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スクラムガイド2020について

Last updated at Posted at 2020-12-17

はじめに

この記事は2020年12月16日に行われたスクラムガイド2020解説ビデオ オンライン上映会に参加し、得た気づきや感想を私なりにまとめたものです。

個人的に印象的だったこと

このイベントを通じてたくさんの新たな発見や気づきを得ることができました。
その中でも特に印象的だったことを少し書いていこうと思います。

「Why」を明確にする

今回のスクラムガイドのアップデートにより、スプリントプランニングのトピックに新しく「このスプリントはなぜ価値があるのか?」が加わりました。
そして重要なのは3つあるトピックの中の1番最初に書かれているというところだと思います。
解説ビデオの中でJeff Sutherlandは素晴らしい結果を達成するには「Why」を理解している必要があると述べていました。
なぜ、「Why」からなのか、なぜ「Why」を知る必要があるのかは、Jeff Sutherlandも解説ビデオの中で述べていた「Whyから始めよ」のTEDの動画を見ると理解できると思います。
https://www.ted.com/talks/simon_sinek_how_great_leaders_inspire_action?language=ja

チーム全体が「Why」を理解し、プロダクトを生み出していかないとユーザには「欲しい」「使いたい」と思ってもらえません。
プロダクトオーナーにはこの「Why」をチーム全体に伝え、巻き込んでいく責任があります。

「役割」から「責任」への変化

これまで「プロダクトオーナー」「スクラムマスター」「開発チーム」でそれぞれどのような役割を担うかとしていたものを、今回のアップデートではそれぞれにどのような「責任」があるかが記されるように変わりました。(「開発チーム」という表現も「開発者」へと表現が変わりました。)
これまで「役割」という印象が強かったことで、プロダクトオーナーは「プロダクトバックログを作ればいい、あとは開発チームが作ってくれる。」やスクラムマスターは「イベント全て開催し、このチームがスクラム開発できていればいい。作るモノへの責任はない。」といった、スクラムガイドに書かれているそれぞれの役割をこなせばいいものという誤解を与えているケースが多かったようです。
事実、私自身の経験的にもプロダクトオーナーはプロダクトバックログを作ることと、実際にできたもの(結果)にしか興味を持っていないというケースはありました。
逆に開発チームもプロダクトオーナーが提示したプロダクトバックログの優先度順に作っているだけで、なぜ欲しいのかを深堀したり、より良いアイデアを提示するといったことが少なかったように思えます。
しかし、これでユーザに最大の価値を提供できるでしょうか?ユーザに最大の価値を届けるためにスクラムチームといいながら「一つ」のチームになれていなかったチームが多かったことが問題でした。
その解決のためにそれぞれの「役割」ではなくそれぞれの「責任」を明確にし、それぞれの「責任」を果たし、「一つ」のチームでユーザの価値を最大化するように取り組んでいけるようにしたのが、変更の理由だそうです。

スクラムの価値基準と日本の文化

個人的に一番なるほどと思ったのはこの話だったかもしれません。
スクラムの価値基準の中で日本人は「公開」が苦手だという話がありました。それはなぜか。
日本では学校で授業を受けるとき、生徒(下の立場)が挙手をして先生(上の立場)が許可を出して初めて発言や質問をすることができるのが一般的な文化になっています。
我々日本人は小さい頃から上の立場の許可を得ないと発言・発信・質問ができない、すなわち公開には許可が必要という文化の中で生活をしてきています。
これが日本人に「公開」を難しくしてしまっている文化だという話がありました。

したがって、何も意識しないまま日本人がスクラムで開発をしてしまうと、チーム内で「公開」することを恐れたまま作業を進めてしまう可能性があります。
なので、「公開」することをチーム全体に浸透させること、「公開」へのハードルを下げることをスクラムで開発するにあたり、強く意識し変えていく必要があります。
逆に日本人はゴールに向かって全力を尽くすところは得意としている点なので、「集中」という点では長けているという話がありました。

最後に

今回のアップデートによって変わった点はいくつかありましたが、このイベントで話を聞いているうちに本質的な所は何も変わっていないことに気づきました。
私たちがスクラムを進める上で解釈を誤ってしまい、本質からずれてきてしまっている所を今回のアップデートで軌道修正することで、スクラムの本質へより導いてくれた気がします。

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