記事を書くきっかけ
化学メーカーで品質管理をしていた時期に経験した内容になりますが、IT領域でも利用できる内容と思い執筆致します。
対象の読者
・5S活動に取り組んでいるが成果が出ず困っている方(製造業の方向け)
・KJ法の具体的な使用方法と効果を知りたい方
・4M5E分析の具体的な使用方法と効果を知りたい方
導入
5S活動とは
職場環境内の問題点を、整理・整頓・清潔・清掃・躾の5つの視点で改善していく手法のこと
主な目的として、作業環境の改善を通して品質向上や作業効率向上等の組織内の底上げを目的とする活動である
また、現場の主体的な活動とすることで、主体性を育みモチベーションの向上や主体性を育む目的も含んでいる場合が多い
私個人の理解としては、整理・整頓・清潔・清掃・躾の定義は完全に定まっているものではなく自身の職場にあった定義を構築しなければならないものと理解している
KJ法とは
ブレインストーミングなどで得た情報をカードに書き、同じ系統のカードをグループ化して、系統ごとに分類されたデータを整理、分析する手法のこと
問題を整理するという点で4M5E分析と被りますが、
個人的な理解として、KJ法の利点は
集団で問題解決にあたる前に、集団でKJ法を用いて問題を整理することで、集団内にある程度のコンセンサスを得た状態で問題解決に取り組むことができることと理解しております。
4M5E分析とは
ある問題において、問題の発生原因を4M(man,machine,media,management)の視点で抽出し、抽出した原因すべてに対して5E(Education,Engineering,Enforcement,Example,Environmnet)の視点で対策案を立案する問題解決フレームワークのこと
問題を整理するという点でKJ法と被りますが、
個人的な理解として、4M5E分析は基本的に1人で完結するフレームワークのため”複雑な問題を1人で解決しなければいけない場合”に力を発揮する手法と理解しております。
ちなみに、かなり考え抜く力が必要なようで使用難度が高いです。
具体的に実施した内容
KJ法・4M5E分析を取り入れる以前の状態
少なからず前職では、上記の状態がまかり通っておりました。。。
何が問題かは後述しますが、客観的な状況としては
- 班を作成し部屋割で担当個所を割り当てる方式
- 一番頑張った班でも月平均0.8件程度の改善数で上司視点ではサボってる・やる気がないと認識する程度の成果しか出ていなかった
という状態でした。
PS.
現場で頑張ってると思ってて、上司がサボってる・やる気ないから成果上がんないと判断して叱責しかしない状態って状況が魔境化する一番の要因だと思います。。。
①5Sの定義を明確にした
正直なところ、何が原因でうまくいかなくなってるか全く見当がつかなかったので、とりあえず5Sについて色々なソースを調べてみました。
調べていくうちに、ソースによって定義が全然違う(Ex.医療メーカー、食品メーカー)ことに気付き、
今までは、製造現場から派生した5Sの定義で活動してましたが、新たに品質管理の5Sを定義する必要があることに気付きました。
ということで、前職では以下の定義を参考にさせて頂きました。

引用) イカリ消毒株式会社の5S定義
※画像のリンク先に詳細がありますので是非閲覧下さい!
私はイカリ消毒株式会社様のこのページを見て目から鱗でした!
5Sの5要素を同列に扱っているソースがかなり多い中、清潔が目的と明確に定義してるところに非常に痺れました!
