TL;DR(この記事でわかること)
- 自身の適性を自己診断できるチェックリスト
- PMとして押さえておきたい「必須スキル」と「必要なマインド」
- 未経験者がステップアップすべきポイントと行動プラン
対象読者
- IT未経験×PM転身希望: 入門すべき用語やプロジェクト管理ツールがわからない
- IT業界3年目未満: そろそろプロジェクトを任されたいが経験不足を感じる
- 情シス出身: 開発現場とどう連携すればいいかわからず、案件に配属されても戸惑う
PM向きの経験例
▶︎ ここに当てはまる経験が1つでもある人は向いてます
まず、非IT領域でもプロジェクトをリードした経験があるかチェックしましょう。
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非ITプロジェクト主導経験
(例:店舗立ち上げや建設現場で企画→実行→運用までマネジメントした)
→ プロジェクト統括力:関係者調整や進捗管理、課題解決力を示します。 -
業務改善のためのツール作成から運用まで一気通貫で経験
(例:VBAやPower Automateで非IT部門の手作業を自動化し効率化して実業務で実際に使われた)
→ 推進力+技術理解力:課題発見→解決策検討→実行サイクルを回した経験がPMスキルに直結します。 -
専門家と信頼関係を築いた経験
(例:エンジニアや業者、コンサルと協業し、その後プライベートでも付き合いが続いている)
→ コミュ力:ステークホルダーとの協力関係構築力が高く、PMが必要とする信頼獲得力を示します。 -
ビジネスを自力で立ち上げ・収益化した経験
(例:無在庫転売やせどりを自力で情報収集して収益化した)
→ 思考プロセス:要件整理→実行→改善の一連の流れがPMの思考プロセスと一致します。
※上記のいずれかに当てはまる経験があれば、PMとしての素養がある可能性が高いです。当てはまらなくとも、後述のスキルセットで解説している経験があれば十分です。
スキルセット/背景と必要性
以下のスキルは、PM業務において必須です。それぞれ「背景」「得られる効果」「どんな経験をしていれば持っていると言えるか」を示していきます。
1. 全体を俯瞰する力(必須)
背景・必要性:
PMはプロジェクト全体の依存関係やゴールを理解し、優先度を決める必要があります。部分的な判断ではなく、全体最適を考える視野が欠かせません。
得られる効果:
- 工程順序やリスクを予測し、混乱を避けられる
- 同時進行する複数タスクの状況を把握し続けられる
どんな経験をしていれば持っていると言えるか:
- 副業でWebサービスを企画し、リリース→運営→改善を監督した
- 社内で新業務プロセスを設計し、実行→改善→定常運用を統括した
2. 整理力(必須)
背景・必要性:
ITプロジェクトでは、要件定義時に多くの情報が交錯し、曖昧なままだと手戻りが発生します。散在するデータや属人的な情報を構造化し、意思決定の根拠を作る力が必要です。
得られる効果:
- 情報を整理して可視化し、ステークホルダーの合意形成を早める
- 膨大な課題を分類し、優先度をつけて効率的に進められる
どんな経験をしていれば持っていると言えるか:
- 営業リストや顧客データを整理してデータベース化し、営業施策のROIを示した
- メンバーの性格・スキル・過去プロジェクトの背景をシートにまとめ、工数削減を実現した
3. 進捗管理力(必須)
背景・必要性:
PMはタスクを洗い出し、期限とリソースを割り当て、各工程の進行状況を把握する必要があります。進捗が遅れている場合は迅速に調整策を検討しなければなりません。
得られる効果:
- 遅延の兆候を早期に察知し、迅速に対処できる
- チーム全体の状況を見ながらリソース再配分や優先度変更を行い、予定通り進められる
どんな経験をしていれば持っていると言えるか:
- 工場の生産スケジュールを立案し、納期遅延を0に抑えた
- 飲食店でシフトと調理工程を管理し、ピークタイムの混雑を緩和した
- 現場メンバーの休憩時間を現場状況を見て適時バランス良く判断し指示していた
- 接客業で指名予約・突発来店を管理していて[従業員 - お客さん - 売上]のバランスを適切に取っていた
4. 専門家活用力(必須)
背景・必要性:
ITシステムは守備範囲が広すぎるため自身だけでは専門知識が足りない場合がほとんどです。
エンジニアや業者、コンサルタントなどの専門家から情報を引き出し自身の知識として昇華し、品質とスケジュールを守る力が必要です。
得られる効果:
- 専門家との対話で技術的な疑問を迅速に解消できる
- 関係者から正確な情報を収集し、計画に反映できる
どんな経験をしていれば持っていると言えるか:
- 新工場立ち上げ時に設備メーカーと要件を詰め、最適なライン設計を実現した
- 新規店舗開業で内装業者と綿密に打ち合わせし、開店日に合わせて資材調達を行った
5. 交渉力(必須)
背景・必要性:
PMは予算・納期・品質のバランスを取りながら、部署や顧客と調整する必要があります。筋が通った主張で合意を得る能力がプロジェクトの成否を左右します。
得られる効果:
- 対立時にも論理的に説明してリスクを最小化できる
- 限られたリソースでも適切な妥協点を見出してタスクを推進できる
どんな経験をしていれば持っていると言えるか:
