はじめに
私はここ最近、「時間が足りない!」と感じることがとても多いため、時間の作り方や使い方の試行錯誤を続けています。
ただ、これまで考えてきたのはどちらかというと今ある時間をどれだけ効率的に活用できるか、という、効率重視の試行錯誤でした。
今回、「人生が充実する」時間のつかい方 UCLAのMBA教授が教える“いつも時間に追われる自分”をやめるメソッドという本を読みました。
タイトル通り人生を充実させるための時間のつかい方を学び、そのテクニックの一部を実践してみて、その中で得た内容と、これは時間の使い方の満足感が上がるな、と感じたものを記載します。
ざっくりと内容紹介
個人的に刺さった部分を重点的に記載します。そのため、本の一部からは抜けている内容があると思います。詳しくは書籍を読んでいただければと。
ちなみに、本に書かれている内容は「うんうん、わかる。そうだろうね」と思う内容も割と多かったです。ただ、著者がその結論にいたるまでに多くのデータを取り、分析しているため、主観的、個人的であった課題を客観視できたり、なんとなくこれで解決できそう、と思っていたものの背中を押してもらえたという点がとてもよかったです。
私たちはみんな「時間貧乏」である
- 時間貧乏とは、やりたいこととやるべきことを、すべてこなす時間がないという感覚を持っている状態のこと
- 最適な可処分時間(自分が自由に使える時間)は2~5時間
- 可処分時間は、少なすぎるのはもちろんストレスだが、逆に多すぎてもストレスになる
- 多すぎると、生産性を実感できなくなるから
- 可処分時間は、少なすぎるのはもちろんストレスだが、逆に多すぎてもストレスになる
- たしかに最適な(=幸福感が最も高まる)可処分時間は2~5時間ではあるものの、じゃあ可処分時間が2時間あるよりも5時間あった方が幸せか?というと、それは違って、2~5時間の時間帯の幸福度数は平坦
- つまり、幸福度合いをさらに高めるという点では、時間数は決定打ではない
時間貧乏を脱出し、幸福度合いをさらに高めるためにできること
- 体を動かす
- 寝る
- 最低7時間
- 人と会って話す
- 時間を記録する ※後述
- いつ、何をしたかと、そのときどう感じたか(幸せか、普通か、幸せじゃないか)
- 孤独はつらい
- 時間をお金で買う
- やらなければいけないけどやりたくないことは思い切ってアウトソーシング
- やりたくないことを楽しくする
- やりたくないことをやるときについでに楽しいことをする
- 例)洗濯をたたみながらポッドキャストを聴く
- やりたくないことをやるときについでに楽しいことをする
- 仕事だって楽しくなる
- クリエイティブな仕事と、仕事らしい仕事がある
- 自分が最も生産性が高くなる時間帯にクリエイティブな仕事をする
- 楽しいことに慣れないようにする
- 「快適順応」:本来はつらいことでも順応できる能力だが、逆に楽しいことにも慣れてきてしまう
- 例)冷たい水に我慢して入っているとだんだん泳げるようになる(マイナスをゼロにする)
- 例)8口目のアイス(プラスをゼロにする)
- 楽しいことへの快適順応を避けるために、敢えて楽しいことをしない時間帯を作る
- 「快適順応」:本来はつらいことでも順応できる能力だが、逆に楽しいことにも慣れてきてしまう
- 集中するためにできること
- 週末をバカンスに行ったつもりで過ごす
- 完全にリフレッシュすることが目的
- 瞑想する
- 座禅を組んで目を閉じなくてもいい、今この瞬間感じることに集中する
- ウォーキング中、サイクリング中でもOK
- ドアを閉める
- 携帯電話をしまう
- スマホも
- Slackの通知も
- 「シュルツ・アワー」を確保する
- 毎日30分でも15分でも、集中して考える時間を作る
- 週末をバカンスに行ったつもりで過ごす
- タイム・クラフティングで自分だけの理想の1週間を作り上げる ※後述
- 人生という単位でタイム・クラフティングしてみる
- 子育てなどに時間を充てなければいけない(=存分に充てられる)時間はほんの数年
- 緊急性より重要性を重視できるようになる
- 後悔を長引かせないためには、「やらない後悔」ではなく「やる後悔」を選ぶ
- 「やる後悔」は取り返しがつかなくなる前に手を打つ。結果的に問題が短く済む
- 「やらない後悔」はじわじわと迫ってくる。気づきづらいうえに、後悔したときには問題が大きくなったり、取り返しがつかなくなっていたり
変わらねば!と思い至ったフレーズ
先のことより「今」に集中する
これは、本書の第6章のタイトルです。この6章の冒頭で、ケイトという女性が登場します。
ケイトは、仕事・プライベートにかかわらず、やることリストを作っていて、常にそのリストを減らすことに夢中だそうです。たとえ今やっていることがあったとしても、頭の中では常に違うことを考えて、タスクを消化しようとしているそうです。
週末になると、息子のサッカーの試合に来ているのに携帯電話をいじって、リストを片付けなければとそわそわしているのでは?未来の活動の段取りで常に忙しくしているケイトは、「今」にいることがほとんどありません。
これ私だあーーーーーーーーーー!
