この記事は インフォマティカ Advent Calendar 2023 のDay19の記事として書かれています。
はじめに
データマネジメントのエバンジェリストをやっているもりたくです。
本日は、私が2023年に登壇またはプロデュースした講演内容の振り返りを行い、そこからデータマネジメント・トレンドを読み解き解説してみたいと思います。
決して世界のトレンドの解説ではありませんので、ご注意ください。
ただ、私は各イベントに登壇する際、視聴者はこういう情報を欲しているかな…と想像して毎回テーマを決めています。従って、独断と偏見ではありますが、その時々のデータマネジメントのトレンドに則したテーマを選択しているつもりです。
この記事に向いている人は、「2023年にホットだったデータマネジメントのテーマは何なのか」を知ることで、「2024年以降に自分たちが何に注力して推進していくか」を考えるヒントが得られたら嬉しい! と思っている人になります。
登壇したイベント一覧
2023年に私が登壇またはプロデュースしたデータマネジメント関連のイベント10選は以下になります。
実際はもっと多くのイベントに関わりましたが、特徴的なものを選択してみました。
No | 時期 | イベント名 | 主催者 |
---|---|---|---|
1 | 3月 | データマネジメント2023 | JDMC |
2 | 4月 | データ&アナリティクスサミット | Gartner |
3 | 4月 | インフォマティカ・ウェビナー(Modernization) | Informatica |
4 | 5月 | Google Cloud Day | |
5 | 5月 | インフォマティカ・ウェビナー(Data Governance) | Informatica |
6 | 6月 | AWS製造ウェビナー | AWS |
7 | 9月 | Informatica World Tour in Tokyo | Informatica |
8 | 10月 | CTC Forum 2023 | CTC |
9 | 10月 | 情報システム部門のための戦略的データマネジメント | 日本経済新聞社 |
10 | 11月 | Asian Data Management Conference 2023 in Japan | DAMA Japan |
以下、各イベントの講演タイトルと共にそのセッション概要をクイックに紹介してきたいと思います。
1. データマネジメントのグローバル標準に迫る 〜最新事例から理解する次世代データ戦略の姿とは?〜
2020年から毎年参加している、JDMC(Japan Data Management Consortium、日本データマネジメント・コンソーシアム)主催のデータマネジメント2023に今年も参加しました。
このイベントは日本最大のデータマネジメントイベントの一つであり、毎年超気合いを入れて講演しているイベントになります。
今年のテーマは データマネジメントのグローバル標準 を選択しました。
Informaticaが協業している国内外のお客様の最新トレンド、ナレッジからグローバル標準と言えるようなベストプラクティスを4つの観点でまとめ、その紹介をしています。
(以下、そのスライド抜粋です)
2. 全社データ活用のしくじりパターン5選とその処方箋を徹底解説
Gartner主催のデータ&アナリティクスサミットに参加しました。
このイベントは読んで字の如く、Gartnerが主催するデータ&アナリティクス関連イベントの一つです。
著名なアナリストに混じって登壇するため、私にとってこれも気合いを入れて講演しなければならないイベントになります。
テーマは 全社データ活用のアンチパターン を選択しました。
Informaticaが協業している国内外のお客様の事例から読み解いた、データマネジメントのアンチパターンとその解決策についてまとめ、その紹介をしています。
しくじり先生調に、数字から入って、なるべくユルめにしくじりパターンを紹介するのが実際の流れになります。
データアナリティクスやAIと比較すると地味なデータマネジメントについて、少しでも楽しんで聞いてもらうにはどうしたら良いか、それを考えた末にいきついたプレゼン手法です。
が、講演を聞いた方から「面白かった!」というフィードバックを多数いただくことができました。
本講演の結論
3. S/4 HANA導入/移行のしくじりポイントと失敗しないための秘訣