- 飛び込み営業で要望とリソースのギャップを調整し、無理のない契約を獲得した
- 部署間で人員や予算の争いが起きた際、優先度を根拠にリソースを確保した
6. 言い換え力(必須)
背景・必要性:
専門用語や技術的な話を経営層や現場にわかりやすく説明しないと、手戻りや認識齟齬が生じます。適切な言い換えで理解を合わせる力が必要です。
得られる効果:
- 誤解による手戻りを防ぎ、開発品質を維持できる
- 経営層の承認が得やすくなり、社内リソースを引き出しやすい
どんな経験をしていれば持っていると言えるか:
- 接客業で複雑なプランをお客様に噛み砕いて説明し、満足度を向上させた
- チーム内の専門的技術議論を要約し、経営層に承認を得た
7. IT用語理解(必要度:中)
なくとも意外となんとかなるものです。
但し、業務中に発生した「わからない用語」は直ぐに調べ理解できる能力は必要になります。
背景・必要性:
IT業界では「サーバー」「API」「クラウド」「バージョン管理」などの用語が頻繁に使用されます。基本的な用語を理解すればコミュニケーションがスムーズになります。
用語例と注釈:
- サーバー:ネットワーク上でデータやプログラムを提供・管理するコンピュータ
- API:異なるアプリケーションがデータや機能をやり取りするための仕組み
- クラウド:インターネット経由でサーバーやストレージを利用するモデル
- Git(バージョン管理):ソースコードの変更履歴を管理するツール(コミット・プッシュ・ブランチなど)
得られる効果:
- 最低限の用語を知ることでエンジニアとの連携がスムーズになる
- 仕様書やドキュメントを読んだときの理解度が向上する
どんな経験をしていれば持っていると言えるか:
- Gitの基本操作を学び、社内ツールでブランチ運用を理解した
- SaaS導入時に「クラウドとは何か」を調べ、社内向け資料を作成した
8. エンジニアリング経験(必要度:中)
なくとも意外となんとかなるものです。
但し、経験がない場合は専門家に知識を借りる能力が高いレベルで必要になります。
背景・必要性:
エンジニアリング経験そのものは必須ではありませんが、技術的な課題や用語に抵抗感があると認識齟齬が起こりやすくなります。最低限の技術理解があると、コミュニケーションの摩擦が減りプロジェクト推進がスムーズになります。
得られる効果:
- エンジニアと共通言語で課題を共有し、迅速に解決策を検討できる
- 技術選択の背景にあるコストやリスクを理解し、適切に調整できる
どんな経験をしていれば持っていると言えるか:
- エンジニアと共同でデバッグを行い、原因を特定して対応策を立案した
- 技術顧問としてサーバー構築プロジェクトに関わり、導入支援を行った
マインドセット/背景と必要性
PMはスキルや経験だけでなく、プロジェクトを成功に導くための考え方や行動指針(マインドセット)が不可欠です。
技術的な知識や進捗管理能力があっても、適切なマインドがなければチームをまとめきれず、リスク対応も後手に回る可能性があります。
本セクションでは、PMが持つべき代表的なマインドセットの背景と必要性を示し、実際の行動に落とし込むヒントを提供します。
1. 全体を俯瞰する
- 背景:新規参画時にシステム全体を理解せずに対応すると、目先のタスク対応に終始しやすい
- 必要性:リスク・課題を洗い出し、優先度を効率的に設定できる
2. 自分ごとで信頼獲得
- 背景:PMはステークホルダーから責任者として見られる。問題発生時に責任転嫁すると信頼を失う
- 必要性:率先して対応策を示すことで、チームからの信頼を迅速に得られる
3. トラブル初動は即対応
- 背景:トラブルを放置すると影響範囲が広がり、リカバリーコストが増大する
- 必要性:小さいうちに対応することで、コストと時間を最小化できる
4. 情報と人間関係を武器にする
- 背景:PMはコードを書くことが主ではないため、質の高い情報収集とステークホルダーとの信頼関係が成功の鍵になる
- 必要性:正確な情報と強固な人脈を持つことで、プロジェクト全体の成果に直結する
5. Plan Bを常備
- 背景:人員不足や技術的リスクはつきもの。代替案がないと混乱しプロジェクトが頓挫する
- 必要性:代替案を用意しておけば、万が一の事態でも迅速に対応できる
より詳細なマインドセットの解説はこちらも参考にしてください。
➡ PMマインドセットの深堀り(Qiita)
まとめ:行動プラン
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すべて当てはまる場合
今すぐPM求人に応募しても大丈夫です!重宝される人材です! -
6割以上当てはまる場合
IT経験ないだけとか、一部だけ当てはまらないだけなら全く問題ないです!
辛い部分もありますが、仕事しながら学べます! -
ほとんど当てはまらない場合
PMOやPG/テスターとして経験を積み、次回この記事のチェックリストに再挑戦しましょう。
以上を参考に、自分の強みと足りない点を整理し、PMへの次の一歩を踏み出してください。
終わりに
未経験から約2年の地獄のようなPM経験を記事にすることで、私自身の供養をしております。
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