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【PHP入門講座】 ビット演算

Last updated at Posted at 2013-12-01

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ビット演算は、PHPを扱う上に置いてはそれほど重要性は高くないのですが、次の「演算子」の説明で必要性が生じてくるので、ここであらかじめ触れておきます。

ビット演算の概要

導入

2進数演算を考えましょう。

【例】 $3 + 5 = 8$

10進数での表記
$a = 3;
$b = 5;
echo $a + $b;

整数を2進数で表記するためには 0b を頭につける、と既に説明済みですが、結局データとしては10進数として扱われてしまうので、2進数として出力したい場合には decbin base_convert sprintf などの関数を使って2進数表記の文字列に変換する必要があります。ここでは一番シンプルな decbin 関数を利用します。

2進数での表記(PHP5.4以降のみ)
$a = 0b11;            //  011 (3)
$b = 0b101;           // +101 (5)
                      // --------
echo decbin($a + $b); // 1000 (8)

2進数は2で繰り上がるので、上記のような結果が得られます。さあ、ここから2進数の各桁に注目してみましょう。なお、負の数の扱いは少し複雑なので、ここでは正の数だけを扱うことにします。

ビット積 &

  • どちらも 1 ならば 1
  • どちらかが 0 ならば 0

【例】 $3 \mbox{&} 5 = 1$

$a = 0b11;            //  011 (3)
$b = 0b101;           // &101 (5)
                      // --------
echo decbin($a & $b); //  001 (1)

ビット和 |

  • どちらかが 1 ならば 1
  • どちらも 0 ならば 0

【例】 $3 \mbox{|} 5 = 7$

$a = 0b11;            //  011 (3)
$b = 0b101;           // |101 (5)
                      // --------
echo decbin($a | $b); //  111 (7)

排他的論理和 ^

  • どちらか一方のみ1 ならば 1
  • どちらも 0 ならば 0
  • どちらも 1 ならば 0

【例】 $3 \mbox{^} 5 = 6$

$a = 0b11;            //  011 (3)
$b = 0b101;           // ^101 (5)
                      // --------
echo decbin($a ^ $b); //  110 (6)

否定 ~

  • 0 ならば 1
  • 1 ならば 0

【例】 $\mbox{~}3 = -4$

32ビット環境での例
$a = 0b11;            // ~00000000000000000000000000000011 (3)
                      // --------------------------------------
echo decbin(~$a);     //  11111111111111111111111111111100 (-4)

最上位の符号ビットも反転するため -4 になりますが、あまり深く悩む必要は無いでしょう。それよりも次に説明するビットフラグの扱いの方が重要です。

左シフト <<

  • 指定した分だけ桁を右にずらす
  • 空いたところには 0 が埋められる
  • 10進数の2をかける演算と同じになる

【例】 $3 \mbox{<<} 1 = 6$

$a = 0b11;            // <<011 (3)
                      // --------
echo decbin($a << 1); //   110 (6)

右シフト >>

  • 指定した分だけ桁を右にずらす
  • 空いたところには 0 が埋められる
  • 10進数の2で割る演算と同じになる

【例】 $3 \mbox{>>} 1 = 1$

$a = 0b11;            // >>011 (3)
                      // --------
echo decbin($a >> 1); //   001 (1)

なぜビット演算が必要か?

「なんでこんな面倒なことしなくちゃいけないの?」って多くの初心者さんが感じていることと思います。ビット演算の一番重要な目的は、 フラグの受け渡し です。

例えば、下記のような関数を実装するとします。

function display($disp_a, $disp_b, $disp_c, $disp_d) {
    if ($disp_a) {
        echo 'a';
    }
    if ($disp_b) {
        echo 'b';
    }
    if ($disp_c) {
        echo 'c';
    }
    if ($disp_d) {
        echo 'd';
    }
}

ここで bc と出力したければ、

display(false, true, true, false);

としますが、もしこれが az まであったらどうでしょうか?面倒くさいってレベルを超えているでしょう。そこでビット演算の出番です。このように書き換えることが出来ます。

const DISP_A = 1; // 0b0001
const DISP_B = 2; // 0b0010
const DISP_C = 4; // 0b0100
const DISP_D = 8; // 0b1000
function display($flag) {
    if (DISP_A & $flag) {
        echo 'a';
    }
    if (DISP_B & $flag) {
        echo 'b';
    }
    if (DISP_C & $flag) {
        echo 'c';
    }
    if (DISP_D & $flag) {
        echo 'd';
    }
}
display(DISP_B | DISP_C);

DISP_A DISP_B DISP_C DISP_D という4つの定数を用意しました。この 1 2 4 8 という値は、コメントを見てもらえば分かると思いますが、その番目の桁だけが 1 となるように構成されています。1つの桁に1種類の情報を格納しよう、というのが狙いです。

順に流れを追っていきます。

display(DISP_B | DISP_C);

これで 0b0110 がフラグとして渡されます。

if (DISP_A & $flag) {
    echo 'a';
}

ここは 0b0001 & 0b0110 の演算が発生し、結果は 0b0000 、つまり 0 になります。0 は論理値 FALSE として変換されるので、この echo は実行されません。

if (DISP_B & $flag) {
    echo 'b';
}

ここは 0b0010 & 0b0110 の演算が発生し、結果は 0b0010 、つまり 2 になります。2 は論理値 TRUE として変換されるので、この echo は実行されます。

if (DISP_C & $flag) {
    echo 'c';
}

ここは 0b0100 & 0b0110 の演算が発生し、結果は 0b0100 、つまり 4 になります。4 は論理値 TRUE として変換されるので、この echo は実行されます。

if (DISP_D & $flag) {
    echo 'd';
}

ここは 0b1000 & 0b0110 の演算が発生し、結果は 0b0000 、つまり 0 になります。0 は論理値 FALSE として変換されるので、この echo は実行されません。

ビット演算のメリット

  • 引数を1つに出来る
  • 必要なものだけの ビット和 をとって渡せばいいようになる
  • 関数側で1つの値から ビット積 を使って複数の情報を取り出せる
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