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【本当にあった怖い話2】検索フォームが沈黙した瞬間、私の肩書きが変わった――IT歴3ヶ月でPM就任した夜

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序章──本当は「三か月先」のはずだった

本来なら、私はあと 3ヶ月間、PMO の肩書きでのんびり設計書を眺めている予定だった。
「7月1日に PM バトンを渡す」。内示も出ている。
backlogには、“Delete ボタン UI 改修(低)” というタスクが、乾いたフォントで並んでいた。

――低。
後回しでいい。

その軽さが、夜半に重力を変えることになるとも知らずに。

image.png

これは10年以上前のsolr仕様で、現在のバージョンでは対策済です。

第一章──3ピクセルの墜落

金曜 23:58。
コーヒーより黒いモニターの前で、旧 PM は Reload を連打していた。
「登録件数、まだ増えないな……」
マウスが右に戻る途中、わずか3ピクセル左へ滑った。

朱い Delete が点灯。
クリック。
確認モーダル? 出ない。

ガチャン――。
本番検索用データが崩落。

「……また、やっちゃいましたね」
ため息より先に Slack が赤く光り、検索 API の死を告げるメッセージが連打された。

そして、本番サービスの検索フォームが一切機能しなくなった。

第二章──“予定表” が燃え落ちる音

0:07。
役員チャットに事故報告が飛ぶ。
「担当 PM は誰だ」――名指しされた旧 PM は、月曜に他部署へ異動決定済み。

そして私の DM に、短い文だけが落ちてきた。

『今日から PM、頼む』

あのカレンダーは燃え、7月1日のマイルストーンは灰になった。

第三章──真夜中の戴冠式

0:20。
IT歴3ヶ月で、このPJにJOINして2週間の私はバッチの実行手順など知らない。
旧PMが「この事故は1ヶ月前にもやってて復旧用バッチがあるので復旧は大丈夫!」と聞き復旧は任せることにする。

ん、1ヶ月前にやったってことは1ヶ月で2回起きてんの??
ということは、クライアントに報告する際に隙を見せたら収集がつかなくなる。。。
そして、私が歴浅というワードはタブーとなった。

0:55。
事故報告書——タイトルを 「新 PM:◯◯」 に書き換える。
“暫定対応:問題画面封鎖”
“恒久対応:Delete UI 削除”、
そして “PM/PL 兼任禁止(即日発効)”

1:30。
取締役の既読が付く。
「承認」。
それは祝辞ではなく、夜明け前の戴冠式

終章──**「私が責任者になります」**と告げた、その声の裏側

週次定例。
画面越しに並ぶクライアントの顔は、まだ事故の余熱で赤く揺れている。
沈黙が 5 秒続いた。誰も事態を締めくくろうとしない。

私は息をのみ、マイクを握り直した。

「──ご安心ください。今後のマネジメントは私が全面的に引き受けます」

声は、思いのほかよく通った。
チャット欄に 了承 のスタンプが灯り、空気がようやく弛緩する。

だがミュートを押した瞬間、椅子の背で指が小刻みに震えた。
IT 歴──たった3か月。
その “経歴” が、私の背後で薄笑いを浮かべている。
Reload と Delete が3ピクセルしか離れていなかったように、
チャレンジ無謀 もまた、紙一重だった。

蛍光灯がチリと瞬き、
新生 PM の第一声は、天井裏に消えていった。

《To Be Continued…》

次章:中規模 EC サイトを まるごと 7 日間 沈黙させた地獄

乞うご期待。

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