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モチベーションを共有しよう「ムービングモチベーターズ」

Last updated at Posted at 2019-12-09

本記事は NewsPicks Advent Calendar 2019 の15日目の記事です。

はじめに

先日 Management3.0 のワークショップに参加し、学んだプラクティスの1つである「ムービングモチベーターズ」をチームで試してみました。

本記事では、Management3.0やムービングモチベーターズが何なのかと、チームで使ってみた際の手順をお伝えしたいと思います。

Management3.0とは

一言で言うと「人ではなく、システムをマネジメントする」という考え方でチームの自己組織化を促すアプローチ、だと私は理解しています。

詳細は公式ページもご覧ください。

Management1.0-3.0

このアプローチではマネジメントを1.0から3.0までの段階で定義しています。(以下も私の解釈です)

Management1.0

組織は階層型の構造を持ちます。計画がトップダウンで指揮命令され、マイクロマネジメントが行われています。F.テイラーというアメリカの技術者が提唱した「科学的管理法」がおおよそこれにあたります。マネージャーは人を部品のように捉え、監視・修理・交換します。

このスタイルは、機械が行うような予測可能で反復的な作業ではワークしますが、創造性を求められる仕事や不確実性の高い問題解決に対してはうまく機能しません。

Management2.0

1.0との大きな違いは「人は価値のある資産」という考え方を持つ部分です。マネージャーはサーバントリーダーシップを発揮しようとします。ただ依然として組織は階層構造を持ち、トップダウンでの指揮系統が残っています。

メンバーの満足度を上げ能動的な行動を促そうとしますが、それを上から押し付けている状態です。

Management3.0

組織をコミュニティや都市のように捉え、全員が部分的に責任を負い、ごく少数の人が全体の責任を負っています。マネジメントを行うマネージャは不要で、チームは自己組織化されています。マネージャーはメンバーが能動的に行動できるような組織構造、システム作りを行います。ティール組織がこれと近いかもしれません。

このような考え方の組織であれば、創造性を必要とする仕事や不確実性・複雑性の高い問題に対してより高いパフォーマンスを発揮することができます。

IMG_20191126_113130.jpg

ムービングモチベーターズとは

Management3.0には、権限委譲のようなのテーマを持つ8つのモジュールと、これらのテーマを具体的な手法に落とし込んだ多くのプラクティスが存在します。

ムービングモチベーターズは、この中でもモチベーションとエンゲージメントをテーマにしたモジュール内のプラクティスで、10枚のカードを使い、モチベーションを感じる要素を可視化・共有するツールです。

10枚のカード

タイトル モチベーションを感じる要素
好奇心 調査したり、考えたりしたいことがたくさんある
名誉 私個人の価値が私の働き方に反映されていることを誇りに思う
受容 私の周りの人が、私がやっていることや私らしさを認めてくれる
熟達 私の仕事は難しいが、まだ能力の範囲内にある
権力 私の周りに起きることを自分で左右できる裁量がある
自由 私は自分自身の仕事と責任で他人から独立している
関係性 私は仕事でかかわる人々と良好な社会的つながりを持っている
秩序 安定した環境のための十分な規則と方針がある
ゴール 私の人生の目的が、私がしている仕事に反映されている
地位 私の職位は優れていて、一緒に働いている人達から認められている

このカードでモチベーションを可視化しますが、私たちのチームでは熟達挑戦・成長権力裁量とやや分かりづらい部分をエンジニアのモチベーションでありそうな単語に読み替えて使用しました。

なぜモチベーションを可視化するのか

モチベーションには大きく、外発的動機付けと内発的動機付けの2つが存在します。

外発的動機付けはお金や物、地位など外部からの要因で動機付けされるものです。シンプルで汎用的なので動機付けの手段として利用しやすく、短期的には効果を上げやすいですが、持続性がありません。

一方、内発的動機付けはその人の経験や性格に起因し、内面的に湧き上がるものです。外部環境に関係なく持続し、能動的な行動に繋がりますが、言葉の通り外から与えることができません。

このムービングモチベーターズでは外発的・内発的動機づけ両方のカードが含まれていますが、重要なのは内発的動機付けの方です。これらは外から与えることができませんが、発揮されやすい環境作りなら行うことができます。この環境作りを行うため、メンバーの内発的なモチーベーションを可視化することが大事なのです。

これは、人に直接働きかけるのではなく、システム(環境)をマネジメントするというManagement3.0的な考え方が分かりやすいプラクティスですね。

やってみた

私達のチームには私を含め6名のエンジニアがいます。このチームで実際にカードを使ってみました。
なお、カードは公式サイトでPDFをダウンロードするか、Webショップで購入することができます。

1. 全員にカードを配る

全員で集まり、各々に上記10種類のカードを配ります。

2. 好きに並べる

自分が仕事でモチベーションを感じるものを上に、モチベーションを感じないものを下にしてカードを並べてもらいます。
並べ方は自由です。一直線でもいいですし、サッカーのフォーメーションのようにしてもいいです。

ちなみに私はこんな感じでした。

3. なぜそう並べたのかを共有する

1人ずつ、その並びになった理由を説明します。時間が無ければ上位だけでも問題ないと思います。
それについて他のメンバーから質問したりコメントしたりすると面白いですし、対話から発見があったりします。

(4. レーダーチャート化)

余裕があれば、チーム全体のモチベーションをレーダーチャートにします。
職種や会社によって傾向があるかもしれません。

私達のチームで各メンバーの上位3つだけをカウントしたレーダーチャートはこんな感じでした。
このチャートだと「ゴール」が最上位ですが、ほぼ全員の上位に「自由」が入っていて、自由主義で行こうという価値観を掲げる弊社らしさが出ていると感じました。
スクリーンショット 2019-12-09 2.16.41.png

おわりに

今回はManagement3.0の概要やムービングモチベーターズを実際にチームで使ってみた話を紹介しました。

ムービングモチベーターズはManagement3.0の中では比較的理解が容易で導入もしやすいプラクティスだと感じています。

チームメンバーのモチベーションを可視化し発揮される環境づくりを行うだけでなく、他のメンバーと結果をシェアしたり対話する事でさらに自己認識が深まったり、他のメンバーの新たな発見があったりして、チームビルディングにも有効活用できるはずです。ぜひチームを巻き込んで試してみてください!

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