネットワーク機能(VNF)を利用している
EC2ベアメタルインスタンスタイプ
VMCでは現在i3.metalとi3en.metalの2つのインスタンスタイプを利用できますが、VMC Outpostsではその内の一つであるi3en.metalを利用します。同じインスタンスを利用しているんですね。
i3en.metalインスタンスはホストあたり45.84 TiBのrawストレージキャパシティ、48コア CPU、768 GiBメモリになっています。
VMC Outpostsではラックあたり3〜8ホストで構成可能です。
サイジング
VMCと同じベアメタルインスタンスを利用している為、VMCと同じSizerでサイジングを行います。
Sizerを使ったサイジング方法はこちらの記事で以前解説したのでよろしければこちらもチェック頂けると嬉しいです。
費用試算
VMC Outpostsの費用は、VMware Cloud on AWS Outpostsの製品ページのPricingタブで確認ができます。
利用可能な地域
本記事執筆(2021/10/23)時点では、VMC OutpostsはUS内のみ配送可能となっています。しかしながらUS以外(例えば日本)もVMwareもしくはAWSの担当者へのリクエストベースで利用が可能となっています。
注意点
VMC Outpostsはオンプレミスにラックを配置する形になりますのでVMCとは異なる点があります。
まずオンプレミスへラック配置となりますので、データセンターの物理セキュリティは利用者の責任となります。Outpostsのラック内はVMware/AWSの管理となり、タンパ検知が組み込まれています。またスペース代や電気代も利用者の負担となります。
まとめ
これまで規制やコンプライアンス要件でVMwareベースのクラウドソリューションに興味があっても利用できなかった場合などにVMwareマネージドのSDDCをオンプレミスで利用できるようになりました!
私はVMworld 2018に現地で参加してその時にVMC Outpostsの話を聞いて度肝を抜かれた記憶が残っていますがついに利用できるようになりました。
利用可能な地域などは今後拡大が予定されていますので詳細は公式ページを参照下さい。
今回はVMC Outpostsの概要をご紹介いたしました。詳細については希望が多ければ記事にしてみたいと思います。