また言い回しが秀逸で・・・かなり抉られました。
私、「今」に全然集中していない・・・
たとえば、子供の習い事見学中に、ネットショップで買うべきものを注文したり、自宅で映画を観ている時に要返信のメッセージを返したり・・・
これらのたとえ話はケイトの話ではなく、私の話です。その結果、たとえば子供が習い事中にシュートを決めたのを見逃したり、映画の内容があまり入ってこなかったりします。
結局1つ1つのイベントへの満足感が高まりきらず、有意義な時間を過ごせず、「時間貧乏」感が増しているなと痛感しました。
本書をヒントにやってみたこと
前述の残念な気づきから、これは自分のスタンスを変えなければ永遠に時間貧乏のままだなと危機感を抱きました。
私にとってはまず各イベントへ集中することが肝要であると判断し、そこに即効性がありそうなものを実践してみました。
デジタル・デトックス
最近、子供たちがYoutubeやゲームにかなりの時間を費やしていることが気になっていました。
でも、それを注意する私自身も、スマホを常に触り続けてしまっているなと。
その結果、家族みんなで同じ空間にいるのに夢中になっているものは別々、という状態がしばしば起こってしまっている感覚がありました。
本書ではいくつかのエクササイズが用意されていて、その中の1つにデジタル・デトックス・エクササイズがあります。
目が覚めているうちの6時間を「オフライン」で過ごすために確保しましょう。つまり、電話、メール、SNS、テレビ、その他いかなるインターネットもこの時間は禁止です。・・・
その後、デジタルから切り離された時間が自分の感情や考え、行動にどう影響したかを振り返って簡潔に書き留めましょう。
このエクササイズに則って、家族全員でデバイスから遠ざかる時間を作ってみることに。
家族全員で土曜日の午後~子供たちが寝るまでの時間を、スマホ、テレビ、ゲーム機器に触れない、デジタル・デトックス・タイムにしてみました。1
デジタルデバイスを触れないとなると、自然と外に遊びに出かけたり、家の中でもみんなでできる遊びを考えたりする時間が増えますし、それを介して会話が格段に多くなると実感しました。
本書の別の章でも、人との交流が何よりも幸福感を上げる方法だと明言しています。デジタルデバイスを断って、目の前の人間とじっくり向き合うのって、実際にやってみると想像以上に充足感が大きいです。
あとは子供たちにゲームやYoutubeよりも楽しい時間だぞ、と思わせ続けることが継続の秘訣だと思っているので、毎週アイディアをひねり出さねばです。
スマホ禁止時間を作る
本書では、スマホはあるだけで気が散るので、見えない場所に置きましょう、と強く提唱されています。
もちろんそれはこの本を読む前から認識はしていましたが、ついついスマホを開いてメールやSlack、気になる記事に目を通したりしてしまいますよね。
また、エンジニア職だと、業務時間の間ほぼずっと、Slackから、ネット検索から、ChatGPTから、既存の製品ソースコードから・・・とにかくデジタルデバイスから情報をインプットし続けていると思います。
それに加えて業務終了後もスマホを触り続けると、1日中インプットし続ける状態になって、脳が疲れ果てます。
「今」に集中するためと、インプットを止めて脳をリフレッシュさせるためと、二重の意味で必要性を感じていました。
著者は、主に平日夕方を電話禁止ゾーンと定めていて、帰宅時に玄関にそのままスマホを置いておくのだそうです。
これはとてもいいな、と思いました。
たしかに、玄関に置いておけば、よほど強い意志を持たないことにはスマホに目が行きません。
ためしに前セクションで書いたデジタル・デトックスの時間帯に加えて、平日の夕方~子供の寝かしつけ完了まで、スマホを玄関や寝室など、とにかくその時間帯動線から外れた場所に置いてみました。
結果は、自分が思った以上に効果がありました。
何よりも家事がはかどります。子供たちがテレビを見ている間、ついつい私もスマホを見てしまっていましたが、スマホが手元にないと、今できることをさっさとやってしまおうというマインドに自然となります。
また、子供たちがテレビを観ていないタイミングでの会話への集中力が上がったなと感じます。
さらに想定外だったのは、子供たちの寝かしつけでとてつもなく健やかに寝落ちする頻度が増えたことです!
