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2011年度 広島大学 数学【3】(微分・積分)

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問題文

次の問いに答えよ。

(1)$a,b,c$を定数とする。関数

f(x) = a \cos^2 x + 2b \cos x \sin x + c \sin^2 x

が定数となるための$a,b,c$の条件を求めよ。

(2)関数

g(x) = 4 \cos^2 x + 2 \cos x \sin x + \sin^2 x - \frac52\ \ \left( -\frac{\pi}{4} \le x \le \frac{\pi}{4} \right)

が最大値をとる$x$の値を$\theta$とする。$\cos 2\theta,\sin 2\theta$の値を求めよ。

(3)(2)の関数$g(x)$と$\theta$に対して、定積分

\int_0^{\theta} g(x) dx

を求めよ。

読んでみて思ったこと

  • 素直に計算すればできるはず。
  • 当時の記憶では完答したと思うけど、合ってるかは分からん!

解答

(1)

導関数が任意の$x$で0という式を立ててもいいけど、式が簡単になるわけでもない。
ということで、$f(x)$に特定の値を代入して$a,b,c$の候補を決め、逆に$a,b,c$が候補の値のときに$f(x)$が定数になるか確認する方針でいく。

$k$を実数の定数として

f(x) = a \cos^2 x + 2b \cos x \sin x + c \sin^2 x = k\ \cdots\ [1]

とおく。
[1]に$x = 0, \frac{\pi}{4}, \frac{\pi}{2}$を代入すると

\begin{align}
f(0) &= a = k\\
f\left( \frac{\pi}{4} \right) &= \frac{a}{2} + b + \frac{c}{2} = k\\
f \left( \frac{\pi}{2} \right) &= c = k
\end{align}

が得られる。これらより$a=c=k,b=0$となる。
逆に$a,b,c$がこの値であるとき、$f(x) = k \cos^2 x + k \sin^2 x = k$となり定数である。
よって$f(x)$が定数となる条件は$a=c,b=0$

(2)

最大値を取る$x$の値を求めなくて良いということは、微分して導関数を書かなくても解ける可能性が高い。
⇒三角関数の公式を駆使してゴリゴリ変形する。
せっかく$2\cos x \sin x$があるから$\sin 2x,\cos 2x$に揃える。
私が解いたときは少し違う変形をしたはず。(おまけで解説)

\begin{align}
g(x) &= 4 \cos^2 x + 2 \cos x \sin x + \sin^2 x - \frac52\\
&= 4 \cdot \frac{1 + \cos 2x}{2} + \sin 2x + \frac{1 - \cos 2x}{2} - \frac25\\
&= 2 + 2\cos 2x + \sin 2x + \frac12 - \frac12 \cos 2x - \frac25\\
&= \sin 2x + \frac32 \cos 2x\\
&= \frac{\sqrt{13}}{2} \sin (2x + \alpha)
\end{align}

ただし$\alpha$は$\sin \alpha = \frac{3}{\sqrt{13}},\cos \alpha = \frac{2}{\sqrt{13}}$を満たす実数である。
$-\frac{\pi}{4} \le x \le \frac{\pi}{4}$より$-\frac{\pi}{2} + \alpha \le 2x + \alpha \le \frac{\pi}{2} + \alpha$なので、$g(x)$は$2x + \alpha = \frac{\pi}{2}$のとき最大値をとる。

$2x + \alpha = \frac{\pi}{2}\ \ \Leftrightarrow\ \ x = \frac{\pi}{4} - \frac{\alpha}{2} = \theta$なので、

\begin{align}
\sin 2\theta &= \sin \left( \frac{\pi}{2} - \alpha \right) = \cos \alpha = \frac{2}{\sqrt{13}}\\
\cos 2\theta &= \cos \left( \frac{\pi}{2} - \alpha \right) = \sin \alpha = \frac{3}{\sqrt{13}}
\end{align}

(3)