②役割分担時の役割の定義を変更した
①で規定した定義を元に主要メンバー間で【定義に従うと、どのような役割分担が適切か】を話あった結果
部署内全体で5S活動してるのだから、場所割ではなくて【整理・整頓・清掃】の3つの役割の班を作る
上記3班の上位班を1つ作って清潔・躾(3班の管理)を実施する
という結論に達しました。
つまり、
清潔・躾班の役割:
整理・整頓・清掃班の管理、及び各班へのタスク振り、問題抽出
整理班・整頓班・清掃班の役割:
規定した定義に沿って与えられたタスクに対して改善活動を実施する
という班分けとしました。
③現状の問題点が明確になるよう質問リストを作成して作業者全員に質問した(KJ法)
②で清潔・躾班の役割を問題抽出と各班へのタスク振りと定義したので、KJ法で整理して各班へタスク振りすることにしました。
まずは、KJ法の第一歩としてカード作成(問題抽出)をどうやったかという点についてですが
KJ法のカード作成をする際は関係者でブレーンストーミングが最適というのが相場ですが、
自分の部署15人くらいいるからめっちゃ時間かかるわ。。。
と困ったので
【整理・整頓・清掃・しつけ】に関連する問題点を抽出する質問を考えて、3人程度のグループで1質問3分制限で質問から連想される問題をひたすら列挙していく
※変な回答になってもいいから、思いついたら直ぐ挙げるというルールにしました
という高速ブレーンストーミングを実施しました!
質問内容としては、
・作業しててイラっとしたこと
・職場の不要なもの
といった感じです。
なお、約200個の問題点を抽出できました!
④③の問題点を現場リーダーで話し合いカテゴリー分けした(KJ法)
まず、③で抽出した問題点をカード化します。
私の場合は【Excel上で四角い図形に任意のtextを入れる】VBAプログラムを作成してカード化し、会議室の大型ディスプレーで主要メンバーで話し合いながら分類していきました。
デジタル上で分類できると後の整理が簡単なのでおすすめです!
※ソースコードは前の職場に置いて来てしまったのでごめんなさい。。。
抽出した約200件の問題をメンバー間で色々な視点で分類していき、約3時間ほど話し合った結果、下記のようなフレームワークで問題点を分類・見える化することにしました!
上記のコンセプトとしては、
・どの班が何やるか見える化
・問題の解決難度を見える化
です。
問題の解決難度の定義は、
レベル1:特に苦も無く改善できる問題
レベル2:良く考えれば改善できる問題
レベル3:どうやって解決したらよいかわからない問題
と定義し分類しました!
⑤④でカテゴリー分けした問題点を役割分担の定義に沿って作業者に振り分けた
まず、先程説明したKJ法を通して作成したフレームワークに仕分けた問題を記入し全体に公開しました。
次に、勘違いが起きないように清潔・躾班から各班へ振り分けたタスクについて簡単に説明し、各班へどのように解決するかスケジュールを作成してもらいました。
最後に、各班で作成したスケジュールを清潔・躾班とディスカッションしてから改善に取り組みました。
⑥④で最高難度の問題と判断した問題点について、一番最初の作業として4M5E分析を取り入れた
※具体的な内容は社外秘にあたるので避けます
どんな難しい問題でも4M5Eを使えばシンプルな考えで取り組めます!
それは、
4M分析で抽出した原因全てに対して5E分析で立案した全ての対策案を実施すれば良い!
ですwww
そして、原因の対策をできる限り妥協しないで実施することで
大きな問題が小さくなり、やがて解決することができます!
余談になりますが、
このレベルの問題は大きすぎて問題と認識されてないことが多いです。(とても作業しにくいけど仕方がないことと認識されてしまっている)
そんな状態で1つ1つ対策していくと面白いことに、
新しくこの問題が発生したから、この対策は間違っている
という声が良く聞こえてきます。
実際は、対策によって新しい問題が発生したわけではなく元々存在していた問題が潜在化しただけです。
長年放置されて魔境化した問題で一番難しいのは、
対策が間違っていたのか・又は、問題が潜在化した好転反応か
の判断でしたね。。。
大概は後者だったので、なるべく妥協せずに説明しました。
KJ法と4M5E分析を導入した効果
改善効率:1班あたり、2.5件/月(導入前は、0.8件/月)
と3倍にUPしました!
また、以前の5S活動ではレベル2・3の問題は頓挫するのが通例でしたが、レベル2の問題も5S活動で解決できるようになり、レベル3の問題も半年かけて1件解決することができました!