2
3

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 1 year has passed since last update.

こんにちは。技研商事インターナショナル株式会社の秋葉です。
弊社はGIS・位置情報分析のなかでエリアマーケティングを中心にビジネスを行っていますが、そもそもエリアマーケティングとはなんぞやという方も多いと思います。
そこでエリアマーケティングの概要と位置情報とエリアマーケティングの今後の展望について話したいと思います。

そもそもエリアマーケティングとは

弊社の用語集から抜粋しますが、エリアマーケティングは下記のように定義されます。

エリア・マーケティングとは、地域単位での需要・供給を考慮したターゲット・マーケティングのことです。

要は、知りたい場所の詳細をよく知ってマーケティングをするということです。
場所に関することなのでGIS(地理情報システム)を使います。
実際に、実店舗の開発や出店戦略・売上予測・販促の最適化などによく使われています。

商圏分析

エリアマーケティングの中でも代表的な商圏分析について説明したいと思います。
商圏分析の前にそもそも商圏とはというところを先に説明します。

商圏とは

また弊社の用語集から抜粋しますが、商圏は以下のように定義されます。

小売店舗や外食店舗などの店舗施設にお客様が来店する可能性のある範囲のこと

一般的にコンビニのような近くのお客様が主な顧客層となる店舗は商圏が狭く、遠くのお客様も来るホテルのような店舗は商圏が広いと言えます。
また、同じコンビニでもロードサイドと繁華街などの立地差などの要因で商圏は変化します。

商圏の可視化

商圏分析のおいての基本である、商圏の可視化をしたいと思います。
たとえばある地域に出店している同業種の小売店舗に対し、それぞれ最低でも3000人は居住者がいると思われる範囲を商圏としてそのラインを引いてみるとします。
商圏の可視化_1.png

このように、コンビニは商圏内人口が2000~3000人で事業が成立すると言われていますが、地図上でそれを可視化することができます。
特に商圏の重なった部分は顧客を奪い合っているエリアです。
同一企業店舗同士で奪い合っている状態は、通称でカニバリ(カニバリゼーション(共食い)の略)と呼ばれます。
店舗を急拡大する時に起こりがちですが、商圏を可視化することでそういった状況に陥っていないか?の把握に役立てることができます。

競合店分析

前項では、商圏の可視化について簡単に説明しましたが、競合店が存在する中で自社の店舗がどれだけ売上げられるか、などを分析することもできます。
代表的な競合店の分析手法に、ハフモデルがあります。

ハフモデル

ハフモデルとは1960年代からあるモデルです。
消費者は近くにある大きな店舗へ行くという一般的な傾向を前提にしており、複数店舗からある店舗を選択する確率を、店舗の売場面積に比例し、そこまでの距離に反比例するとした吸引モデルです。
ある消費者が店舗を選択する確率のことを吸引率と呼びます。
弊社HPでは、ホームセンターの出店前後での勢力変化を推計した例を挙げていますが、吸引率と様々なデータを駆使して需要の予測などを行うことができます。

ハフモデル参考

エリアマーケティングのこれから

上記に挙げた内容はごく一部ですが、エリアマーケティングの手法を用いることで店舗の売上や販促効率の向上につながる知見を得ることができます。
次項で簡単に述べますが、位置情報データをエリアマーケティングで使うことで、より多様な分析をすることができるようになっています。

エリアマーケティングにおける位置情報

位置情報が活用される前まで

エリアマーケティングは、位置情報の活用が活発になるまで公的統計データを使用しての分析がメインでした。
公的統計データは、調査する時のサンプル数が多いためデータを取得した時点での精度が良い半面、更新が1年に1回や5年に1回など、更新頻度が低い点が欠点でした。
位置情報データを用いることで、よりリアルタイム性のある分析が可能になっています。

位置情報×エリアマーケティングの今後

今後位置情報データが発展することで、エリアマーケティングがどう変わっていくのかについて話したいと思います。

個人的には位置情報によって、エリアマーケティングにおける新しいデータ分析が注目されると思っています。
というのも位置情報データが増えていくことで、時系列を扱う時に用いられる分析手法がより活用される可能性があるからです。
今でも位置情報データを用いて来訪者の変化を判断することができますが、たとえば、来訪者数の増減とキャンペーン等なんらかの施策との因果関係の判断に差分の差分法(DID)が使えるかもしれません。

差分の差分法とは

DIDとは簡単に言うと、時系列的に似たような条件(並行トレンドの仮定を満たす条件)の2要素のうち1つを変えた時に、変えた後の時系列の変化を見ることでどこに因果関係があるか推定する計量経済学の分析手法です。

東京大学先端科学技術研究センターから、街路を非歩行者空間から歩行者空間にしたことが小売店・飲食店の売り上げに影響したかどうかを、DIDを用いて評価するという研究結果が発表されています。

東京大学 先端科学技術研究センター:街路の歩行者空間化は小売店・飲食店の売り上げを上げるのか、下げるのか?

この研究結果は都市開発のための定量的なデータ分析を行うために用いられていますが、位置情報の時系列データを分析するという点でエリアマーケティングへの利活用も進んでいくのではないかと思っています。

2
3
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
2
3

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?