目次
はじめに
ソフトウェア開発者のぐりです。
高校在学中と専門学校在学中に、1回ずつ応用情報技術者試験を受験しています。
1回目は12日間(約60時間)勉強し、午前試験は通過したものの、午後試験が58点で不合格でした。2回目は午後試験約90点で無事合格しています。
この記事では、試験までの学習の流れを中心に、午後の大問選びのコツや最も効率的に対策できる参考書などを紹介しています。また、経験から導き出したポイントや情報をもとに、効率的な合格へのアプローチについて提案しています。
応用情報を受験しようとする方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
2週間(約70時間)という期間の根拠
2週間という数字は1回目の受験の際に、12日間の勉強時間でぎりぎり落ちてしまったことをもとに設定したものです。 長期休みだったため1日5時間ほど勉強していましたが、1日2時間×35日でも問題ない、というかそちらのほうがより知識が定着するかと思います。 私は最初の受験では事前情報などが不十分なままに受験してしまったため合格に届きませんでしたが、当時この情報があれば合格までの数点を獲得できた、と思うポイントがいくつかあります。 それらのポイントを押さえ、傾向と対策に重点的に取り組むことで、短期間での合格が可能になると考えています。 60時間で58点なら、70時間で65点……いけそうじゃないでしょうか?応用情報技術者試験とは
概要
- 経済産業大臣が行う国家試験である情報処理技術者試験の一区分
- 基本情報技術者試験の上位試験にあたる
- 誰でも受験可能(受験資格や年齢制限はない)
- 年2回(春・秋)実施
試験形式と合格基準
- 午前(150分)
- 4択問題が80問
- 午後(150分)
- 記述式
- 11個の大問から5個の大問を選択(大問1のセキュリティのみ必須選択)
- 長文の問題を読んだ後、いくつかの設問に回答する形式
午前・午後ともに100点満点中60点以上を得点することで合格できます。
範囲は基本情報と大きく変わりませんが、回答形式が記述式であることから特に午後問題が難しいとされています。
※以降の文章は基本情報技術者試験(2023年3月までの試験内容)レベルの内容を把握している方向けとなります。基本情報を飛ばして応用情報から受験し合格する方もいますが、知識0ベースから応用情報の合格を目指す場合は、以下の学習を行う前にキタミ式などで基礎知識を固めることをお勧めします。
合格するために必要なスキル
- 基本情報レベルの知識
- 長文読解能力
- 午後は長文問題から的確に要点を見抜く力が重要になるため
- 中学生の学習範囲に対応できる程度の計算力
- 午前・午後ともに計算を必要とする問題がでるため(例:稼働率など)
-
応用情報レベルの知識と解き方
- 当記事で扱う内容
最短の学習時間で突破するためのロードマップ
フェーズ1:午前対策
午前問の演習を通して知識をインプットします。
目標: まずは60点
期間: 10時間
内容: 午前問の過去問を3回分解き、分からない部分は解説を確認する
おすすめ教材:応用情報技術者 パーフェクトラーニング過去問題集
画像引用元:技術評論社
2023年版 応用情報技術者問題集(アプリ)
画像引用元:Google Play
午前試験について
- 過去問と全く同じ問題が毎回5割ほど出題される
- 過去問を繰り返し演習することが重要
- 基本情報の知識+過去問3回分でおよそ対応できる
- 上記の学習で6割くらいとれることが確認できたらすぐに午後問の学習に着手(午後問を勉強するうちに自然と点数は上がるので)
- スキマ時間にアプリで学習するのもおすすめ
フェーズ2:午後の傾向把握と対策
午後問の演習の前に、解き方のコツや重要な知識を詰め込みます。午後問はいきなり演習を始めると心が折れる場合があるので、そのまえに傾向と対策を行うほうがおすすめです。
目標: 以下教材の用語の暗記
期間: 30時間
教材: 情報処理教科書 出るとこだけ!応用情報技術者[午後]
画像引用元:翔泳社
- 最強の 『傾向と対策本』
- 応用情報の参考書は数あれど、短期間での合格を目指すならこれしかない
- この参考書の知識と解き方をどこまで覚えきれるかが午後問の点数に直結する
- 最近の回を分析し、膨大な出題範囲から出そうな部分の予想をしている
- 長文のどこからどんな情報を読み取ればいいのか分かるようになる
- 応用情報の参考書としては薄いものの、その分すべてが重要なので太字や赤文字の単語はなるべく全部暗記(特にセキュリティ)
フェーズ3:午後問題の演習
時間を計って午後問題に取り組み、時間配分や大問選択に慣れるようにします。また、忘れないように合間に午前問も演習するといいです。
