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文系開発未経験のアカペラ狂はなぜIT企業のエンジニア職を10余年も続けているのか

Last updated at Posted at 2023-07-21

はじめに: エンジニアという職種について1ミクロンも想いを馳せていなかった学生時代

※私は弊社に新卒入社しているため、かなり弊社のエンジニア職に偏った内容で記載していますこと、ご容赦ください

学生時代はIT企業なんて露ほども検討しておらず、まして自分がエンジニアになるなんて微塵も考えていませんでした。
当時はとにかくアカペラに夢中で、ひたすら歌い続けていました。

そんな私がなぜIT企業を選び、エンジニアという職種を選び、そして10年以上この仕事を続けているかを書いてみます。

「今はまだIT企業とかエンジニア職とか微塵も考慮してません!」
「プログラミングって理系の人たちが操るすごい魔法でしょ・・・」
「プログラミング完全未経験なんだけどそれでもエンジニア職になれるのかな・・・」
「アカペラ大好きすぎてやりたい仕事まだ見つかってません」

という方の参考材料となれば幸いです。

なお、そもそもアカペラってなに?という方が多いかと思います。
こちらの記事が大変端的かつわかりやすくまとまっていたのでご一読ください。

なぜ狂ったようにアカペラをやっていたのか

Qiitaはエンジニアブログなので、アカペラの魅力を語る場ではないのは重々承知です。
が、少しだけ、どんなときに「アカペラさいこー!」と思っていたかをお伝えさせてください。
一応エンジニアを志すきっかけに繋がっていきます・・!

すっ飛ばしたい方はで、なぜIT企業のエンジニア職を選んだかにどうぞ。

歌いたいと思った曲を、自分たちに合わせたアカペラ用の楽譜にしているとき

アカペラグループ(バンドと呼びます)では多くの場合、すでに世の中にある楽曲をアカペラ用にカバーして歌います。
これらはアカペラのための楽譜は用意されていないのが普通なので、アカペラ用に楽譜を起こす必要があります(アレンジといいます)。

そして、私は組んだバンドの中で楽譜を起こす担当をすることが多かったです(アレンジャーといいます)。

このアレンジ作業が、とんでもなく楽しいんです。
振り返るとこの作業が、アカペラの活動の中で1番苦しくて1番好きだった気がします。

アカペラのバンドは多くの場合5~6人で構成されます。
リードボーカル、コーラス(2~3声)、ベース、ボイスパーカッションです。
つまり無数の音の中からたった6人の声で表現するためにどの音を拾うか、取捨選択が必要です。

単純に音源を6声にすればいいってものでもありません。
声は息継ぎしないと続かないからです。
つまり適度な間隔で息継ぎや休符が必要です。

さらに、バンドに所属するメンバー1人1人で得意とする音域、特徴とする声質があります。メンバーごとに最適な音域と適切な役割で音を振ることで、バンドの魅力は最大化します。

「この音はこの人に歌ってほしい!」
「ここは敢えて伴奏なしにしてリードボーカルの魅力を最大限に伝えたい!」
「このリズムをベースとボイスパーカッションに刻んでもらいたい!」

・・・などなど挙げだしたらキリがない上記のようなことを考えながら、夜な夜な楽譜作成ソフトに音符を打ち込む作業をしていました。

起こした楽譜をバンド内外の仲間とブラッシュアップしていくとき

どんなにこだわって作り上げた楽譜でも、歌ってもらわないとただの紙切れです。
そのため、実際にメンバー揃って声で合わせた瞬間の快感はひとしおです。

同時に、実際に歌ってみるとここはもっとこうした方がいいね、というのが、アレンジャーとしても、バンドメンバーからも上がってきます。
また、ある程度形になった段階でバンド外の仲間に演奏を聴いてもらって客観的なフィードバックをもらい、さらなるブラッシュアップをしていきます。
こうしてバンドとして納得のいく1曲になったときの満足感たらないです。

ライブを通じてお客様に演奏を届け、拍手や声援をもらったとき

せっかくいい曲に仕上げると、身内だけで完結しているだけではもったいないです。

ライブハウスや外部向けサークルライブへの出演を通して、お客様に演奏を届けるのはアカペラに限らず音楽をやっている者の醍醐味ではないでしょうか。

曲が終わった後の拍手はもちろんのこと、
たとえば曲の中に笑いを散りばめたものであれば笑ってもらったり、
聴かせる曲であれば感動して涙を流してもらえたり、
直接感想を伝えてもらったり。

ここまで大事に作り上げた曲に反応をもらえた瞬間は本当に本当に何度体験しても最高です。

で、なぜIT企業のエンジニア職を選んだか

長くなってしまいましたが、大学4年間はほぼ上述のことをして過ごしました。
就職活動中にたまたま空き時間があり、たまたま開催されていた弊社1のセミナーに行かなければ、IT企業とは無縁の生活を送っていたと思います。

そして気が付けば最終選考である採用直結型インターンシップへ。

細かい話は割愛しますが、ここで出会った社員の方々がほぼ全員、自分が想定した10倍以上の密度でフィードバックを返してくれたことに感動しました。
そして、何がしたいかというよりも、「この人たちと働いたらめちゃくちゃ面白そう」が先行し、入社を決意しました。

