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サーバーサイドのデザインパターン[Observer Patternの章]

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Observerパターンとは

  1. 定義
    Observerパターンは、オブジェクト間に一対多の依存関係を定義し、あるオブジェクトの状態が変更されると、そのオブジェクトに依存する全てのオブジェクトにその内容が通知される、というデザインパターンです。これにより、変更を監視するオブジェクト群が、変更された内容を知り、適切に反応できるのです。

  2. 主要なコンポーネント
    Subject(被験体):
    状態が変更されるとObserverに通知するオブジェクトです。
    Observer(観察者):
    Subjectの状態の変化を監視し、状態が変化した際に通知を受け取るオブジェクトです。

  3. 実装例
    3.1 Pythonでの実装
    Pythonを利用して、具体的なObserverパターンの実装を示します。以下のコードは、Subjectクラスとその具体クラスConcreteSubject、そしてObserverインターフェース及びその具体クラスConcreteObserverを定義しています。

class Subject:
    def __init__(self):
        self._observers = []
        
    def attach(self, observer):
        if observer not in self._observers:
            self._observers.append(observer)
            
    def detach(self, observer):
        self._observers.remove(observer)
        
    def notify(self):
        for observer in self._observers:
            observer.update(self)
            

class ConcreteSubject(Subject):
    def __init__(self):
        super().__init__()
        self._state = None
        
    def get_state(self):
        return self._state
        
    def set_state(self, state):
        self._state = state
        self.notify()
        

class Observer:
    def update(self, subject):
        pass
    

class ConcreteObserver(Observer):
    def update(self, subject):
        print(f"Observer received: {subject.get_state()}")

3.2 使用例
以下は、上述のコードを利用する基本的な例です。ConcreteSubjectインスタンスの状態が変わると、アタッチされたConcreteObserverインスタンスが通知を受け取ります。

subject = ConcreteSubject()

observer_a = ConcreteObserver()
observer_b = ConcreteObserver()

subject.attach(observer_a)
subject.attach(observer_b)

subject.set_state('some_state')

利点と制約

利点
SubjectとObserverが独立しているため、これらを個別に変更・拡張できます。
新しいObserverを容易に追加できます。
制約
不要な通知によるオーバーヘッドが生じる可能性があります。
循環依存が生じる可能性があります。

使用場面

  1. イベントハンドリング
    GUIライブラリやフレームワークでは、ボタンのクリックやキーの押下といったユーザーのアクション(イベント)を検知し、登録されたハンドラ(Observer)に通知するためにObserverパターンが使用されます。

  2. データバインディング
    Observerパターンは、MVCやMVVMのようなデザインパターンで、モデルの状態の変更をビューに自動的に反映させるために利用されます。モデルの状態が変わると、それを観察しているビューに変更が通知され、ビューが更新されます。

  3. ストックウォッチャー
    金融アプリケーションにおいて、株価や為替レートの変動をトラッキングし、変動があった際に投資家やトレーダーにアラートを送るためにObserverパターンが用いられます。

  4. ゲームのステータス監視
    ゲーム開発において、プレイヤーのステータスやゲームの状態の変更をゲーム内の各システムが監視し、それに応じて異なるアクションや反応を起こすためにObserverパターンが使われます。例えば、プレイヤーのHPが0になった際にゲームオーバーのロジックをトリガーするなどです。

  5. ワークフローシステム
    ワークフローシステムにおいて、ワークフローの各ステップの状態変更を他のシステムやモジュールが監視し、その変更に基づいて次のアクションを判断または実行するためにObserverパターンが用いられます。

  6. プッシュ通知
    ウェブサービスやモバイルアプリでは、サーバー側のデータの変更をクライアントに即座に通知するために、Observerパターンが用いられます。例えば、新しいメッセージや更新情報をリアルタイムでユーザーに通知するシステムなどです。

まとめ

Observerパターンは、オブジェクト間の依存関係を効果的に管理するデザインパターンです。これにより、システムの一部が変更された際に、その影響を受けるオブジェクトが自動的に更新されます。ただし、オーバーヘッドや循環依存に注意しながら適切に利用する必要があります。

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