ブルーライトを浴びる時間が減ったことで、入眠効果が高まったんだろうと予測しています2。
その結果、5時台に目が覚め、起床時間までの間にのんびりとスマホで漫画や気になる記事を読むことが増えました。
時間を取ってやりたいこと
時間記録エクササイズ
本書では時間記録エクササイズが3つのパートに分かれています。
- 起きている時間を30分ごとに区切った時間割を紙に書きだし、以下をメモする
- 何をしたか(できるだけ具体的に)
- どう感じたか(10段階の数字で書く。エクササイズ2で使う)
- 自分にとって最も幸せな時間と幸せでない時間を特定する
- 10段階で評価した幸せの点数が最も高い活動を3つ見つける
- 最も幸せな活動リストの、具体的にどこをポジティブに感じたかを書きだす
- モノ、場所、人の観点で特徴をメモする
- 特徴を示したリストから共通点を見つける
- 1-3をについて、幸せの点数が低いものに対しても行う
- パート1で記録した時間から、この数週間、どの活動にどれくらいの時間を費やしたかを数値化する
- つかった時間をカテゴリ分けする
- 時間の過ごし方をしっかりと把握するのが目的なので、意味のあるカテゴリ分けにする
- ×:仕事 / ○:チームマネジメントに関する作業、開発業務に関する作業
- 時間の過ごし方をしっかりと把握するのが目的なので、意味のあるカテゴリ分けにする
- 起きている時間を分母に、それぞれの活動に使った時間の割合を計算する
- つかった時間をカテゴリ分けする
できれば傾向を見るために2週間分記録を取るとよいとのことでしたが、本書を読み終わってからこの記事を書くまでの期間が短く、実践しきれませんでした。
現在パート1の記録中なので、記録できたらパート2以降を実践してみようと思います。
タイム・クラフティング
タイム・クラフティングとは、時間をつなぎ合わせて、理想的な1週間のスケジュールを作る手法の1つです。
時間(タイム)を手作業で作り上げる(クラフティング)が由来だそうです。
世の中に多くある時間の効率化のための手法なのに対して、タイム・クラフティングは個々の活動時間の充足度を上げることに重点を置いた手法なのが魅力的だと感じました。
タイム・クラフティングでは、各活動時間のブロックを「タイル」と表現し、そのタイルを組み合わせて自分自身の1週間のスケジュールを「モザイク画を作る」作業になぞらえています。
時間記録をはじめとしたエクササイズや、そのほかのヒントやアドバイスを経て、以下の順番でタイルを配置していきます。
- 固定のタイルを配置する
- 仕事、家事、育児など、必ずその時間を充てる必要のあるもの
- 自分が楽しいと感じるタイルを配置する
- タイルはぎゅうぎゅうに詰め込みすぎない
- 楽しいタイルはばらけさせる
- 楽しいことへの快適順応を回避する
- 楽しくないタイルはなるべくまとめる
- まとめつつ、楽しい活動と抱き合わせる
- 例)洗濯をたたみながらのポッドキャスト
- まとめつつ、楽しい活動と抱き合わせる
そのほか、タイルを散りばめるうえでの戦略がいくつか紹介されていました。今後私がタイム・クラフティングを実践するにあたり、戦略のうち、個人的に考えたり採用したりしたいものを挙げておきます。
- 人とつながる時間を確保する
- まずは家族と遊んだり話したり時間をタイルに組み込む
- 「電話禁止ゾーン」を作り、大切な時間を守る
- 平日夕方~22時頃までと、週末の半日
- 良かったことをちゃんと振り返る時間を割り当てる
- 自転車でお迎えに向かう20分を充てるとよさそう
- 定期的に一緒に過ごすという伝統を作る
- 家族全員で過ごす時間だけでなく、1対1で過ごす時間を作る
- 子供たちそれぞれの習い事の送迎に+αをして2人時間を作る
- 夫婦の晩酌に「電話禁止ゾーン」を設ける
- 家族全員で過ごす時間だけでなく、1対1で過ごす時間を作る
- 確実に行うために、「やりたい活動」と「やらなければいけない活動」を抱き合わせる
- 洗濯をたたみながらのポッドキャストなど
- 目的を達成するために、注意散漫にならない時間を確保する
- 集中力を要するものは、1番集中できる時間に予定する
- 生産的でいたい時間は、注意力を散漫にさせるものを排除し、フローに入りやすくなる環境を作る
- 6~8の3つは主に対仕事の話
- 自分が集中できる時間帯に時間を確保するのが至難の業(もともと超夜型なので)
- 作業集中時間にはSlackの通知を完全にOFFにする。アプリも閉じる。MTGのリマインダーはカレンダーから飛ぶようにする
おわりに
実践できたことはまだ少ないですが、それでも効果を実感しました。
タイム・クラフティングができたとして、もちろんすべてうまくいくことばかりではないと思いますが、まずはやってみてから考えようかなと思います。