しかしこのときも、なんなら入社後しばらく経っても「営業かコンサルになれたらいいな~」程度に考えていて、エンジニアの道はまだ微塵も考えていませんでした。
インターンシップの中でほんの少しプログラミングに触れたものの、当時は大した学習もしていなかったためヨクワカラナイ、怖いという意識が強かったです。
インターンシップは必要最低限の実装方法だけを会得して乗り切ってしまいました。

そして入社、配属前研修へ

配属前研修を通じて、弊社のエンジニア職がなんたるかを垣間見た

当時の配属前研修は現在のオンボーディングよりかなり厳しめの課題突破型研修でした。

たしか私の代は、「不動産業界が抱える課題を解決するためのシステムを開発せよ」というお題が与えられた上で、

  1. 課題設定・企画書作成
  2. 企画書プレゼン
  3. 実装
  4. 成果物のレビュー

という、エンジニア職の実際の業務を想定した研修がありました。

アカペラに明け暮れていたこともあり、
そもそも不動産業界がどんな課題を抱えているのかを考えることも、
その課題は本来どうあるべきなのか、システムの力を使うことでどう助けられるのかを考えることも
実際にそのための機能を作ることも、
これまでに経験がありませんでした。

どのフェーズにも正解はない、けれど何かしら自分の中で解を出す必要がある。
その結果のフィードバックはかなり手厳しいもので(大学卒業したてのひよっこなので当然ですが)、挫けかけながらもブラッシュアップしていく。
つらすぎる!と思いつつ、各フェーズ、及第点に到達するためにひたすら考え抜いたり、その結果突破できたりすることで、つらさの中にほんの少し面白さも感じてきました。

さらに実装フェーズに入ると、自分が考えた解決策を実現するためのツールとしてプログラミング言語2をややまじめに学習しました。すると自分がプログラムを書いた通りに動くものができていくことで、自分が書いたコードと動くようになった成果物に愛着を感じました。

そして最終的に成果物にOKが出て、手厳しかった先輩からポジティブなフィードバックを受けたときの感動は、未だに忘れられません。

こうして研修を終えたあたりで、ふと気づいてしまいました。

・・・あれ?開発業務、アカペラやってるときとだいぶ似てない?

企画書を考えたり、プログラミングをする過程はまさにアカペラ譜へのアレンジ作業と似ているし、
先輩からのフィードバックを得ながら機能をブラッシュアップしていく過程はバンドメンバーと曲をブラッシュアップしていく作業と似ているし、
最終的に動く物に対してポジティブな反応をもらえたときの快感は、ライブを終えたときのあの感覚とそっくりでした。

私がアカペラの活動に学生生活まるっと捧げた理由は、もちろん歌を歌うこと自体が好きだったのもありますが、楽譜を起こしてからお客様に届けるまでのすべての過程を通じて得られる体験、その1つ1つが好きだからでした。

ツールとしては声や楽譜作成ソフトからプログラミング言語に替わるものの、弊社のエンジニアが担う業務を通じて得られる体験はかなり通じるものがあると感じました。

そう思った瞬間、もうエンジニア職以外考えられなくなり、一片の曇りもなく開発部門を配属先の第一希望として提出しました。

エンジニア職 = 課題を解決するためのツールとしてプログラミングを駆使する仕事という実感を伴った10余年

配属前研修は研修でしかなく、実際の業務に携わるとそう単純な場合ばかりではありません。
研修終了後の決断は急で安直がすぎたかもしれないなと今となっては思いますが、実際にエンジニア職になり10余年、苦しくも楽しく仕事を続けられており、やはりあのときの直感は正しかったとも感じています。3

研修時代は解像度の低かった以下の部分について、よりアカペラを通じて好きだった体験に近づいてすらいます。

  • チーム内外のエンジニアの同僚や先輩、フロント部門の同僚に、企画書やプロトタイプ、実際のリリース物を見せることで、よりよいものを目指していける
  • リリースした製品を実際に使ってフィードバックをいただけるのがお客様になった

アカペラ譜に起こすだけでは、「この曲をアカペラで届けたい!」と思った楽曲を声で表現する魅力は伝わらないし、そもそもアカペラにすらならないし、ましてお客様に感動も届けられません。

プログラミングおよびそれによって作られた製品も同じだと考えます。
プログラミングという作業が発生するその背景には、何か解決しなければならない課題があり、
プログラミングを通じて出来上がったシステムを利用したユーザーの業務が楽になる、
そのための手段でしかないと思っています。

そう考えると、プログラミング=「理系の人たちが駆使するすごいモノ」ではなく、何かを実現するためのツールだと思え、エンジニアという職業が取っつきやすくなるのではないかと思います。4

おわりに:エンジニアの適性とは?

私のバックグラウンドにあったのがアカペラだったので、アカペラベースでのお話をしました。しかし、要はこういうことが好き、ということです。

ベースとなるものを作る → みんなでより良くしていく → 誰かに届けて幸せになってもらう

この流れはいたるところにあるのではと思います。

極論、この一連のフローのいずれかに幸福感を感じる方は、エンジニア適性あるんじゃないかなと思います。
エンジニア職、ぜひ検討してみてほしいです。

  1. 正確にはWorks Human Intelligenceの前身となるWorks Applications社との出会いとなります。

  2. 当時の研修ではCOBOLとDelphiを利用していました。

  3. 奇遇にも同じ部署になったアカペラーのエンジニアの同僚と話しても「開発ってアカペラと似てるよね!」と盛り上がるので、一個人だけの感覚ではないのではと思っています

  4. だからといってプログラミングのための研鑽を積む必要がない、ということを言いたいわけでは断じてありません!

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