これは弊社Informatica主催のインフォマティカ・ウェビナー(Modernization)です。
私の上司が登壇しましたが、その内容は一緒に検討して作り上げました。
テーマは SAPモダナイゼーション を選択しました。
2025年の崖、SAPの2027年問題に悩む企業から相談を受けることが多かったため、そのアプローチ方法をベストプラクティスとしてまとめ、その紹介をしています。
4. 新たな経営資源であるデータ、全社規模で共有できてますか? 〜ビジネスとデータの架け橋となるデータマーケット プレイス〜
Google主催のGoogle Cloud Dayに参加しました。
Google関連のイベントに登壇するのは初めてで、この登壇によってAWS, Microsoft, Oracle, Teradata, Snowflakeなどの主要なデータプラットフォームの登壇を網羅できたため、自分にとって感慨深いイベントになりました。
テーマは データ民主化、データ共有 を選択しました。
Googleの便利なサービスを愛し、使い倒しているエンジニアが多い中で、その素晴らしい成果を全社で共有・アピールするためのデータマーケットプレイスというサービスを知っていただきたく、デモたっぷりに実際は紹介をしています。
5. シン・データカタログ
これは弊社Informatica主催のインフォマティカ・ウェビナー(Data Governance)です。
弊社のアカウントマネージャーが登壇しましたが、その内容は一緒に検討して作り上げました。
テーマは データ民主化、データガバナンス を選択しました。
Googleイベントでは、攻めのデータ活用にフォーカスしてデータマーケットプレイスのサービスを紹介しました。一方、こちらでは多くの企業が推進に悩む守りのデータ保護も含めたデータガバナンスに焦点を当てつつ、その推進をサポートするテクノロジーとして最新のデータカタログについても紹介をしています。
6. なぜ製造業DXにビジネスに最適化されたデータが必要なのか? 〜国内外の先進事例から読み解く変革の必要条件〜
AWS主催の製造ウェビナーにも参加しました。
このイベントはAWSパートナーが各社のサービス紹介、ではなくて事例紹介に重きを置いて講演するイベントになります。
テーマは ビジネスに最適化されたデータ を選択しました。
製造業DXに成功している5つの事例を紹介し、その成功要因の共通要素として、ビジネスに最適化されたデータを確保することが大事であり、それを実現するためのデータマネジメントこそが変革の必要条件である、という紹介をしています。
本講演の結論
7. データマネジメント向け生成AI "CLAIRE GPT" が創るビジネスの未来
これは弊社Informatica Japan主催の最大の年次イベントであり、今回私はそのKeynoteの中で弊社CEO Amit Waliaの後に登壇する機会をいただきました。
本イベントでの登壇は4回目になりますが、Keynoteで登壇したのは初めての経験であり、自分にとっても感慨深い経験となりました。
テーマは 生成AIとデータマネジメント を選択しました。
2022年後半から2023年にかけて、最大のテクノロジー・バズワードは生成AIになりますので、本イベントでも生成AIを中心に据えて、最新のデータマネジメント向け生成AIの世界観をデモを中心に紹介しています。
その内容は、別記事の中トピックであるデータマネジメントにおける生成AIの動向にまとめておりますので、こちらも合わせてご参考ください。
また、それ以外にも異なるテーマの以下の個別セッションについてもプロデュースさせていただきました。
データ、AIの最新潮流! シン・データ連携とクラウドモダナイゼーション
ビジネス変革の前提条件! なぜ今マスタデータ管理に注目が集まるのか
データガバナンスの最前線! データカタログからマーケットプレイスまで
8. 事例から学ぶ、生成AI/データ活用でしくじらないための授業 〜AI/データの価値を最大化するために必要なこと〜
CTC主催のCTC Forumに参加しました。
このイベントにはCTCと提携している多くのテクノロジー・パートナーが登壇しており、正直データに関心のない視聴者も多い特殊なイベントになります。
ただ、データマネジメントに少しでも多くの人に興味を持ってもらいたい、その思いから、、、
