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2020年度 広島大学 数学【5】(確率)※条件付き確率の覚え方付き

Last updated at Posted at 2021-08-03

問題文

1個のサイコロを3回投げる。1回目に出た目を$a_1$、2回目に出た目を$a_2$、3回目に出た目を$a_3$とする。次に、1枚の硬貨を3回投げる。$k=1,2,3$に対し、$k$回目に表が出た場合は$b_k=1$、裏が出た場合は$b_k=a_k$とおく。ベクトル$\overrightarrow{a}=(a_1,a_2,a_3)$、$\overrightarrow{b}=(b_1,b_2,b_3)$を考える。次の問に答えよ。

(1)$a_1+a_2+a_3=7$である確率を求めよ。

(2)$b_1=1$である確率を求めよ。

(3)$\overrightarrow{b}=(1,1,1)$であったとき、$\overrightarrow{a}=(1,1,5)$である条件付き確率を求めよ。

(4)$\overrightarrow{b}=(1,1,1)$であったとき、$a_1+a_2+a_3=7$である条件付き確率を求めよ。

読んでみて思ったこと

  • 確率嫌い。
  • 現役時代に条件付き確率を習ってない(教科書に載ってない時代だった)
  • 自分だったら【1】~【4】で完答を目指して、【5】は(2)まで解いて残りは放置する。
  • とりあえずどういう状況なのか、手を動かすしかないね。

解いてみた

(1)
$a_1+a_2+a_3=7$となる事象を$A$とし、$A$が起きる確率を$P(A)$とする。
$\{ a_1,a_2,a_3 \}$の組み合わせは

\{ a_1,a_2,a_3 \} = \{ 1,1,5 \},\ \{ 1,2,4 \},\ \{ 1,3,3 \},\ \{ 2,2,3 \}

である。よって

P(A) = \frac{1}{6^3}(3 + 3! + 3 + 3) = \frac{15}{216} = \frac{5}{72}

(2)

問題文通りに$b_1=1$となる場合を考えると
硬貨を3回投げたとき、1回目に表が出た場合は$b_1=1$、裏が出た場合は$b_1=a_1=1$である。
前者では硬貨が表ならサイコロの出目にかかわらず$b_1=1$で、後者では$a_1=1$である上で硬貨が裏でなければならない。

$b_1=1$となるのは次の2つの場合である。

  1. 1枚の硬貨を3回投げたとき1回目が表である
  2. $a_1=1$で、1枚の硬貨を3回投げたとき1回目が裏である

1.においてサイコロの目の出方は任意なので、確率は「1枚の硬貨を1回投げて表がでる確率」に等しく$\frac12$。
2.において、$a_1=1$である確率は$\frac16$、硬貨を投げて裏がでる確率が$\frac12$なので$\frac16 \cdot \frac12 = \frac{1}{12}$
よって求める確率は

\frac12 + \frac{1}{12} = \frac{7}{12}

(3)

★条件付き確率の公式★(自分が覚えた方法)

事象$B$が発生するという条件のもとで事象$A$が発生する条件付き確率は

P_B(A) = \frac{P(A \cap B)}{P(B)}

とよく表されるが、もともとは

P(B)P_B(A) = P(A \cap B)

という式だった。
例えば自然数$n\ (1 \le n \le 100)$が3で割り切れる事象を$A$、5で割り切れる事象を$B$、ある事象$C$が発生する確率を$P(C)$と表す。
$P(A \cap B)$は$n$が15で割り切れる確率なので

P(A \cap B) = \frac{6}{100} = \frac{3}{50}

である。
また別の見方をすれば「まず$n$が5で割り切れる上で$n$が3で割り切れる場合、$n$は15の倍数である」と言える。これは「①考える自然数の集合を$X_{all}=\{1,2,3,\cdots,100\}$から$X_5=\{5,10,15,\cdots,100\}$に絞った」上で「②選んだ自然数が3で割り切れる」ことに相当する。
①で$X_{all}$から選ばれた$n$が5で割り切れる確率は$P(B)=\frac{20}{100}=\frac15$、②で$X_5$から選ばれた$n$が3で割り切れる確率は$P_B(A)=\frac{6}{20}=\frac{3}{10}$である。
よって

P(B) P_B(A) = \frac15 \cdot \frac{3}{10} = \frac{3}{50} = P(A \cap B)

が成り立つ。
「$B$という条件のもとで$A$が発生する」というのは、全体集合(52枚のトランプ、ボールが入った袋、自然数の部分集合、etc.)のうち「条件$B$を満たす元を全体集合として条件$A$を満たす元が選ばれる」ことと等しい。

