はじめに
MULTI端子とは、主にソニー製のデジタルカメラに付いているリモートコントロール用のインターフェイスです。
今回はリモートコマンダーRM-VPR1を分解し、カメラとの通信を調べ解析を行いました。
コネクターとピン配置図
下記はプラグ側から見たMULTI端子の図です。
この図を基にピン配置を記したものが以下になります。
表中のCLxxはRM-VPR1の基板のテストポイントです。
Amazonで入手できるケーブル類についても調べてあります。
RM-VPR1 | MULTI端子 | 信号 | SONY VMC-AVM1 | JJC VMC-MM1 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
CL01 | M1 | D_3.1V/LANC_DC | Green | Black | スタンバイ・電源オフ時は0V |
CL02 | M2 | XRESET_REQ | |||
CL03 | M3 | UART_TX/LANC_SIG | Yellow | Brown | |
CL04 | M4 | UART_RX/BOOT_IN | Green | ||
CL05 | M5 | AD_JACK_IN | Orange | Blue | 100kΩでプルダウン |
CL06 | M6 | LINEOUT_R/XAE_LOCK_SW | Black | White | GNDに落とすことで動作 |
CL07 | M7 | LINEOUT_L/XSHUT_SW | Brown | Yellow | GNDに落とすことで動作 |
CL08 | M8 | VIDEO | Red | ||
CL09 | M9 | AV_GND | Shield | ||
CL10 | M10 | XPWR_ON | Gray | GNDに落とすことで動作 | |
CL11 | U1 | VBUS | |||
CL12 | U2 | D- | Purple | ||
CL13 | U3 | D+ | Orange | ||
CL14 | U4 | ID | |||
CL15 | U5 | GND | Shield | Red |
JJC VMC-MM1の配線についてですが、電源がBlackでGNDがRedの電気屋の感覚と反対の色です。
制御について
MULTI端子を使ってカメラを制御できる内容は以下になります。
操作 | 手順 |
---|---|
フォーカスロック | M6-LINEOUT_R/XAE_LOCK_SWをGNDに落とす |
シャッターを切る | M7-LINEOUT_L/XSHUT_SWをGNDに落とす |
電源 | M10-XPWR_ONをGNDに一定時間落とす |
録画 | コマンドによる |
ズーム | コマンドによる |
上記の通り、一部の操作はUART_TX/LANC_SIG経由でコマンドを送らなければなりません。
MULTI-UARTコマンド
ここではMULTI端子のUART線経由で制御するコマンドのことを、MULTI-UARTコマンドと呼びます。
MULTI端子にリモコンを接続してカメラの電源を入れると、カメラ側から複数回以下のMULTI-UARTコマンドが送られてきます。
%000*
これに対し、以下のレスポンスを返すとカメラを制御できるようになります。
&00080*
通信内容の解析結果から、MULTI-UARTコマンドは以下のように組み立てられています。
値は全てASCII文字です。
MULTI-UARTコマンドを送ると、カメラ側からMULTI-UARTコマンドに戻り値を付加したものが送られてきます。
- コマンド
-
ヘッダー ヘッダー コマンド 値1 値2? フッタ # 7 1-5 0-7,9 0 *
#7100*
- レスポンス
-
ヘッダー ボディ 戻り値 フッタ $ MULTI-UARTコマンド(4byte) 0(成功)/2(エラー) *
$71000*
対応していないコマンドを送った場合は戻り値が2(エラー)のレスポンスを返します。
コマンドリストは以下の通りです。
録画などのボタンコマンドは押下コマンドを送信後に200msほど後に離すコマンドを送信します。
ズームWIDE/TELEコマンドの送信後にズーム動作を止めるにはズームRESETコマンドを送信します。
操作 | コマンド | 値1 |
---|---|---|
録画 | 1 | 0で押下/1で離す |
フォーカス* | 2 | 0で押下/1で離す |
シャッター* | 3 | 0で押下/1で離す |
ズーム(TELE) | 4 | 1-7 値が大きいほど速い |
ズーム(WIDE) | 5 | 1-7 値が大きいほど速い |
ズーム(RESET) | 5 | 9 |
フォーカスとシャッターについてはコマンドで操作できません。
ハードウェアについて
D_3.1V/LANC_DCはリモコンで使える電源ですが、ヒューズなどの保護素子は通されていないため、ショートした場合カメラが故障します。
他の端子も保護素子は付けられていないため、接続する際はカメラの電源をオフにしたあと接続してください。
D_3.1V/LANC_DCはリモコンで使える電源ですが、カメラが時間経過で省電力モードになった場合は0Vになります。
MULTI端子 | 電流の方向 | リモコン |
---|---|---|
UART_TX/LANC_SIG | > | RX |
UART_RX/BOOT_IN | < | TX |
LINEOUT_R/XAE_LOCK_SW | > | TR-C GND |
LINEOUT_L/XSHUT_SW | > | TR-C GND |
XPWR_ON | > | TR-C GND |
トランジスターはMCU側でプルアップを切ることができてオープンドレイン出力にできるのであれば必要ないと思います。
UART_TX/LANC_SIGからLANC信号が出ていますが、デジタルカメラで対応している機種はないようです。
ビデオカメラ用のリモコンを変換アダプターを介して接続しても動かないのはそういう理由があるようです。
お決まりの注意について
以上は手持ちのリモコンとデジカメを使って調べたので正確だとは思いますが、この内容を元にして出てしまった故障や損害等に責任は負いません。