2
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 1 year has passed since last update.

vSAN Express Storage Architecture (vSAN ESA)

Posted at

概要

vSAN Express Storage Architecture (vSAN ESA) とは、VMware Explore 2022 US で発表された vSAN 8 から利用できる新しいストレージアーキテクチャです。
NVMeデバイスに最適化され新しくなったアーキテクチャであり、vSANの大きな変化として発表されました。

従来の vSAN アーキテクチャとは異なり、ESA は単一層アーキテクチャを採用しており、NVMe ベースの SSD デバイスのみを使用します。これにより、従来の vSAN アーキテクチャよりも、パフォーマンス、効率、スケーラビリティが向上しています。

従来の vSAN ストレージアーキテクチャ(vSAN OSA)

ESA が発表される前から使われているストレージアーキテクチャは Original Storage Architecture (OSA) と呼ばれるようになりました。

vSAN が利用され出した頃は、まだ SSD が高価だったため、最初はキャッシュ領域のみ SSD を利用し、キャパシティ領域は HDD を使うという形が主流でした。
この為 OSA は、SSD や HDD など、幅広いストレージ デバイス向けに設計されています。
キャッシュとキャパシティの2階層のアーキテクチャであり、それぞれの階層に専用のデバイスを用意してディスクグループを構成する仕様でした。

image.png
図:vSAN OSA のストレージアーキテクチャ(VMware Docs からの抜粋)

VMware Cloud on AWS においては、i4i.metal では ESXi ホストごとに 3.75TB の Nitro SSD ドライブが 8 つインストールされており、それを 2 つのディスクグループで構成し、キャッシュレイヤーを除いたRawキャパシティとして 1 ホストあたり 20.5 TiBのRawキャパシティを提供しています。

i3en.metal では、ESXi ホストごとに 7.5 TB の NVMe ドライブが 8 つインストールされており、それを4 つのディスクグループで構成し、キャッシュレイヤーを除いた Raw キャパシティとして 1 ホストあたり45.8 TiBの Raw キャパシティを提供しています。

image.png
図: OSA ストレージアーキテクチャ(VMware Cloud on AWS)

vSAN ESA の特徴

ESA ではディスクグループが廃止され、ストレージプールと呼ばれる 1階層 のアーキテクチャが使用されています。
高性能な NVMe ベースの TLC フラッシュ デバイスと高性能ネットワーク向けに設計されています。

このストレージプールに利用されるデバイスは、NVMe ベースの TLC フラッシュ デバイスのみとなりますが、すべてのデバイスパフォーマンスとキャパシティ双方に活用されます。そのため同じ容量、同じ数のデバイスの構成の場合は ESA の方がより多くのキャパシティを確保できます。

image.png
図:vSAN ESA のストレージアーキテクチャ(VMware Docs からの抜粋)

ESA の特徴をまとめると以下の通りとなります。

  • パフォーマンスの向上: ESA では、新しいログ構造型ファイルシステムを使用しており、クラスタがRAID-1のパフォーマンスでデータをRAID-6で保存することができます。圧縮は仮想マシンごとの設定に変更され、データがネットワークを通過する前に圧縮されるため、ネットワークのオーバーヘッドが少なくなり、スループットが向上します。vSAN ESAは、非常にスケーラブルで効率的な新しいネイティブスナップショットエンジンを使用しています。ESA を採用することで、この向上したパフォーマンスを活用し、待ち時間の短縮、データ・アクセスの高速化、アプリケーションの応答性の向上を実現することができます。
  • 拡張性の向上: ESA は拡張性を強化するため、データ・ワークロードの増大に対応し、ストレージ容量を簡単に拡張することができます。ボトルネックやパフォーマンスの低下を経験することなく、要件に応じてストレージ・インフラストラクチャを拡張できます。
  • 効率性の向上: ESA の最適化された設計は、リソース消費を削減し、効率の向上と運用コストの削減をもたらします。NVMe テクノロジの機能を活用することで、ESA はストレージ利用率の向上と全体的なリソース利用率の向上を実現します。RAID 5 は 2+1 または 4+1 構成で動作できるようになりました。これにより、3 ノードのクラスターから RAID 5 サポートが提供されると同時に、より大きなクラスターではより容量効率の高いストライプ サイズが可能になります。
  • データ保護の強化: ESA は、データの整合性と信頼性を保証するチェックサムやエラー訂正メカニズムなどの高度なデータ保護機能を提供します。NVMeフラッシュ・デバイスとESAの組み合わせにより、企業はデータ保護戦略を強化し、データの損失や破損のリスクを低減することができます。
  • 管理の簡素化: ESA は vSphere プラットフォームとシームレスに統合されており、統合管理インターフェイスを提供します。この統合により、集中監視、自動プロビジョニング、トラブルシューティングの簡素化などの機能により、ストレージ・インフラストラクチャをより効率的に管理できるようになります。

image.png
図:vSAN ESA におけるデータ処理の最適化(VMware Tech Zoneからの抜粋)

個人的には、ストレージ容量の多い環境において、どう vSAN 内で容量を賄うかが課題になるケースが多い為、効率性の向上が非常にありがたいアップデートだなと思っています。RAID-5 が 3 ホストから利用できるのもありがたい。。

vSAN 8 のハードウェア要件

vSAN 8.0 ESA vSAN 8.0 OSA
最小ストレージデバイス数 4 2
ハードウェアの選択 vSAN ESA 認定された NVMe デバイスのみ 認定された SATA, SAS, NVMe デバイス
キャッシュデバイス要件 キャッシュデバイスなし ディスクグループあたり 1 つのキャッシュデバイス
デザイン ReadyNodes のみ ReadyNodes または認証済みデバイスを使用した独自の構築
ネットワーク最小構成 25Gbps 10Gbps

VMware Cloud on AWS における vSAN ESA の利用

先日開催された VMware Explore Las Vegas 2023 にて VMware Cloud on AWS での vSAN ESA のサポートが発表されました!!
現時点ではまだ使えないのですが、VMware Explore Las Vegas でのセッションにて VMware の会計年度 FY24Q3(つまり 〜 2023 年 10月)にリリースを予定しているとの事でした。
対象は、i4i.metal の新規 SDDC のみで、VMware によると、パフォーマンスが最大 4倍向上し、ストレージ効率の向上により TCO が最大 40% 削減されるとの事です。

まとめ

vSAN ESA は、vSAN 8 から利用できる、パフォーマンス、効率、スケーラビリティを向上させた、新しい vSAN アーキテクチャです。OSA も引き続きサポートされますが、ESA が利用できる環境では積極的に ESA を選択していきたいと思います。
VMware Cloud on AWS でのサポートも待ち遠しいです!

参考文献

2
2
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
2
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?