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試験開発担当者に聞く!LinuC認定試験の作り方(イベントレポート)

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はじめに

こんにちは、エンジニアコミュニティ LinuC Open Network (LiON)の運営事務局に参加させていただいております伊藤です!

今回は、4月に開催したLiON主催のオンラインイベント「試験開発担当者に聞く!LinuC認定試験の作り方」について、その内容をレポートします。

Linux技術者認定試験「LinuC(リナック)」の開発担当をゲストに迎え、LinuCの開発背景や設計思想、またどのような体制で開発されているかなど、普段なかなか聞くことのできない、試験開発の裏側に迫る貴重なトークセッションとなりました。

connpassのイベントページはこちら
https://lion.connpass.com/event/350941/

イベント概要

日時:2025年4月15日(火)19:30~21:00
主催:LinuC Open Network(LiON)
形式:Zoomウェビナー
ゲスト:安良岡直希 氏(LPI-Japan 試験開発担当)
モデレーター:伊藤真之(LinuC Open Network 事務局)

本イベントは、ITエンジニアコミュニティ「LinuC Open Network」による月例イベントとして開催されました。後半では、参加者とのディスカッションも交えたインタラクティブな構成となり、多様な視点からの意見交換が行われました。

トークセッションの内容

トークセッションでのお話の中から、私が特に印象深かったものをいくつかご紹介します。

■ LinuCは“実践的なスキル”を問う試験

LinuCの設計思想として「現場で本当に使える知識」を重視しているとのことです。Linuxコマンドの知識にとどまらず、クラウドやセキュリティといった周辺技術まで含めた広い範囲をカバーすることで、実務に直結した力を測るようになっているのが特徴です。

■ 「なぜその知識が必要なのか」を気づかせる問題設計

問題作成においては、単なる暗記型の出題ではなく、「なぜその技術が必要なのか」「どのような背景で使われているのか」といった“理由”に着目した出題方針が採られています。選択肢の中で“最も適切”なものを選ぶ判断問題も多く、技術に対する理解力が試されます。

実際に出題範囲にあるトピックが、現場でのトラブルシューティングや設計判断に役立つよう意図されており、「問題を解くこと自体が学びになる」構成を目指しているとのことです。

■ 試験開発の体制 : コミュニティの力

LPI-Japanの試験開発チームは非常に少人数ですが、それを支えるのが「LinuC Open Network」コミュニティです。試験開発では、実務経験のあるエンジニアや教育者など、数十名の協力者がスコープ設定・出題範囲のレビュー・問題案の検討などに関与しています。

この“オープンで実務者視点のフィードバック”こそが、LinuC試験の客観性や現場感覚の高さを支えている大きな柱となっているのですね。

■ 試験作成の3ステップ : スコープ設定・範囲文作成・問題作成

試験開発は大きく3つの段階に分けて進められるそうです。

スコープの設定
どのような技術領域をカバーするかを企画フェーズで決めます。たとえば「セキュリティ」を扱う場合、OSレベルの話からアプリケーション、ネットワークまで、どの深さまで出題するかは現場の声をもとに調整されています。

出題範囲文の作成
どの知識を問うか、どういう表現で書くかがポイント。専門的になりすぎないよう、複数人の視点でレビューし、初学者でも理解できる文面に磨き上げられます。

問題の作成
一人で書くと偏りが出るため、複数人で分担し、出題意図・レベル感をすり合わせながら作られます。完成後はベータテストでの実地確認を経て、最終調整が行われます。

■ ベータ試験による品質評価

新しい試験をリリースする際には、「ベータ試験」と呼ばれるプレテストが実施されます。LinuCでは、ベータ試験参加者に実際の試験を体験してもらい、その結果を統計的に分析して問題の妥当性や難易度の調整を行っています。

この過程によって、受験者にとって適切なレベル感の問題だけが本試験に採用され、試験の信頼性が担保されています。

■ 出題内容と改定の方針

LinuCの各レベル(L1~L3、SA)の内容は、原則として5年ごとに見直しが行われます。ただし、近年の技術進化が加速しているため、今後はより短いスパンでの改定が必要になる可能性もあるようです。

■ コミュニティ参加者の多様性と役割

試験開発に参加するコミュニティメンバーは、現場での開発経験を持つエンジニアから、教育の現場にいる講師や研修担当者までさまざまです。上級者だけでなく、初学者視点や「教える立場」からの意見も取り入れることで、よりバランスの取れた試験が構築されています。

レベルごとに協力者の層も変わるそうで、たとえば最上位の「LinuCシステムアーキテクト」では、プロジェクトリーダークラスの実務経験者が多く関わっているとのことです。

■ AIによる問題生成は?これからの展望

最後に話題となったのは、生成AIを使った問題作成の可能性について。現時点では「補助としては使えるが、まだ本格的には難しい」との見解でした。ただし、今後の進化には注目しており、品質管理の一部として取り入れていくことも視野にあるとのことです。

事後アンケート

イベント後には匿名でアンケートを取らせていただきました。非常に高評価で、自由記述欄でも、下記のようにポジティブなメッセージをたくさんいただきました。
イベントを企画・運営する私としても非常に励みになります。ありがとうございます。

スクリーンショット 2025-04-16 14.52.13.png

感想やメッセージ

  • 開発者の貴重な声が聞けて良かったです。ありがとうございました。
  • 受験時に回答に迷った場合の考え方が見えたような気がします。いい話が聞けて良かったです。
  • LinuC取得してみようかなと思いました。ありがとうございます。
  • いいイベントでした!
  • 良いセッションをありがとうございました。
  • とても面白かったですが、もうちょっとインタラクティブにできると嬉しいなという印象です。

おわりに

エンジニアコミュニティ LiONが開催した4月のイベントについてレポートさせていただきました。LiONでは毎月このようなイベントを開催、またslackでエンジニア同士の交流ができる場を提供しています。そして、ITエンジニアならどなたでも無料でご参加いただけます。興味を持っていただいた方は、ぜひLiONに参加してみてください。あるいは、来月以降のイベントにぜひご参加ください。

LinuC Open Network で皆様とお会いできるのを楽しみにしております。
https://linuc.community/

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