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「認定資格スクラムマスター研修 for Women」を受講してみての所感

Last updated at Posted at 2024-03-10

はじめに

先日、Scrum Inc.が開催している「認定資格スクラムマスター研修 for Women(以下「for Women」)」という研修をオンサイト1で受講し、Registerd Scrum Master(RSM)というスクラムマスターの資格を取得しました。

少し前からチームへのスクラム導入を検討しているため、スクラムマスタ―の資格には興味があり、「認定スクラムマスター研修」は受講しようと思っていました。
ただ「for Women」については、正直受講前は「なんでわざわざ性自認が女性という枠で括る必要があるんだろう?」と少々斜に構えていました(ごめんなさい)。

でも実際に受講したら想定していた数倍は面白かったです。

そんなわけで、今回は主に「for Women」の研修部分を受講した際に感じたエトセトラを記載します。

今回書くこと

大きく以下の2点を記載します。

今回書かないこと

  • 申し込み~資格取得までに必要な手続きやおおまかな流れ
    同僚の記事が端的ですのでそちらをご参照ください。
    「for Women」のものではありませんが、基本的な流れは同じです。

  • 研修を踏まえてチームに取り入れたいポイント
    途中まで書き進めたものの、長くなりそうだったので別記事で記載します。

「for Women」の特徴

「認定資格スクラムマスター研修」を受講したことがないので、あくまでも「for Women」のみを受講した際の印象と講師の方への質問を踏まえた内容です。

参加者、講師ともに全員性自認が女性

参加者はもちろん、講師の方も全員女性でした。
業務シーンで女性だけが集まる場というのはないので、圧巻でした。

現役で活躍されている女性リーダーによるゲストスピーチがあった

各日1回ずつ、現職女性リーダーによる講演が20分程度ありました。

1日目は、企業の中でスクラムに関するスペシャリスト職のような立場で、実際に組織の中でスクラムを実践したり、非スクラムのチームにスクラムの手法を取り入れたチーム作りを推進している方による講演でした。
スクラムに出会う前後でキャリアがどのように変わったかや、主に現職でスクラムではないチームにスクラムを導入していっているかの取り組みについて言及されていました。

2日目は、数百人規模の部門のリーダーをされている方による講演でした。
その方ご自身のこれまでのキャリアの築き方や、仕事に対する考え方、モチベーションの捉え方のお話がメインでした。
現職でもスクラムを部門に取り入れるための思考錯誤をされている最中のようでしたが、スクラムへの取り組みにはあまり言及されませんでした。
Scrum Inc.社が招いている方によるゲストスピーチだったため、ひたすらスクラムの良さを前面に出した話ばかりなのかなと思っていましたが、良い意味で裏切られました。

女性リーダーとしてとのキャリアの築き方のセクションが明確に設けられていた

女性が管理職に就きたがらない理由を掘り下げた上で、現代に必要なリーダーシップと女性の親和性についての解説の時間がありました。

現代に必要なリーダーシップとは、メンバーを支えつつ導いていくようなサーバントリーダーシップですよね。
また、スクラムマスターとは、サーバントリーダー2の側面が必須ですよね。

多くの360度評価の結果を踏まえると、サーバントリーダーシップに必要な資質について、女性が男性を上回る評価を得ている部分は多いんですよ。
つまりスクラムマスターとしてスクラムチームを率い支えていくのには、男性のみならず女性も適役なんですよ。

要約するとこんな感じの話でした。

研修を受けての所感

研修内容、わかりやすかった

スクラムガイドやSCRUM BOOT CAMP THE BOOKを以前にも読んだことがあり、基本知識を入れてはいたものの、広く浅くの知識止まりとなっていました。実践に落とし込み切れていないというか。

RSMの研修でも、初心者でもわかりやすいよう、教科書的な部分も教えてくれました。講師のかたの説明はどれも大変わかりやすかったです。スライドをただ追うというよりも、講師の方の説明を以て完成される講義でした。

加えて、スクラムのエッセンスをより体感できるよう、個人ワークやグループワークを通して各イベントを体験しました。同じタスクをいくつかのパターンで実践してみて、生産性の違いを体感できるようなワークも多く用意されていました。
過去の研究や調査結果でそれらの実感の裏付けもされており、その一連の流れでスクラムで良しとされている各種パターンへの納得感がありました。

質問があれば適宜手挙げすることもできますし、あとからでも直接、または質問を付箋に書いて貼っておけるボードが用意されており、講師の方が適宜取り上げて回答してくださりました。

オンサイト、とてもよかった

実務はフルリモートのため、当初はオンラインで受講する気満々でした。オンラインでの研修では、オンラインでのスクラムチーム運営に即したツールや進め方をするとうわさで聞いており、実務の実態に合っていると考えていたためです。

しかし、私の初動が遅れてしまったがゆえに、公私の状況的に受講できる研修がキャンセル待ち or かなり先になってしまいました。
同時に、同じチームの同僚がオンラインでのRSMを受講していたため、じゃあ比較対象としてオンサイトの、しかも女性向けの研修があるので受けてみるか、といった感じで受けてみました。

結果的に、現在進行形でチーム運営をする中での疑問が数多くあり、それをいろんな方に事例や経験ベースの話を多く聞けたオンサイトが、私にはとても合っていました。

会話のきっかけが作りやすい、同時多発的に会話がしやすい

研修開始前や休憩時間も基本的にはみんな自席に座っています。なので、グループワークだけでは汲み取り切れないチームメンバーの方の状況を教えてもらったり、悩みを共有したりアドバイスをいただいたりしやすかったです。

