本記事は、AlibabaCloud ECSでインターネットからのアクセスをするために必要な、2種類のパブリックIPの特徴と利用シーンを説明します。
より柔軟に利用できるElastic IP(以下、EIP)を利用する場合の購入方法と活用事例を理解に役立ててください。
1. EIPの有効な利用シーン
EIPは、ECSインスタンスとは独立して単独で所有できるため、様々な場面で有効に活用できます。
EIPを利用すると、ECSに変更や更新があった場合でも、パブリックIPアドレスを変更することなく、ECSを切り替えることができるほか、利用状況に応じて帯域幅の変更も可能です。
シーン1: ECSインスタンスの故障時の切り替え
ECSインスタンスが故障してしまった場合もEIPを利用していれば、代替機への簡単に移行することができます。
シーン2: ECSインスタンスのスケールアップ
ECSインスタンスのスケールアップにEIPは最適です。スペックが不足してきた場合には、高スペックインスタンスを用意し、EIPを付け替えることで、簡単にスケールアップができます。
シーン3: ECSインスタンス上のシステムバージョンアップ
EIPはシステムバージョンアップにも利用できます。
バージョンを上げたECSインスタンスを用意しておきEIPを付け替えることでバージョンアップが可能です。
ミドルウェアのバージョンアップなど、大きな変更を伴うバージョンアップのときなどに有効です。
もちろん、バージョン2からバージョン1に戻す場合でも、同様にEIPを付け替えることで戻すことができます。
シーン4: 帯域幅の増幅
EIPは帯域幅上限を変更することができます。
トラフィックの増加に伴う、帯域幅の増幅も停止時間なく行うことができます。
2. 2種類のパブリックIPとその特徴
上記でEIPの説明の活用シーンを説明しましたが、
AlibabaCloudでは2種類のパブリックIPがあり、次のような特徴をもちます。
特徴を理解し、どちらを利用するか選択する必要があります。
比較項目 | EIP | ECSパブリックIP |
---|---|---|
単独リソースとして所有 | 可 | 不可 |
ECS との動的なバインドおよびバインド解除 | 可 | 不可 |
動的な帯域幅の変更 | 可 | 不可 |
IP保持課金/非課金 | 従量課金 (金額はEIP購入画面にて確認) |
非課金 |
設定方法 | EIPを購入しECSへバインド | ECS購入時に設定 |
ECS管理コンソールでは以下のように表示され区別されます。
(エラスティック):EIP
(インターネット):ECSパブリックIP
3. パブリックIPの取得方法
3-1. EIPの取得方法
EIPの取得方法については下記ドキュメントをご参照ください。
EIPは必要に応じて、バインド先のECSインスタンスを変更したり、バインド解除したりすることができ柔軟性が高いです。
参考ドキュメント:EIPの取得手順
また、EIPをバインドするECSインスタンスはパブリックIPを持っていないことが必要です。
ECS購入時に「ネットワーク帯域幅 ピーク」を「0Mbps」に設定することでパブリックIPを持たないインスタンスを作成することができます。
3-2. ECSパブリックIPの取得方法
ECS購入時に、「ネットワークタイプの選択」で「ネットワーク帯域幅 ピーク」を「1Mbps以上」に設定することで、ECSパブリックIPを取得することができます。
この方法で取得したパブリックIPは変更、削除をすることができないので注意が必要です。
4. EIPアドレスのバインド/バインド解除
ECSへのEIPアドレスのバインド/バインド解除は、ECSインスタンスを停止することなく実行することができます。ECSとEIPアドレスは1対1の関係にあります。
EIPのバインド/バインド解除の方法については下記ドキュメントをご参照ください。
5. EIPアドレスの帯域幅変更
EIPアドレスの利用状況(トラフィック)に応じて、動的に帯域幅の変更が可能です。IP管理コンソールより変更が可能で、変更はすぐに反映されます。