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最も簡単な「一次のローパスフィルタ」を作る方法

Last updated at Posted at 2019-09-28

はじめに

先日、このようなツイートが流れてきました。

無類の制御工学愛好家である私は、即座にRTとファボを押しました。
その後もRT、ファボは伸びていったのを見て、「以外と皆知らないんだなぁ…」と思ったりしました。と同時に、内容に少しだけ(ほんの少しだけ)難しいところがあるなと思いました。

なのでここでは、最も簡単な作成方法について紹介させて頂きます。

「難しいところ」はどこか、どう簡単にするか

「離散化の手法として、双一次変換を利用している」という点です。
双一次変換の利用は、全く間違ったことではないのですが個人的にはLPF(ローパスフィルタ)であれば双一次変換でなくてもよいと考えます。なおHPF(ハイパスフィルタ)の場合も同様です。

じゃあ何を使うべきかというと、後退差分です。具体的な内容は次節。

双一次変換はどこに使うべきかというと、BPF(バンドパスフィルタ)やBSF(バンドストップフィルタ)等、「周波数の管理をシビアにすべきフィルタ」に使うべきです。というか、このへんのフィルタは双一次変換を使わないとダメです。後退差分では設計通りの性能を得ることは難しいです。

後退差分による離散化

連続時間系の伝達関数におけるsは、後退差分による離散化では下記のように変換されます。ここでTは離散時間系のサンプリング周期です。

s=\frac{1-z^{-1}}{T}

LPFの伝達関数はこうでした。τはLPFの時定数です。

Y(s)=\frac{1}{1+\tau s}R(s)

余談ですが、LPFのカットオフ周波数Fと時定数τの関係は下記です。

\tau = \frac{1}{2\pi F}

本論に戻って、伝達関数を離散化することで下記式が得られます。

(T+\tau (1-z^{-1}))y[n] = Tr[n]\\
y[n] = \frac{\tau}{T+\tau}y[n-1] + \frac{T}{T+\tau}r[n] 

すなわち、LPF出力の前回値と入力信号の今回値を合成することで、LPF出力の今回値が得られます。しかも合成の比は、τ(またはT)をτとTの和で除することで得られます。めっちゃ簡単じゃないですか?
また上式の別の解釈として、こうも書けます。

y[n] = ay[n-1]+(1-a)r[n]\\
where \quad a=\frac{\tau}{T+\tau}

aを使う場合とそうでない場合、好きなほうで式を覚えて頂ければと思います。

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