$g(x)$のもとの形を積分するのではなく、(2)で変形した形を積分する。

\begin{align}
\int_0^{\theta} g(x)dx &= \int_0^{\theta} \left( \sin 2x + \frac32 \cos 2x \right)dx\\
&= \left[ -\frac12 \cos 2x + \frac34 \sin 2x \right]_0^{\theta}\\
&= -\frac12 \cos 2\theta + \frac34 \sin 2\theta + \frac12\\
&= -\frac{3}{2\sqrt{13}} + \frac{3}{2\sqrt{13}} + \frac12\ (\because (2))\\
&= \frac12
\end{align}

おまけ(別解コーナー)

(2)

\begin{align}
g(x) &= 4 \cos^2 x + 2 \cos x \sin x + \sin^2 x - \frac52\\
&= 3 \cos^2 x + \sin 2x + (\cos^2 x + \sin^2 x) - \frac52\\
&= 3 \cos^2 x + \sin 2x - \frac32\ \cdots\ [2]\\
&= 3 \cdot \frac{1 + \cos 2x}{2} + \sin 2x - \frac32\\
&= \frac32 \cos 2x + \sin 2x\ \cdots\ [3]
\end{align}

[3]から先は本解と同じ計算です。また[3]を微分するのは悪手です。合成できることに気づきましょう。

もし半角の公式が思い出せなくて[2]を微分した場合

\begin{align}
g'(x) &= -6 \cos x \sin x + 2 \cos 2x = -3 \sin 2x + 2 \cos 2x\\
& = \sqrt{13} \left( -\frac{3}{\sqrt{13}} \sin 2x + \frac{2}{\sqrt{13}} \cos 2x \right)\\
&= \sqrt{13} \sin (2x + \beta)
\end{align}

ただし$\beta$は$\sin \beta = \frac{2}{\sqrt{13}},\ \cos \beta = -\frac{3}{\sqrt{13}}$を満たす実数($\frac{\pi}{2} < \beta < \pi$)。
$-\frac{\pi}{4} \le x \le \frac{\pi}{4}$より$-\frac{\pi}{2} + \beta \le 2x + \beta \le \frac{\pi}{2} + \beta$なので、$g'(x) = 0$のとき$2x + \beta = \pi\ \ \Leftrightarrow\ \ x = \frac{\pi}{2} - \frac{\beta}{2}$。
増減表は省略するけど、$g'(x)$は$x = \frac{\pi}{2} - \frac{\beta}{2}$を境に+から-に転じるので、$g(x)$は上に凸で$x = \frac{\pi}{2} - \frac{\beta}{2}$において最大値をとる。
すなわち$2\theta + \beta = \pi$になる。
よって

\begin{align}
\sin 2\theta &= \sin (\pi - \beta) = \sin \beta = \frac{2}{\sqrt{13}}\\
\cos 2\theta &= \cos (\pi - \beta) = -\cos \beta = \frac{3}{\sqrt{13}}
\end{align}

以上で本解と同じ答えが出たけど、記述する日本語を考えるのが億劫だし計算多くてミスりそうです。
特に$\beta$の範囲が$\frac{\pi}{2}$を含んでいないので、$g'(x)=0$のときクセで$2x + \beta = 0$とやるとミスです。

というわけで、三角関数の中身が異なるときはなんとか揃えられないか考えて、揃えられたら合成しましょう。
揃えられないときは計算ミスを疑いましょう。
それだけ、入試問題というのは正しく計算したときだけキレイになるようにできています。

解いてみて思ったこと

  • やっぱり現役で解いた時の答えがあってる気がしてきた。(3)の積分でキレイにルートがある項が消えたところで思い出した。
  • 広島大くらいのレベルだと、見た目だけゴツそうで実際は意図的にそうさせただけで中身はなんてことない問題がちょいちょいある。
  • 三角関数って値域がすごく狭くて関数の最大・最小を求めるときに三角関数があると助かるよね。極座標変換からの合成が大好き。

次の第4問はいろんな問題集で取り上げられている有名問題なので、お楽しみに。

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