オンラインだと誰かが話しているとそれ以外の人は黙っている、ということもしばしば発生しますが、オフラインだと割と近い場所で別の話をしていても話していない人同士で別の話をできたりします。話したいことが話せないというもどかしさは生まれにくかったです。

また、講師の方も休憩時間中もフロアを回ってくださったり、講師席に待機してくださっています。
オンラインだと話しかけて大丈夫かをちょっと迷ったりするかもしれませんが、実体としてお互いその場にいると、ふと目が合ったり挨拶したりしたついでにちょっと気になってたことを訊けました。質問のハードルがとても低かったです。

懇親会も盛り上がった

1日目の研修終了後、1時間程度お酒やおつまみをつまみながらの懇親会がありました。
休憩時間の雑談も含めて座学+グループワープで丸1日濃密な時間を過ごしたメンバーとは少なからず絆ができます。
そこにお酒の力も入って、講師の方も混ざって、特に実務でのスクラム実践の難しさなどを語り合えて楽しかったです。
「1日を通して理想はわかりましたよ?でも現実はこういうシーンもあって・・・」というぶっちゃけ話をみんなで出し合い、共感も得つつ、そこに講師の方の「実際そうなんだよね、そういうときは~」という解決案の提案などもしてもらったりしました。

おまけ:おみやげでもらったもの

おみやげとして手元に何か残るのは、あとから見返しやすいのと、シンプルに思い出になります。

  • 2日間研修で利用したリングファイル型のテキスト
  • スクラム用語集とスクラムイベントのクイックリファレンス
  • 書籍 「スクラム 仕事が4倍速くなる“世界標準”のチーム戦術
  • プランニングポーカー用のカード
    • こちらの記事で「LSMの研修でもらったものです」と紹介されているもの
    • チームメンバーとオンサイトプランニングすることがあればぜひとも使いたい

チームに恵まれた

本当に良いチームメンバーに恵まれたなあと感じています。みなさまありがとうございました!

実務でのスクラム実践者が多かった

スクラムやスクラムに準じた開発手法を取り入れている方、過去にそういった経験がある方がチームに多かったです。
チームは5人1チーム、スクラム経験の豊富な方から初心者までがバランスよく入るように設計はされていました。
研修参加者をスクラム経験値順に1列に並べたうえで、1~6の数字を順番につけてチームを組んでいくというやり方です。
私が「スクラムっぽいものを導入し始めて大体6か月くらい」で、すぐ横の方が全くの未経験という狭間にいて、かつ私が振られた番号が1だったため、おそらく私のチームのみ経験者4人入った形になったのだと思います。

経験豊富← 123456123456123456 1 | 23456123456 →未経験
※同じ数字の人が同じチームになる
※太字の「1」が私、その横の「 | 」が経験者としての境界値

チームメンバーのバックグラウンドが少しずつ違うがゆえに普段もらえないFBがもらえた

エンジニア職の方が多かったですが、同じエンジニアでも異なるドメインをターゲットにしていたり、ハードを扱う方もいればビッグデータ分析を主務とする方もいました。
また、IT業界でもエンジニア職でもなく、カスタマーサクセスを主戦場とした方もいらっしゃいました。

スクラムをやりつつも本来の定義とずれていることを悩んでいたり、
ウォーターフォールを主としたプロジェクトをスクラムに変えていきたいという意志を持って参加している方もいました。

バックグラウンドや開発スタイルの違いがあるがゆえに、お互いが編み出してきた解決方法を共有したり、逆に業種業態や扱うドメインが異なっても悩みって似ているんだなという発見がありました。

女性限定研修であることについて

ライフイベントや境遇に共通点が見つけやすかった

結婚・妊娠・出産を経て管理職をされている方の講演があったり、そういったライフイベントを経ながら管理職をしたり新たな取り組みや加速させていこうとエネルギッシュに活躍されている方が同じチームにもいらっしゃりました。
いくつかのライフイベントを経てキャリア迷子の最中にある私にとっては、スクラムマスターの研修という範疇を超え、人生相談をさせていただける貴重な機会になりました。

女性にフォーカスした講義は個人的にはあまり刺さらなかった

私はさまざまなシーンで性別による傾向があることは否めないと思うものの、それでも性別で括られるのは好きではありません。
そのため、女性にフォーカスした講義は正直あまり刺さりませんでした。

ただ、先に書いたとおり、ゲストスピーカーの方の具体的なエピソードや、各シーンでの物事の捉え方については共感でき、ロールモデルとして参考になるなと素直に感じました。

おわりに

研修は濃密で、アイディアやアドバイスをたくさんいただけました。
ただ、研修受けてRSM取れたぜわーい!ではありません。チームに帰ってからが本番です。

私の目的は、チームをスクラムで回すことではありません。
スクラムから得たノウハウをもとにチームの生産性を上げて、チームが持っているプロダクトに、よりたくさんの機能強化や改善を、より早いスピードで、かつコンスタントにユーザーに届けられるようにすることです。
そのために今回の研修で得た知識や実感を、実際に自チームをどこまで、どのように改善していけるか検討し、チームメンバーと相談し、少しずつ取り入れていきたいです。

  1. ちなみに、「for Women」は今回で通算2回目、オンサイトでの開催は初だったそうです。

  2. スクラムマスターの定義について、スクラムガイド2017では「スクラムチームのサーバントリーダーである(訳注:メンバーが成果を上げるために支援や奉仕をするリーダーのこと)。」と明示的に書かれていたのに対し、スクラムガイド2020では、「スクラムチームと、より大きな組織に奉仕する真のリーダーである」と変更されています。しかし、引き続きサーバントリーダーシップが重要であることに変わりはありません。

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