この記事は インフォマティカ Advent Calendar 2023 のDay23の記事として書かれています。
はじめに
データマネジメントのエバンジェリストをやっているもりたくです。
本日は、誰もが気になるデータマネジメントの定量効果について語った事例や参考資料集をご紹介したいと思います。
この記事を読んだ人が「このデータマネジメントの施策って本当に投資する価値あるの?」と経営陣から聞かれた時、「他社ではこういう効果が出ているので我々も期待できますよ!」と回答できるような参考情報を提供できれば幸いです。
データ統合(iPaaSのROIは平均328%)
Nucleus Research調査による、インフォマティカのiPaaSとしてのROIに関して、以下リンク先よりレポートを参照できます。
https://www.informatica.com/lp/nucleus-research-roi-guidebook-informatica-ipaas_3916.html
その中には以下などの記載があります。
- iPaaSの平均ROIは328%
- 平均投資回収期間は4.2ヶ月
- 年間平均の保守・管理コストは約34万ドル削減
- KPI開発の高速化90%
- プラットフォームのメンテナンス時間を50%削減
- ETLの開発保守の工数を90%削減
API統合、アプリケーション統合(顧客の融資額の増加 平均19%)
nCino社のAPI統合の取り組みとその定量効果に関して、以下リンク先よりレポートを参照できます。
https://www.informatica.com/jp/about-us/customers/customer-success-stories/ncino.html
その中には以下などの記載があります。
- リアルタイム統合の市場投入までの時間短縮 30%
- 銀行の融資実行時間と締め切り時間短縮 34%
- 顧客の融資額の増加 平均19%
- 運用コストの削減 17%
マスタデータ管理(9か月で売上が10%増加)
PUMA社のマスタデータ管理の取り組みとその定量効果に関して、以下リンク先よりレポートを参照できます。
https://www.informatica.com/jp/about-us/customers/customer-success-stories/puma.html
その中には以下などの記載があります。
Informatica MDM – Product 360 により、プーマは豊富で一貫した製品情報を世界中に提供できるようになり、同社の製品情報管理のビジョンを達成できるようになりました。最大20%の高い顧客コンバージョン率をサポートできるようになりました。アジリティの向上と市場投入までの時間の短縮により、9か月で売上が10%増加しました。
マスタデータ管理(収益増加 12倍)
Union Bank社のマスタデータ管理の取り組みとその定量効果に関して、以下リンク先よりレポートを参照できます。
https://www.informatica.com/jp/about-us/customers/customer-success-stories/union-bank-of-the-philippines.html
その中には以下などの記載があります。
- 収益増加 12倍
- 顧客のローン承認期間 4~6週間→3分へ
- データ品質 35%→100%
- アンチマネーロンダリングのレポート作成 5倍高速化
マスタデータ管理含むグローバルDX、顧客体験改善(219億円の黒字、V字回復)
ASICS社のグローバルDXの取り組みとその定量効果に関して、以下リンク先より記事を参照できます。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/nc/18/020600014/030800111/
その中には以下などの記載があります。
そのアシックスは経営でも反転攻勢のさなかにある。2021年12月期の売上高は4040億円と、2017年12月期以来の4000億円台を回復。営業損益も新型コロナウイルス禍の直撃で赤字に陥った前期から一転して219億円の黒字を達成し、5年ぶりの水準でV字回復を印象づけた。
データガバナンス(予測モデルの設計と保守時間の削減 60-70%)
Banco ABC Brazil社のデータガバナンスの取り組みとその定量効果に関して、以下リンク先よりレポートを参照できます。
https://www.informatica.com/about-us/customers/customer-success-stories/banco-abc-brasil.html
その中には以下などの記載があります。
- より優れた予測モデルの開発を高速化 50%
- 予測モデルの設計と保守時間の削減 60-70%
- 従業員のデータを使用した業務レポートの作成率 50%
- 数ヶ月で構築できたBIダッシュボードの数 500+
- 与信申請プロセスの自動化率 70%
データガバナンス(データの探索・理解の労力削減 90%)
弊社が過去に公開していたデータガバナンスのROIレポートによれば、以下のような効果が報告されています。