目標: 自己採点で70点
期間: 30時間
おすすめ教材:応用情報技術者 パーフェクトラーニング過去問題集 (午前問の演習と同じ本)
内容: 過去の午後問題を最低6回分以上解き、間違った部分を分析(なぜ間違ったのか、どう解くべきだったか)する。合間に過去の午前問題も2回以上解く。
コツ: 間違った部分を復習する際には「出るとこだけ!応用情報技術者[午後]」も併用し、記載されている考え方や知識の抜けを確認すると、理解が深まる。
午後試験について
- 長い文章から素早く情報を拾うことが重要
- 問1は必須選択、問2-問11のうち4問を選択
- 選択する大問によって難易度が大きく変動
- 自分の得意な大問の知ること、そして出題された大問の難易度をいかに見破るかが重要になる
- 記述の採点は甘め
- 回答に必須とされる単語が全部入っていれば基本〇なのかなと思うくらい甘い
- おそらく部分点もありそう
- 根拠は自分と周囲何人かの学生の自己採点と公式発表の正答なので、上記は公式見解ではないです……
各大問の特徴と難易度
出題範囲 | おすすめ度 | コメント |
---|---|---|
問1 情報セキュリティ | (必須) | 重点に対策。必須である為か、マニアックな問題はほぼ出ない |
問2 経営戦略 | ★ | 新出単語が多い。問題によっては社会常識で解ける場合もある。 |
問3 プログラミング | ★★ | 基本情報に比べて難易度が大きく上がっている。競プロとかやっている人であればおすすめ。PaizaランクBだった当時の私には難しかった。 |
問4 システムアーキテクチャ | ★★★★★ | 稼働率など計算で解ける問題が多いのでおすすめ。ただし、前半で計算を間違えると後半も共倒れになることがあるので注意。 |
問5 ネットワーク | ★★ | マニアックな問題と基本的な問題の2種類がある。ざっと問題を眺めてみて、既視感がある問題(IPアドレスとかVPNとか)であればおすすめ |
問6 データベース | 以前は狙い目だったものの、最近は難化してきている。おすすめはしない。ただ、業務でよく使っていたり、過去問でも得点できている場合などは選択してもいいかも | |
問7 組込みシステム開発 | ★★★ | 必要とされる知識の範囲が狭く、また、計算で解ける問題も多いのでおすすめ |
問8 情報システム開発 | ★★★ | UMLが出れば選択推奨 |
問9 プロジェクトマネジメント | ★ | 工数計算メインであれば選択してもいいかも |
問10 サービスマネジメント | ★★★ | サービスマネジメントプロセスについて問われることが非常に多い |
問11 システム監査 | ★★★★★ | マニアックな知識が問われる場合もあるが、単語の抜き出しと社会常識で解けることが多い。後者だった場合は最も得点源にしやすい大問 |
〇〇の場合はおすすめ、みたいな文言があふれてしまったのですが、どうしてもこの感覚的な部分(この大問にしては簡単orマニアック)はいくつか過去問を解いてみないと分かりにくいと思います。フェーズ3の過去問演習では出題された問題の難易度を把握する、感覚的な部分を補っていくことも重要です。
フェーズ4:当日
- 午前問は回答完了後、一度見直しをして、問題なさそうなら途中退席して午後に備える
- 眠くならないようにお昼は軽めに
- 午後試験の開始直前まで「情報処理教科書 出るとこだけ!応用情報技術者[午後]」を読んで備える
- 午後試験が開始したら最初に全大問に目を通し、各大問の難易度の把握につとめる
まとめ
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おすすめ参考書
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学習の流れ
- 過去の午前問題を3回分勉強したら、すぐに午後問題の対策に入る
- 「出るとこだけ!応用情報技術者[午後]」内の単語や解き方をとにかく暗記す
- 過去の午後問題を時間を計って演習し、時間配分や大問選択の感覚をつかむ
- 午後は大問選択が合否の分水嶺
- 当日午後試験が始まったら、どの大問が解きやすそうか分析する
最後に
直前対策に内容を絞ったため、深い理解よりも傾向と対策に特化した記事になりました。しかし、長期インターンで実務経験を積む中で、この試験で扱われる範囲の知識について、より根本的な理解を追求することも価値があると考えるようになりました。
短期間で取得して履歴書に書くという意味でも、じっくり学習してITの幅広い分野の知識を習得するという意味でも有用だと思います。
応用情報試験を受ける方々を応援しています!