テーマは キャッチーな 生成AIとデータマネジメントのアンチパターン を選択しました。
以下を見ると、どこかで見たようなスライドだな、、、と思うかもしれません。
これは私の得意技である、しくじり先生パターンを生成AIとデータマネジメントにアレンジした内容となってます。
生成AIのアンチパターンは私自身も興味を持ちながら、対面するお客様らから事前に情報収集し、紹介させていただきました。
9. データマネジメントの最前線! モダンデータアーキテクチャからデータマネジメント向け生成AIまで
日本経済新聞社主催の「情報システム部門のための戦略的データマネジメント ~データの民主化を実現するデータ分析・活用・連携とは~」に参加しました。
情報システム部門向け、と対象を限定したイベントであり、あえてその内容をビジネスよりも技術的な内容にフォーカスしてみました。
テーマは モダンデータアーキテクチャと生成AI を選択しました。
昨今、海外で問題視されるケースが増えている、モダンデータスタックにおけるツール環境の複雑化、運用保守の非効率性といった問題提起を行いつつ、プラットフォーム・アプローチの重要性を生成AIの適用を含めて紹介する内容です。
10. 生成AIとの融合がもたらす新たなデータマネジメント/データガバナンスの世界
DAMA Japan(一般社団法人 データマネジメント協会)主催のAsian Data Management Conference 2023 in Japanに参加しました。
このイベントはJDMCと並び、日本でも歴史あるデータマネジメントイベントの一つです。
ライトニングトークというクイックな講演ながらに、舌の越えた視聴者が多いため、気合いを入れて毎年講演しているイベントになります。
テーマは 生成AIとデータ民主化、からのデータガバナンス を選択しました。
その内容は、別記事で最新のホットトピックとして記載した、データマネジメントと生成AIとデータカタログ+データマーケットプレイス+データアクセス管理が奏でる新しいデータガバナンスの世界の内容を濃縮した話になっています。
まとめ
以上、2023年に私が登壇またはプロデュースしたデータマネジメント関連のイベントになります。
そのテーマを抽出してみると、以下になります。
- データマネジメントのグローバル標準
- 全社データ活用のアンチパターン
- SAPモダナイゼーション
- データ民主化、データ共有
- データ民主化、データガバナンス
- ビジネスに最適化されたデータ
- 生成AIとデータマネジメント
7.1. データパイプラインのシンプル化
7.2. ビジネス変革とマスタデータ管理
7.3. データガバナンスの3大ユースケース- 生成AIとデータマネジメントのアンチパターン
- モダンデータアーキテクチャと生成AI
- 生成AIとデータ民主化、からのデータガバナンス
こうして振り返ってみると、生成AI、データ民主化を話題にすることが多かったです。
某有名技術系デジタルメディアの編集長が言っていましたが、やはり2023年は「生成AI」というキーワードをイベントタイトルまたは講演タイトルに含めると、明らかに集客率が違っていたとのことでした。
弊社の製品戦略も他社と同じく生成AIにフォーカスしていたのも重なり、私もその潮流に乗った印象が強いです。
その次に多かったのは、データガバナンス、アンチパターンあたりのテーマでしょうか。
データガバナンスは多くの企業が近年命題に掲げつつも、アプローチ方法に悩んでいるケースが多いので、色んな角度から事例や支える技術について紹介をする機会が多かったです。
一方、データ品質とオブザーバビリティについては、データガバナンス等のテーマで一部取り入れつつも、講演タイトルなどには全く含めることがなかったことに気づきました。
ただ、海外のデータマネジメントのトレンドとしてはデータ品質は高い注目を浴びており、また、2023年後半からは金融機関のお客様を中心にデータ品質について議論する機会も増えてきているため、2024年は少しそこにフォーカスした事例紹介なども検討しようかとも思います。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
本記事が、データマネジメントを推進する人たちにとって、少しでも参考になっていれば幸いです。
なお、各講演の詳細を知りたい! ともし関心を持っていただいた方がいましたら、Twitterのもりたくまでご連絡ください。