- データクレンジングの労力削減 50%
- データの探索・理解の労力削減 90%
- データのリクエスト対応の労力削減 50%
- 情報漏洩に伴うコスト削減 150万ドル/件
- 価値の高い活動に利用できるようになった割合 50%
データ統合マネジメント基盤全般(データ抽出・加工の準備工程を短縮 1/10へ)
オープンな国内事例としては、三菱重工業様に関するインフォマティカのプレスリリースが参考になります。
https://www.informatica.com/jp/about-us/news/news-releases/2022/06/20220623-mitsubishi-heavy-industries-introduces-informatica-solutions-in-building-a-data-integration-management-platform-that-integrates-data-for-the-entire-group.html
その中には以下などの記載があります。
収集・加工・集計といった付加価値を生まないデータ利活用の準備工程を、従来の10分の1程度に短縮できる
データ基盤を統合したことで、管理運営にかかっていた総コストは約50%削減できると見込んでいます
データ分析基盤全般(データ処理コスト40%削減)
オープンな国内事例としては、伊藤忠商事様がプレスリリースが参考になります。
以下4項目に関して、各々期待できる定量効果が紹介されています。
- データの収集・整備
- データ加工・AI開発
- データ蓄積・処理
- 運用・監視
伊藤忠商事株式会社様 "グループデータ活用基盤整備による収益性重視のDX強化について" より引用
製造業企業におけるデータを中心としたソフトウェアビジネスの成長(2018年 15億ドル>2022年 90億ドル)
製造業として世界でも最も有名な企業の一つであるHoneywell社の決算レポートを見ると、興味深い数字が見えてきます。
2018年の数字はこちらを参照。(3 Become a Software-industrial Companyの章を参照)
https://www.americabu.com/honeywell
- 2018年のSW関連サービスの売上 15億ドル
2022年の数字はこちらを参照。
https://investor.honeywell.com/static-files/bcad5ff0-8046-496c-aea3-af0024981dcc
- 2022年の総売上 355億ドル
- 2022年のSW関連サービスの売上 90億ドル(総売上の約25%)
つまり、Honeywell社は、約4年間でモノ売りからコト売りへのビジネス変革を成功させていると言えます。
なお、彼らの包括的なデータマネジメントの取り組みはこちらのビデオから参照することができます。
https://video.informatica.com/detail/video/6183870247001
データのROI全般(気象データの価値は315億ドル)
ビジネスおよびオペレーションの最優先事項としてデータ管理とアナリティクスの実務を向上させるために発足した世界規模の団体、EDM Councilは多くのROI関連の無料レポートを提供しています。
以下よりダウンロードできますので、ぜひご参考ください。
https://edmcouncil.org/groups-leadership-forums/data-roi/
レポートは以下の種類に分けて提供されています。
- New! Data ROI Report on Data as a National Treasure(国別のデータ資産の価値)
- Data ROI Report on DataCo(ビジネス目標とデータの関係)
- 2023 Data ROI Report on Data as an Asset(企業内のデータROIの計算方法)
- 2023 Data Office ROI Report: Playbook v1.1(データ課題とデータオフィスのROI)
例えば、"New! Data ROI Report on Data as a National Treasure"レポートの中では、以下のような情報を知ることができます。
- 米国のオープンデータの価値は、2560億ドル
- 例えば、その中の気象データの価値は、315億ドル
- 米国の世帯は天気予報に平均10.5セントの価値を置いており、これは年間315億ドルに及ぶとのこと
まとめ
以上、私がお客様によくご紹介する印象的な定量効果を示した、オープンな事例やレポートになります。
データマネジメントは、その取組みそのものがビジネスのトップラインを上げるものではないため、その定量効果を経営陣に説明するのは簡単ではありません。
そこで、「他社ではこういう領域を改善することでこんな効果を生んでいる。従って、我々も同じような効果を生むことを期待して前に進ませてください!」という説明をする材料として、これらの情報が参考になれば幸いです。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。