はじめに
最近のアプリでは障害のある方でも使いやすいように設計しましょう!という考えが広まっており、アクセシビリティとか、インクルーシブデザインとか、ユニバーサルデザインとか言われたりします
ただ発達障害者向けのアクセシビリティデザインの情報は日本語で探してもあんまりまとまったものがないので、色々調べてみました
発達障害
人間の脳は各部位がそれぞれ異なる機能を有しています
各機能は独立していて特定の脳機能に問題があっても、別の脳機能には影響がなく知的障害が無い場合もあったりします
発達障害は大体男性の6%ぐらいが該当し、かなり多くの人が発達障害を持っていると言えます、これは色弱者と同じくらいの割合です
また発達障害者は個人行動が好きでゲーム好きな割合も高いと思います
しかしながら発達障害は障害があるのと苦手なのとの境界があいまいで、脳機能の障害なのか個人の能力の振れ幅なのかも分かりにくく、本人が自覚していない事も多いです
どういう発達障害があってどういう対応をすればアクセシビリティが向上するのかなどが良く分からない事も多いです
脳機能障害
脳機能障害は後天的または先天的に脳の一部の機能が劣っていたり無かったりする症状で、発達障害も脳機能障害の一種といえます
脳機能障害も得意不得意の範囲なのか障害なのか分かりにくいです、加齢でも発生するのでほぼ全ての人に関係のある障害になります
ゲームにおけるアクセシビリティ
ゲームだと嗜好性が強いのが前提なので、好みに合わなかったのか脳機能障害対応不足で過剰なストレスを与えて離脱したのかも良くわからず、誰でも使えるのを目的にするとターゲッティングがぶれすぎてあまり良くない場合もあったりします
しかしながら脳機能障害の方が使いにくいシステムは多くの場合で、健常者にとっても使いにくかったり分かりにくかったり疲れやすかったりするので、障害者向け配慮をすることは健常者に対しても合理的である事が多いです
発達障害等の脳機能障害も身体障害等と同じように合理的配慮を行った方が良いと思うのですが、そんなこんなで分からない事だらけだったりであんまり配慮されない事も多いので、私が気を付けている事と、配慮してくれると嬉しい事をまとめました
##注意事項
脳機能障害の発生要因については、外傷、遺伝、病気、加齢など色々ありますが、違う原因でも同じような脳機能障害が起こる例があったりします
アスペルガー症候群などでは、100人アスペルガー症候群の人がいたら全員症状が違うと言われています
なので発達障害に見られる特徴として有名な物でも発達の人全員に当てはまるわけではありませんし、発達障害に見られる特徴をいくつか有していても発達障害では無く別の原因である場合も多いです
専門家ではなく分からないので障害の原理については書きません、また発生率については諸説あるようなので、参考程度にして下さい
例のような症状が当てはまっても生活する上で問題無い事も多く、不得意だったり訓練不足だったりで脳機能障害は言い過ぎな場合もありますが、まぁ困ってる人がいるんだなって事でご理解下さい
####APD
http://www.madreclinic.jp/pm-top/pm-symptom/pm-symptom-17/
音声認識障害、発達障害者の二人に一人ぐらいが該当し、大体6%ぐらいいるそうです
症状としては聴力には問題はありませんが、複数の音声を同時に聞くのが困難だったり、聞き逃す事が多かったり、特に電話が苦手で名前や要件を聞き逃す事が多かったりします
ゲームにおいてはBGMや効果音は問題無く聞き取れますが、多人数で音声チャットする人狼ゲームやチャットで指示を出し合うFPSなどが苦手です
そういったゲームは音声を認識して字幕で表示する等すればアクセシビリティが向上します
####ディスレクシア
https://www.npo-edge.jp/educate/
読み書き障害です、音声で言語を認識することは問題ありませんが、文章を書いたり読んだりするのに問題があります、5~8%ぐらいいるそうです
ゲームにおいては読みやすくて大きいフォントを採用する、テキストに読み上げを付ける等することでアクセシビリティが向上します
####算数障害/推論障害
https://diamond.jp/articles/-/270685
他の勉強は出来るが、計算や推論を行うのが非常に苦手という症状で、四則演算も難しく感じます、大体2.3%ぐらいいるそうです
元々計算や推論要素がゲームのメインに存在する場合は配慮が難しいですが、結果の計算結果を表示したりメインゲームと関係ない要素で算数計算のミニゲームを強制で入れるのをやめる事がアクセシビリティ向上に繋がります
####記憶障害
https://goshominami-clinic.jp/knowledge/memory-impairment.html
記憶を忘れたり思い出せなかったり覚えられなかったりする症状です、非常に多くの人に該当しそう・・・
ゲームの場合、長期記憶で覚えないといけない物は長期記憶、完了したら忘れていい物は短期記憶に分類されます
前者に関してはルールをシンプルにして覚えないといけないことを極力減らしたり、忘れてもヘルプで確認可能にする、覚えやすい情報構造にする等する
後者に対する設計だと、例えばRPGの依頼や戦闘中の一時的なバフなどは画面に表示したりメニューから確認出来るようにして覚えなくてもよくしましょう
####マルチタスクが苦手
複数の事に対して同時に注意力を向けるのが難しい症状で、発達障害の人に多いです
ゲームのコア要素でマルチタスクが入る場合はある程度仕方ない部分もありそうですが、同時に複数のタスクを出す場合は、現在進行中のタスクが何か確認が出来るようにするとよいでしょう
また普通の人もマルチタスクやらされると疲れると思うので複数の事を同時にやらせるのは微妙かも
####方向音痴
地図が読めず、目的の場所にたどり着くのが困難な症状で発達障害の人に多いです
原因としては、視野がせまいので目印を見落とす、左右盲だったりで方角感覚が良くない、短期記憶が弱いので風景を覚えられないといった事が複合的に影響しています
対処としては色々あって、進行方向にコインを置いて誘導する、ミニマップを表示したり行き先を矢印表示する、ノンフィールドにする、3Dなら見下ろしにしてカメラの回転を無くす等でアクセシビリティが向上します
####曖昧な指示
具体的でない指示は発達障害の人はストレスに感じる事があります、推論障害の一種かも?
