はじめに
2025年3月,Google Cloudから新たに「Application Design Center」がプレビュー版としてリリースされました.このツールは,GUI上でインフラの設計・構築・デプロイが可能であり,Terraformコードとの連携もサポートしています.今回は,このApplication Design Centerを実際に触ってみた体験をお伝えします.
お題
基本的なバックエンドサービス
まず,Application Design Centerを使用して基本的なバックエンドサービスを構築してみました.GUI上で必要なリソースをドラッグ&ドロップし,構成図を作成します.作成した構成図から自動的にTerraformコードが生成され,デプロイまで一貫して行うことができました.これにより,従来手動で行っていたコードの記述やデプロイ作業が大幅に効率化されました.
UI上で構成をペチペチすれば完了で,デプロイを押すと,裏でCloud Buildが走り,Terraformの実行をおこないます.
RAG
次に,Retrieval Augmented Generation(RAG)の概念を取り入れたアプリケーションを設計してみました.RAGは,外部データを参照して生成AIの回答精度を向上させる技術であり,最新情報の取得やハルシネーションの回避といったメリットがあります.RAGに関してはこちらに優良記事があります.Application Design Centerを活用することで,RAGを組み込んだアプリケーションの設計・デプロイが容易になりました.RAGに関してはGoogle Cloudがテンプレートを提供しているため,そちらをそのまま使ってみます.
デプロイされたものを確認すると,一瞬でRAGが構築できておりました.今回はテンプレートのコンテナを利用しているため特に問題なくできました.
↓ フロントエンド
↓ Cloud SQL内(バックエンド起動時にデータを投入している)
メリット
Application Design Centerを利用することで,以下のメリットを感じました.
- 効率的なインフラ設計:GUI上で視覚的にリソースを配置し,構成図を作成できるため,インフラ設計の効率が向上しました.
- 自動コード生成:構成図から自動的にTerraformコードが生成されるため,手動でのコード記述によるミスが減少しました.
- 一貫したデプロイプロセス:設計からデプロイまでを一貫して行えるため,作業のスピードと精度が向上しました.
- テンプレートを共有することができるので,別プロジェクトへの移行やdev, staging, prodを簡単に構築することができます.
所感
Application Design Centerは,インフラエンジニアだけでなく,開発者やプロジェクトマネージャーにとっても有用なツールだと感じました.特に,視覚的なインフラ設計や自動コード生成機能は,プロジェクトの効率化と品質向上に寄与します.今後,さらに機能が拡充され,正式リリースされることを期待しています.
現状コストも発生していません.
まとめ
Google CloudのApplication Design Centerは,インフラ設計・構築・デプロイのプロセスを大幅に効率化するツールです.プレビュー版ながら,その有用性を実感できました.今後の正式リリースに向けて,さらなる改善と機能追加が期待されます.
また今後,構成図をUI上で作る必要もなくなることは明らかでしょう.「〇〇の構成でサービスを作って」と自然文を入力として,Cloudアーキテクトが完成してしまう未来はすぐに来る気がしています.Application Design Centerを使いこなす力をつけるよりも,プロンプト力を鍛えたり,出力された構成を正しく見極められる力を養ったりするところにフォーカスするほうが有益だと感じています.そのうえでサクッとCloud環境を構築してくれるApplication Design Centerを用いることが望ましいと考えます.