$\overrightarrow{b}=(1,1,1)$となるのは、(2)の状況がコイントスの1回目・2回目・3回目で起きたことに相当するから、確率は$( \frac{7}{12} )^3$。
$\overrightarrow{a}=(1,1,5)$(サイコロの出目が順に$1,1,5$)かつ$\overrightarrow{b}=(1,1,1)$となるのは、コイントスの1回目・2回目は表裏どっちでも、3回目は表でなければならない。

$\overrightarrow{a}=(1,1,5)$となる事象を$A'$、$\overrightarrow{b}=(1,1,1)$となる事象を$B$と表す。
事象$B$は「$b_1=1$かつ$b_2=1$かつ$b_3=1$」と同値で、$b_k=1\ (k=1,2,3)$となる確率は(2)から各$k$で$\frac{7}{12}$なので

P(B) = \left( \frac{7}{12} \right)^3 = \frac{7^3}{2^6 \cdot 3^3}

(後で割るから素因数分解しておくと約分しやすいよ👆)
事象$B \cap A'$は、サイコロの出目が順に$1,1,5$であり、硬貨を投げた結果のうち1回目、2回目は任意、3回目は表が出る必要がある。
よって確率は

P(B \cap A') = \left( \frac16 \right)^3 \cdot \frac12 = \frac{1}{2^4 \cdot 3^3}

したがって求める条件付き確率は

P_B(A') = \frac{P(B \cap A')}{P(B)} = \frac{1}{2^4 \cdot 3^3} \cdot \frac{2^6 \cdot 3^3}{7^3} = \frac{2^2}{7^3} = \frac{4}{343}

(4)
$\{ a_1,a_2,a_3 \}=\{ 1,1,5 \}$となる事象を$A_1$、$\{ a_1,a_2,a_3 \}=\{ 1,2,4 \}$となる事象を$A_2$、$\{ a_1,a_2,a_3 \}=\{ 1,3,3 \}$となる事象を$A_3$、$\{ a_1,a_2,a_3 \}=\{ 2,2,3 \}$となる事象を$A_4$と表すと、(1)より$A=A_1 \cup A_2 \cup A_3 \cup A_4$である。

(a)$\{ a_1,a_2,a_3 \}=\{ 1,1,5 \}$かつ$\overrightarrow{b}=(1,1,1)$のとき(これは(3)と同じ)

P(A_1 \cap B) = \frac{3}{6^3} \cdot \frac12 = \frac{3}{6^3 \cdot 2}

(b)$\{ a_1,a_2,a_3 \}=\{ 1,2,4 \}$かつ$\overrightarrow{b}=(1,1,1)$のとき(コイントスの結果が任意・表・表)

P(A_2 \cap B) = \frac{6}{6^3} \cdot \frac14 = \frac{6}{6^3 \cdot 2^2}

(c)$\{ a_1,a_2,a_3 \}=\{ 1,3,3 \}$かつ$\overrightarrow{b}=(1,1,1)$のとき(コイントスの結果が任意・表・表)

P(A_3 \cap B) = \frac{3}{6^3} \cdot \frac14 = \frac{3}{6^3 \cdot 2^2}

(d)$\{ a_1,a_2,a_3 \}=\{ 2,2,3 \}$かつ$\overrightarrow{b}=(1,1,1)$のとき(コイントスの結果が表・表・表)

P(A_4 \cap B) = \frac{3}{6^3} \cdot \frac18 = \frac{3}{6^3 \cdot 2^3}

(a)~(d)より

\begin{align}
P(A \cap B) &= P(A_1 \cap B) + P(A_2 \cap B) + P(A_3 \cap B) + P(A_4 \cap B)\\
&= \frac{3}{6^3 \cdot 2} + \frac{6}{6^3 \cdot 2^2} + \frac{3}{6^3 \cdot 2^2} + \frac{3}{6^3 \cdot 2^3}\\
&= \frac{12 + 12 + 6 + 3}{6^3 \cdot 2^3}\\
&= \frac{33}{6^3 \cdot 2^3}\\
&= \frac{11}{3^2 \cdot 2^6}
\end{align} 

したがって、求める条件付き確率は

P_B(A) = \frac{P(A \cap B)}{P(B)} = \frac{11}{3^2 \cdot 2^6} \cdot \frac{2^6 \cdot 3^3}{7^3} = \frac{33}{343}

解いてみて思ったこと

  • 確率嫌い。
  • ベクトルって書いてあるからベクトルの問題になるのかとおもったら、全然ベクトルじゃなかった。
  • 確率って身近な数学のひとつのはずなのに、入試問題って非現実的な(入試問題のために人為的につくられたシチュエーションの)問題が多いよね。だから嫌いだった。

次回予告

私が実際に解いた2011年度の問題を解きます。
旧課程なので行列の問題が出ます。

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