例えば、「木材をいくつか取ってきてくれ!」みたいなUXテキストではんく、「木材を5個取ってきてくれ」みたいな感じで具体的な指示の方がストレスが少ないです
####色覚特性
https://www.skk-net.com/health/me/c01_13.html
脳機能障害の場合だったり、視神経に障害があったりで脳機能障害かどうかは微妙かも、男性の方が多くて5%ぐらいいると言われています
ほとんどの色覚障害は緑と赤が見分けにくい障害です、なので赤と緑の色の違いだけのUIはやめましょう、まれに全部白黒に見えたり青が判別出来ない人もいるそうです
設定から色覚特性モードを変更可能にしたり、標準設定でも問題無い赤と緑の使い方をするなどしましょう
####感覚過敏、鈍麻
五感が過敏、または鈍感な症状です、ゲームの場合、主に光と音(あるいは触覚)に対して考慮する必要があります
特に重要なのは光に対する刺激で20年以上前ポケモンショックで問題にもなった強力な光の点滅は光過敏性発作を引き起こして気分が悪くなったり最悪気絶するなどの症状が出る事もあります
特に作者が感覚鈍麻で光の刺激に鈍感な場合、画面を強烈に明滅させても本人にとってはちょうど良いぐらいになったりすくない工数でそれっぽい演出が出来るのか小数制作のインディーズゲームだと今でも光の点滅が激しいゲームが出たりしますが、アクセシビリティは下がるのでやめましょう
音に関しては初期音量設定を爆音にしているゲームは結構ありますが、仕方ない部分もあります
PCゲームだと、OSのメインボリューム、OSのソフト毎ボリューム、ゲーム内ボリューム(またはイヤホンやスピーカーボリューム)とスマホと違ってボリュームを決める要素が多いせいで全ての人にとって丁度よい初期音量設定をするのは困難です
音量設定はわかりやすい所かタイトル画面に置くと親切です
あとは普通に唐突に轟音を鳴らすなどはやめましょう
####3D酔い
https://brand.taisho.co.jp/semper/trivia/trivia04.html
発達障害の人は乗り物酔いしやすく、3D酔いもしやすいです
対策や原因についてはリンク先を見て下さい
特に休憩を促すメッセージを出すとかが大事なのかと思います
####左右盲
右と左や西と東を言われても咄嗟にどっちの向きか分からない症状です、発達障害に多いかは不明です
左右でなく⇦ ⇨と行った感じで記号で表現した方がアクセシビリティが向上します
####相貌失認
人の顔の違いを認識するのが難しい障害です
顔以外に認識するための情報を入れると良いでしょう
####名前が覚えられない
記憶障害の一種で、人の名前を覚えるのが難しいです
例えば「ジョンがアンの家にいるから呼んできてくれ」みたいなテキストではなく「鍛冶屋のジョンが医者のアンの家にいるから呼んできてくれ」みたいな感じで名前以外の情報を付与して思い出しやすくすると良いでしょう
#まとめ
なんか色々ありますが、そこまでアクセシビリティのために配慮するコストがかからないのと障害の無い人にとっても良くなるので色々考えてい
きましょう
最近のゲームは一日で7~8割の人が離脱するのが当たり前と言われてますし、アクセシビリティ向上は全ユーザーのストレスの軽減にも繋がるからね
あとゲーム編って書いてますが、オフィス編とか、社員教育編とか、学校編とか公共施設編とかWeb編とかは書か無いです
最後に言いたいことは
インディーズゲームで光の点滅を繰り返す演出をやめろ
レトロ風演出とか行って光の点滅を繰り返すのはやめろ
以上
参考文献