Oracle Database@Azureは、2023年に発表された、OCIのデータベースサービスがAzureでも利用可能になるというサービスです。
今年のOracle Cloud Worldでも発表があったので、ざっくりと情報を整理したいと思います!
以前から、Oracle Interconnect for Azureや、Oracle Database Service for Microsoft Azureといったサービスがリリースされていますが、Oracle Databse@Azureはこれらとは異なるサービス内容です。
というのも、上記2つのサービスは、InterconnectでOCIとAzureの環境間で相互接続をしていました。
ですが、Oracle Database@Azureは、Azureのデータセンター内にOCI上のデータベースサービスが配置されるため、今まで以上に低レイテンシーでAzureでOracle Databaseが利用できます。
まとめ
- Azureのデータセンター内にOCIのデータベース・サービスが配置
- Oracle Interconnect for Azureよりも低レイテンシーでOracle Databaseが利用可能
- 利用可能なソリューションは、Oracle Exadata Cloud Service、Oracle Autonomous Database、Oracle Database Zero Data Loss Autonomous Recovery Serviceで、OCI GoldenGateは今後利用可能予定
- Azureのクレジットで購入、既存ライセンスのBYOLも可能(どうやらPAYGでも使えるようです)
- サポートはAzureとOracleが共同でサポート
- 執筆時点(2024年9月17日)では、日本国内のリージョンでは使用不可
- Azure 東日本リージョンでは今後利用可能になる旨がアナウンスされている(西日本は利用可能予定か明記されていない)
アーキテクチャ
この方の図が分かりやすいです。
つまり、物理的にもネットワーク的にも近いOCIのADがAzureのデータセンター内に子サイトを構築しているということです。この子サイトのことをOCI Podと呼びます。
OCI Podは一般的なOCIリージョンやデータセンターと同じインフラがあり、同じ技術が使われています。そのため、セキュリティ・アップデートやパッチ適用、セキュリティ、運用制御はOCIと同様です。
AzureのVNetとOCIのVCN間は、VNet側に作成したプライベートIPとVCN側で作成したVNICとの間に仮想のネットワークマッピングを作成し、プライベート・ネットワーク接続を実現しています。
入手方法
Azure Marketplaceから、Oracle Database@Azureのプライベート・オファーを購入する必要があります。購入後、サブスクリプションが完了すると、他のAzureサービス同様にAzureリソースとして表示されるようになります。
2024年9月20日更新
ADBに限り、PAYG限定でパブリック・オファーで利用できるようです。ExaCSは使えないのと、一度PAYGにすると、Annual Flexに戻せないことに注意が必要です。
請求と支払いはAzureを介して行うため、Azureのクレジットを消費することになります。ライセンスのBYOLも可能です。
利用可能サービス
現時点では、Oracle Exadata Cloud Service(ExaCS)かOracle Autonomous Database(ADB)が利用可能で、Oracle Base Database Service(BaseDB)は利用不可です。
周辺サービスとしては、既にOracle Database Zero Data Loss Autonomous Recovery Service(ZRCV)が利用可能で、今後OCI GoldenGateが利用可能になる予定です。
プロビジョニング(ExaCSの場合)
プロセスはOCIでプロビジョニングする時と変わりません。
ですが、AzureポータルでExadataインフラストラクチャをプロビジョニングする必要があります。Azureポータルでは、ホストやOCPUのスケーリング、ソフトウェアやインフラストラクチャのメンテナンスを行うことができます。
OCIコンソールは完全にデータベース固有の操作しか実行できません。DB HomeやCDB、PDBの作成、Data Guardや自動バックアップの設定、Grid InfrastructreやDatabaseのアップデート、マイグレーションなどを行うことができます。
セキュリティ、運用監視
セキュリティや運用制御については上記のようにOCIと同様の考え方です。
Azure MonitorでExadataのインフラストラクチャのメトリックの監視ができ、Log Analyticsでログ分析が可能です。Database側のメトリックについてもAzure側での監視が可能なようです。
サポート体制
サポートは共同サポートという形になっています。具体的には、OCIテナンシやデータベース関連はOCI側が、VNetやEntra IDなどはAzure側が対応します。
参考文献
本文中にリンクを貼ったもの以外にもいくつか参照したリンク等があるので、残しておきます。
Oracle Database@Azureに関するFAQ
Oracle Autonomous Database Now Generally Available on Oracle Database@Azure
Oracle Database@Azure Deep-Dive
(実際に作成されている...すごい)
今回は以上です。
DeepDive的なものは、日本リージョンで使えるようになった頃、検証内容とともに書きたいと思います!