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努力は報われるか?をベイズ理論で読み解く

Last updated at Posted at 2018-12-24

「努力すれば必ず成功する」の裏返しが「成功しなければ努力していない証拠」ではないことを証明します。と言いますか、感覚的に努力しないと成功しないだろうというのは分かるけど、最大限努力しても成功するのは「運次第」というところもあって、じゃあ、努力せずに棚ぼたを待てばよいかと言うとそうでもなく。

どういう戦略を取ればよいだろう?っていうことですね。

「努力」と「成功」の関連性を考える

最初に、努力と成功との間には関連性があるということを仮定して、ベイズの定理から

f(θ|x) = f(x|θ)・f(θ)

努力の分布 f(θ) と 成功の分布 f(θ|x) を考えます。努力の分布が「事前分布」、成功の分布が「事後分布」なので、相関関数 f(x|θ) が「努力をすれば成功する」という関連の相関関数になります。

相関が 1 または 0 の場合

努力すれば必ず成功する場合には、正の相関を表し 1.0 になります。例えば、10% の人が努力をした後に、10% の人が成功すると仮定すると、

努力(A)と成功(B)の関連は次のようになります。

001.jpg

逆に努力と成功の関連が全くない場合(両者が独立している場合)は、次のような比率となります。

002.jpg

完全に相関がある場合は、努力しないければ(~A)、成功しない(~B)ことが確実ですね。逆に、相関が全くなければ努力しても努力しなくても成功する確率(B)は一緒になります。

相関が 0.9 と 0.5 の場合

さて、完全に相関がある場合と全く相関がない場合が確認できたので、途中の相関を考えてみましょう。本来ならば、努力する事に対してなんらかの分布(正規分布とか)を適用するのが良いのですが、計算を楽にするために(面倒くさいとも言う)一様分布であると仮定します。すると数値解析しやすくなるので、概要を使うには便利。いずれ、正規分布を使って計算もしてみましょう。

相関が 0.9 の場合

003.jpg

相関が 0.5 の場合

004.jpg

相関が 0.9 というのは「努力9割、運1割」という感じで、相関が 0.5 というのは「努力5割、運5割」というイメージです。ちなみに、無相関である 0 のときは、サイコロを振って成功か失敗かを決めるランダムなイメージですね。

この表を見る限り、努力すれば9割り方報われるだろうし、運の要素が半分だとしても、努力しておけば成功と失敗とが半々位だから感覚的な成功率とあっているような気がします。

努力した人 > 成功した人 の場合を考える

しかし、実際問題として、努力した人の数と成功する人の数がイコールってことはないわけで、大体において成功する人の数ってのは少ないものです。成功する人の枠というものを考えます。

半分の人が努力をして、1割の人が成功するパターン

全体の50%の人が努力しているとしましょう。そして全体の10%が成功すると考えると、相関が 1 のときと 0 のときは次の表になります。

005.jpg

相関が 1 の場合でも、努力している(A)からといって成功するわけではないのは、成功する人の割合が少ないので仕方がありません。努力していても成功する人の数は2割(全体では10%なので)にすぎません。当然、努力していない人は全体が失敗(~B)します。

逆に相関がない場合 0 の場合には、5% と 45% ずつになります。

相関が 0.9 と 0.5 の場合

さっきと同じようにちょっとだけ運の要素が入った相関が 0.9 の場合と努力と運が半々のときの 0.5 の場合を計算します。

006.jpg

0.9 の時は1/5程度、0.5 の時は 1/7 程度になります。努力した人=成功する人 のときとは随分確率が違います。

努力する人が1割、成功する人が1% のパターン

もう少し、成功する人の割合が少ない場合も計算してみます。全体で努力する人が10%いるけど、成功する人は1%しかいない場合です。何かのオーディションとかコンクールとかを考えてみてください。

まずは相関が 1 のときと 0 のときを計算しておきます。

007.jpg

これをベースにして、相関が 0.9 と 0.5 のときを計算します。

008.jpg

努力が成功に十分に寄与する場合(相関が 0.9 のとき)には、1/10 の確率で成功を掴めますが、運の要素が増えてくると(相関が 0.5 のとき)1/20 程度に下がってしまいます。また、興味深いことに、相関が 0.5 のときは、努力して成功する人が 0.55%、努力しなくても成功する人が 0.45% になるので、結果的に見て成功する人の半分は「努力してなかったが偶然成功した人」になります。

考察

事前分布を一様分布として仮定しているので結論というほどには至りませんが、傾向を考察しておきます。

  • 努力した人=成功した人の分野では、努力するほうが得
  • 努力した人>成功した人の分野では、努力が実らないこともある
  • 成功者がレアケース、かつ、努力と成功の相関が低いときは、成功者が必ずしも努力しているとは限らない

ということが証明できました。

これから考えられる成功者の戦略としては(成功したいかどうかは別なんだけど、なんらかの形で「成功する」ことを目指すならば)、

  • 努力していない人が多い分野を探して、努力する。
  • 努力しても成功する訳ではないが、確率が上がっているので、何度も挑戦するとよい。
  • 運の要素の少ない分野で努力するとよい。
  • レアケースの成功者の話はほどほどに

ってことですね。

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