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ApacheHopとNeo4jを利用したSBOMの可視化

Last updated at Posted at 2022-10-27

スライド1.PNG

はじめに

本記事はApacheHop Meetup用に作成したものです。個人の活動に起因するものであり、私の所属する組織を代表する知見、考え方ではありません。

目的

Log4Shell、Sprint4Shell、Text4Shell ... 最近何かとお騒がせな4Shell系の脆弱性。そしてLog4Shellをきっかけに注目されているSBOM。SBOMはそれ単体ではあまり意味をなさないので、SBOMで定義されているソフトウェア情報をちゃんと構成管理するCMDBとセットで考えなければなりません。お金のある企業であれば、BlackDuckを買ったり、yamoryを使えばいいでしょう。本記事では、お金をかけずにOSSのみ、しかもノーコードでシステムのSBOMを生成し、それを管理・可視化する仕組みを考えます。こんな方法もあるよっていう1手段の紹介です。
※お金のある企業はケチらずにBlackDuck、yamoryなどのちゃんとしたものを使いましょう!!

SBOMとは

私が説明するよりもこういうところを読んだ方が絶対に分かりやすいので割愛します。

用意するもの

本記事では、Microsoft社がOSS公開したsbom-toolを用いて、NuxtJS(init状態)、NextJS(init状態)のSBOMを生成し、出力されたSBOM(JSON)をApacheHopで読み込んでNeo4jにデータ投入してみます。

すべて無料です。

アウトプット

先にどういうことをやろうとしているかというと、こういうグラフを作成します。
output.png

フォルダ構成

本記事では、このようなフォルダ構成で作業してます。

手順

Nuxt.js、Next.jsの初期化

ここは割愛します。それぞれHPのget startのやり方を参考にしてください。initした状態でよいです。

sbom-tool実行

下記のコマンドを実行。
上のフォルダ構成で、sbomフォルダ配下で実行することを前提にしています。

md sbom-output\NextJSApp
md sbom-output\NuxtJSApp
.\sbom-tool\sbom-tool-win-x64.exe generate -b sbom-output\NextJSApp -bc apps\NextJSApp -pn NextJSApp -pv 1.0.0 -nsb http://example.com
.\sbom-tool\sbom-tool-win-x64.exe generate -b sbom-output\NuxtJSApp -bc apps\NuxtJSApp -pn NuxtJSApp -pv 1.0.0 -nsb http://example.com
copy sbom-output\NextJSApp\_manifest\spdx_2.2\manifest.spdx.json sbom-output\nextjsapp.json
copy sbom-output\NuxtJSApp\_manifest\spdx_2.2\manifest.spdx.json sbom-output\nuxtjsapp.json

ApacheHop Pipeline作成

Start

Pipelineの開始点を作成します。これはお約束みたいなもの。startという部品がないので、"generate row"で1行実行(1回実行)を作成します。
スライド17.PNG

get SBOM file

"Get file names"でsbomを生成したフォルダ配下の*.jsonを指定します。
スライド18.PNG

JSON input

JSONファイルを読み込む設定をします。
スライド19.PNG
SBOM(JSON)配列の各種値をname、versioninfo、SPDXIDという項目でリストアップする設定です。
スライド20.PNG

Switch / case

SPDXIDの内容に応じて処理を分岐させます。値が"SPDXRef-RootPackage"の場合"Add App Column"へ遷移。そうでない場合、"Add OSS Column"へ遷移させます。
スライド21.PNG

なぜこのような分岐を行いたいかというと、生成したSBOM(SPDXフォーマット)がこのような配列構造になっているからです。

Add OSS Column

oss_nameとoss_versionをカラムとして追加します。
スライド23.PNG

Set OSS Value

追加したカラムに値をセットします。
スライド24.PNG

Add App Column

OSSと同様にapp_nameとapp_versionをカラムとして追加します。
スライド25.PNG

Set App Value

追加したカラムに値をセットします。
スライド26.PNG

Merge join

AppとOSSに分岐した処理をマージします。ここでは、両方とも同じファイルから分岐しているので、一意のキーとしてfilenameを使用します。
スライド27.PNG

最終的にこのようなテーブルを作成し、そのテーブルを元にApplication -> OSSというグラフを作成したいためです。

Neo4j Output

最後にNeo4jへの出力を行います。まずFromノードとしてApplicationを定義し、プロパティとしてapp_nameとapp_versionを指定します。
スライド29.PNG

次にToノードとしてOSSを定義し、プロパティとしてoss_nameを指定します。
スライド30.PNG

最後にリレーションとしてoss_versionを指定します。
スライド31.PNG

Pipeline実行

パイプラインを実行するとNeo4jにNuxt.jsとNext.jsのSBOM情報が取り込まれます。

いろいろ

この状態でNeo4jでグラフを見てみると、ノードが多すぎて普通のPCだと描画が重たいです。そこでBloomを使ってみます。Bloomを利用するとノードが多くても描画はサクサクです。※それなりのスペックは必要ですが。
output.png

例えば、NuxtJSとNextJSで同じOSSだけど、バージョンが異なるものが無いかを見てみます。
Cypherは

match (nuxt:Application{name:"NuxtJSApp"})-[l1]->(oss:OSS)<-[l2]-(next:Application{name:"NextJSApp"}) where l1.version <> l2.version return nuxt,next,oss,l1,l2

graph1.png

結構多いです。Nuxtの方が古いものを使ってるかと思いきや、必ずしもそうではない様子。

次に、同様の手順でNuxt3のSBOMを作ってNeo4jに取り込んでみました。
ApacheHopのpipelineは変更する必要はありません。sbom-toolでNuxt3のSBOMを生成して、同じoutputフォルダにjsonを置いてpipelineを実行するだけでNeo4jに上書き更新するので簡単に追加でデータを取り込めます。
可視化すると面白いことがわかりました。Nuxt2とNuxt3、Nextでそれぞれ共通して利用しているOSSはあるものの、Nuxt3とNextだけが共通で利用しているものは無い事が分ります。

graph2.png

まとめ

ApacheHopを利用することで、結構簡単にSBOMをNeo4jに取り込めました。
あとは脆弱性通知と連携する部分をちゃちゃっと作ってあげれば、脆弱性のあるバージョンのOSSを利用しているシステムを簡単にリストアップすることが可能です。SBOMなので、直接間接に関わらず、影響のある可能性があるシステムはすべてリスト化できます。また、今回はNode.jsからSBOMを生成しましたが、sbom-toolは色々なパッケージ管理に対応しているので、利用可能な幅は広そうです。
何度も言いますが、お金のある企業はちゃんとしたものを利用しましょう。それがソフトウェア業界を成長させる事にも繋がるのでw

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