Twitterの従業員がわずか3週間で3分の1に!
11月に大量のレイオフが話題になったTwitter。もともと7500人いた従業員が2700人まで激減したこの騒動、まだ記憶に新しいと思います。
イーロン・マスク氏のこの行動が英断であったかどうかはさておき、解雇が難しいとされる日本では、なかなか想像しづらいものがありますよね。
海外や外資企業ではある日突然解雇されてネットワークにアクセスできない、PCにも触れない、そもそもオフィスに入れないなんて話はよく聞きますが、今回ふと、あることが気になりました。それは、、、
海外企業って、引き継ぎはどうしてるの??
「引き継ぎ」、、、嫌ですねぇ。エンジニアで引き継ぎが好きな人ってのは見たことがありません。
でも、プロジェクトから抜ける時、担当が代わる時、転職する時。日本では当然のように求められる作業が引き継ぎですよね。
しかし、海外企業や外資は、即日解雇されてしまう!(即日ばかりじゃないでしょうけど)
ということは引き継ぎも無いはずだ!
であれば、引き継ぎが無くても済む組織形態のはず!!
それを真似すれば引き継ぎしなくても済むんじゃないか!!!という魂胆で、ちょっと調べてみました。
ちなみに筆者は海外でも外資でも働いたことがないため、情報は完全にネット頼りです。ご了承ください。
学び1 : 「引き継ぎ?そんなものはすべきではない!」という文化がある?
上記のブログでは
『引き継ぎはすべきではない。引き継ぎをするような企業は古びて市場競争に破れ、破綻する』
という意見が紹介されています。
なかなかに衝撃的。どう引き継ぐかという調査をしていたのに、いきなり全否定です。
しかしアメリカの会社で引き継ぎがない理由の2つ目として、下記が挙げられています。
『いきなりクビになる』のは、どの会社でもどの地位でもまったく日常茶飯事ですし、そうすることが合法なので、誰かが突然解雇されたとき後任者がまだ採用されていないために、『引き継ぎ』の期間を設けることができないからです。また、解雇通告から物理的な退去までの時間が昔に比べて短くなった理由のひとつには、復讐の実行をできるだけ難しくするという目的があります。突然解雇されるプログラマーの中には、人知れずハッキング能力が高く、強い復讐心を秘めた人がいます。下手に、解雇通告後たとえ4時間でも会社に残れる時間を与えると、何千人もの社員が利用しているサーバー上の貴重なデータを、削除するのではなく、(高等なプログラムを使って、被害の発見に時間がかかるよう) 巧妙に改竄してから去る人がいるからです。まして、解雇が決まった社員に引き継ぎを頼むなどもってのほかで、(場合によっては) 非常に危険なことになるのです。
これは理由として一般的ですよね。
そもそも「君は3ヶ月後に解雇ね」なんて言われたらまともに引き継ぐわけもなく。
復讐心からなにかするんじゃないかと不安になるわけで、企業としては解雇通告したらすぐにシステムからシャットアウトしたい。だから引き継ぎが出来ない。
つまり企業に解雇の選択肢がある限り、即日解雇が最も安全な方法であると。
逆に「引き継ぎ」というのは企業による解雇が難しい国にのみ発生する文化と言えるかもしれません。
個人的には、こちらの方が本音なのではないかという気がしています。。「引き継ぎはすべきではない」のではなく、「現実的に引き継ぎが出来ない」のでは。
引き継ぎせずに前任者になかった新方針、新手法、新企画を採用していくというのは、なるほど聞こえはいいですが、とはいえ現実的にいきなり全てをリセットできるわけはありません。何か新しいプロジェクトを起こすにしても、今動いているプロジェクトをちゃんと畳む必要があるはず。
それはどうやっているのでしょう。。
学び2: 引き継ぎに必要な情報は後任者が探す
こちらは外資で実際に働いていた方のブログで、かなり実感が湧く内容ですね。
上司から仕事を説明され
キーパーソンを教えてもらったら
さあ、宝探しの始まりです。
この部分、海外・外資企業で働く人の適性を示していると思います。
情報を自分で探すことを「宝探し」と考えられる人が向いているということでしょうか。
これも日系企業にしてみたらちょっと考えづらいですよね。引き継ぎがしっかりしていないとそれだけで後任者のモチベーションは下がりまくりそうです。。
なんで後任者のモチベーションが高いのか?
これは考えてみたら当然で、自分もいつ解雇されるかわからないからですよね。
誰かが仕事を与えてくれるのを待っているのではなく、自分から情報を集めて仕事出来る人間が評価されるという、
これはやはり仕事に対する文化の違いとしか言いようがありません。
- 企業側が強いから解雇が容易であるし、
- 企業側が強いから後任者は前任者が抜けた穴をカバーする
という文化が成り立っていると思います。
そもそも従業員側が強い傾向にある日系企業では真似しづらい文化です。
最後に: 日系企業が取り入れられること
では、何も取り入れられることがないかというと、そんなことはないと思います。
考えてみれば今では当たり前のように使われているGitHubなどのようなバージョン管理ツールも、クラウドストレージも、開発におけるアーキテクチャやOSS、そもそもオブジェクト指向に至るまで、「後からいきなり誰かアサインされてもわかりやすいように」という思想でデザインされているように思います。
こうしたイノベーションは、組織変化の激しい海外だからこそ生まれたのかなと思います。
やはり引き継げる情報は多い方がいいわけです。そうしたニーズから生まれた成果物がこれらのソリューションです。
日系企業においては即日解雇は日常あまり起こりえませんが、体調不良であったり家庭の事情であったり、急遽退職しなきゃいけないという事例は多々あります。
様々な事態に備えて、「後からいきなり誰かアサインされてもわかりやすいように」これらの成果物を取り入れていくことが良いのかなと思っています!
余談
結局「引き継ぎ」のありなしは文化の違いという結論ではありますが、そうは言っても従業員の3分の1が辞めてしまうと、後任者はどんなに宝探しをしたとしても見つからない財宝があるんじゃないかなという気がしています。。。